碧彩が数学だけ出来ないのには理由があるのっ!
碧彩が数学だけ苦手なのには理由がある。
「はーい、席につけー」
その声の主は、碧彩と結亜の担任、小林 優太だ。
この男が、その原因だ。
小さい時、算数を勉強していた時のこと。
その年齢にしては難しい問題がわからず、叔父に聞いたところ、「碧彩そんなのもわかんないのー?」と言われ、それから数字に弱くなった。
・・・もっとも、碧彩の数学嫌いの元凶である小林本人は知らないだろうが。
そして、碧彩には数学で点を取りたい理由が2つある。
ひとつは、「天才」に数学だけできないことは有り得ず、数学が出来ないとメンツがつぶれるから。
もうひとつは、この男が数学担当だから、そしてこの男が碧彩の叔父だからだ。
もちろん、学校ではその事は内緒だ。
もちろん結亜も知らない。
名字が違うため、今のところはバレていない。
数学だけが出来ない碧彩は、いつも叔父に、バカにされている。
そんな男が担任とあっては、碧彩は学校でも馬鹿にされかねない。
碧彩が勉強する理由は、「叔父に馬鹿にされないため」でもあるのだ。
「・・・あ、みあ、碧彩ー!」
「・・・はっ!え、結亜?」
「・・・はっ!じゃないよもう下校時刻でしょ?」
「・・・え?」
「・・・え?じゃないよもうボケっとしすぎだよもー!今日家で数学やるんでしょ?」
「う、うん!待ってて今準備する!」
そう言うと碧彩は急いで準備し始めた。