どうして数学だけできないのっ!?
天才―
それは類稀なる勉学の才能を
持った人が世間一般の人から呼ばれ、それ以外の人は触れることすら出来ない、一種の名前のようなもの。
努力する秀才とは違い、彼らは主だった努力をせず、日々遊びに明け暮れている。
しかし、世間一般の人は知らない。
彼らは表向きは遊んでいるように見えるが、彼らの「勉強してないー(笑)」は、十中八九嘘だということを。
―私立メルツァノーファ学園に通う神羽 碧彩は、そんなことを思いながら電車に乗っていた。
私立メルツァノーファ学園は、都内某所にある、エリート学園だ。
学校法人メルツァノ―ファによって運営され、全国に30箇所の展開を誇る、これぞthe・私立という学校である。
その中でも碧彩の通っているこの学園は、世界1位の大学進学率で、世界最高峰の教育が保証されている。
私立メルツァノーファ学園は、「Gバッジ待遇制」で有名だ。
「Gバッジ待遇制」とは、メルツァノーファ学園で毎年1回行われる「学力Gテスト」の結果が各学年上位3名に「Gバッジ」と呼ばれるバッジを与え、様々な優遇措置をとる制度の事だ。
バッジの色は順位によって違い、もちろん待遇も違う。
3位は銅、2位は銀、そして1位は金。
待遇もそれぞれ銅待遇、銀待遇、金待遇と呼ばれている。
金待遇の生徒は、周りの生徒から「天才さん」と呼ばれ、高校2年生の天才さんは生徒副会長に、高校3年生の天才さんは生徒会長になるのが校則だった。
そして、碧彩は高校2年生の「天才さん」だった。
碧彩は、毎朝電車で1時間半もかけてこの高校に通っている。
理由は、至極単純。
「だって、お金安いし」
入試で上位3名になったら入学金全額免除。
各学年で金待遇になるごとに、授業料全額免除。
さらに、交通費や教科書代、学食まで全額無料。
もともと成績が良かった碧彩は、この条件に飛びついた。
中学3年間、必死で勉強―・・・した訳でもなく、ただただ周りの子と同じように勉強していただけだったが、世界一難しいと言われる入試で満点を叩き出し、さらに学力Gテストでも満点をとり、ぶっちぎりの1位で学校生活を送っていた。
「はぁ」
碧彩はため息をつき、そんなことを考えながら電車を降り、学校へと歩き出した。
たまーに更新する。