神に気に入られた暴言聖女
いつもより綺麗な服装して化粧して、私の目の前に立つ。彼女の口が紡ぐのは衝撃的な言葉。
「お姉ちゃん。私ね、この人と結婚するの」
…。…………んんっ??
「あ゛ぁ゛!?巫山戯んなよ!あの糞女!!」
え~ゲホッゲホッ…コホン。開始そうそう失礼します。私は、ジュスティーナ・リヴィエール。こう見えて、侯爵家の令嬢ですの。
えっ?なにか暴言吐いてた?まぁ、時と場合によって使い分けてるんですの。まぁ、私のあの口調が神に気に入られていると言うのもありますからね。啖呵を切る姿が素晴らしいとか何とか。
まぁ、話を戻すと。
私をお姉ちゃんと呼んだのは妹の、アミーリア・リヴィエール。彼女は、聖女である私の代わりに侯爵夫人として身分にあった男を見つけなければならなかった。
ところが!あの糞女と来たら、身分違いのそれも敵国の王子と結婚したいとか宣言しやがった!!わかる?今日こそ、侯爵の跡取りにふさわしい人の釣書を見てもらおうと思ったのよ!?
まだね!?まだ、無理やりこの3人の中から選びなさいとかならわかるけど!けど、私と父さんと母さんが見つけ出してきたのは、40人くらいなのよ!!しかも、社交界の女性から喉から手が出るほど近づきたいって言われてる人達の!!
それが!それが、なんと。敵国の!!それも、神の存在など馬鹿馬鹿しいって言い切った第一王子よ!敵国じゃなくて、神の存在を認めてたとしてもよ?第一王子なんだから結局無理なんじゃないの!!
冗談抜きで巫山戯んなよ!!まぁ、侯爵家で言われた内容を皇家に伝える為に皇家の馬車で皇城に向かっているから、皇帝陛下にキレてやる!!
「それで、ティーナ嬢は、その言葉を聞いて無反応で踵を返し、乗ってきた馬車で此処に帰ってきたというわけでいいだよな」
「えぇ!まぁ、馬車の中では愚痴らせていただきましたわ。あの糞女と侯爵家の回りで、まだ黙っていたことを褒めてほしいぐらいですもの」
今、顔を引きつらせながら座っているのは、皇帝陛下。まぁ、誰でもそうなるよね〜。
今の皆の反応は、皇后陛下は苦笑い。皇子達は、やれやれと頭を振り。皇女達は、この話を伝える為のお茶会の話をし。宰相である父さんは、妹をぶん殴ると叫び、騎士団長を含めた、皇帝一族の護衛に宥められ。最高司祭は、ドス暗い笑みを浮かべている。
あっ!皇帝陛下が落ち着いた。『自分よりも取り乱してる人が居たら一周回って落ち着く』とは、よく言った物だよ。……決して、最高司祭の笑みが怖すぎたとかじゃないとは思いたい。
「ねぇねぇ最高司祭~。どうします~?」
「ジュスティーナ嬢。神から提案ありましたよね?」
最高司祭の言葉で動揺が起きる謁見の間。この人どこまで知ってんだよ。
「実は神から相談を受けまして。此処に居る方々には話しているので受け入れましょうか?」
「えっ?私の意見「受け入れなさい」は~い」
最高司祭がこの国で一番偉いんじゃないかって皆の心が揃った瞬間でした。
さて、最高司祭により私と妹の将来が決定した時から、時間が流れました。その間にも、私の自称婚約者や妹の自称婚約者のライバルが現れ、私は絡まれ続けました。そう!絡まれ続けたんだよ!!私関係ないし!何よ自称婚約者って!!
けどね、其れももう終わり。今日、第一皇子の婚約発表の場置いて、あいつらを断罪してやる!!
まぁ、私は不敬だと思うから、反対したのよ?そしたらね。あの糞女と役立たずの無能王子を含めた脳内お花畑連中が、私有る事無い事言って、国外追放にするっていうのが敵国の王から入ってね。敵国の王は申し訳無さのあまり、無条件で友好関係に戻る事になったの。まぁ、敵対してた理由が王子と皇子の性格が合わなかったと言う理由だし、皇后陛下の姉があちらの正妃様だし、5年前に元通り~。
てなわけで、元敵国現友好国の王からの情報により、脳内お花畑共を、逆に国外追放とすることに決定しました~イエ~イ!私の心労が解消されるよ~
「さて、ティーナ嬢。準備はいいか。」
「はい、ヴィリバルト様。ユーフェミア様、長いお付き合いになると思いますがよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
「はい!」
挨拶前に第一皇子ヴィリバルト様とその皇子妃のユーフェミア様に声を掛けられ、いつかは睦まじい夫婦になるこの二人のためにも、あの脳内お花畑共はやっぱり断罪しないといけない改めて認識するよね~
「我が国の第一皇子ヴィリバルト・ライマー・フュルステンベルクと隣国の第一王女ユーフェミア・レイラ・クラリス・ホリングワースの婚約を発表する!!」
皇帝陛下の言葉でわっと湧く会場。その中で場違いにもどんどん皇帝陛下に近づく無礼者の姿。
「皇帝!第一王子である私と、アミーリア・リヴィエール侯爵令嬢との婚約を許可していただき、私次期侯爵へと任命して下さい」
場違い王子の言葉が響き渡る。ばっかだよね~皆が口を抑えて横向いてるの気づかないのかな?まさか、感動してるとか思ってるの?ただ単に笑いが零れそうなんだよ馬鹿が!
「そして、私は次期侯爵としてジュスティーナ・リヴィエールの断罪を発表します!」
おい!!皇帝陛下何も喋ってないからな!!許可してないし!!テメェなんぞに次期侯爵が務まるか!!
「はぁ。では、どうしてティーナ嬢を狙うのかを」「皇帝!!そこです!もう貴方はあの女に支配されているのです!!今直ぐあの女を成敗して、支配から解放させますからね!!?」
その言葉とともに、剣を振り上げ走ってくる王子。てか、皇帝陛下を遮んなよ。私と笑顔で喋ってたユーフェミア様が真っ青な顔して謝ってるだろ!?テメェの腹違いとは言え異母姉じゃねえか!!
「ユーフェミア様。謝らないでくださいませ。後、御二方とも動かないでくださいね」
ユーフェミア様には、笑顔で笑いかけ王子には鋭い視線を投げる。
「我が神の名の下に与える。伝説の祝福!!!」
私の言葉とともに、凄まじい音と光が会場を包み込んだ。それらが収まった頃には、見えない力で押し込められた王子が居た。
「あらあら、随分神から嫌われているのですね~」
「神!?はっ!神なんて想像上のものでこの世に存在しない筈だ!!」
「失礼な!!私の旦那様ですのよ!!」
「お前は!!お前は、俺の側近に婚約者が居るだろうが!」
この花畑。まだ言うの?まだ言っちゃうの?皆の顔見てろよ?皆真っ青な顔してんだろ?あの糞女だって真っ青な顔してんだろ。
……はぁ。もういい。お前がどうなろうと知らね。神の思うままになって消えやがれ。
「あぁ!我が偉大な神よ!彼の者は、神の存在を侮辱し神の声を聴くことが出来る者を傷つけた。況してや、聖女であり、姉でもある私の命をも危ういものにしようとした。彼の者に神罰を与え給え!!」
因みにね、この馬鹿。私の世話をしてくれてるシスターを傷つけようとしたの。まぁ、私の守護が効いてたから守れたけどね。私の怒りをなめんなよ。
【流石は、私のミスティだ】
そう、神々しい声とともに、舞い降りてきたのは、まさに神がかった美しさを持つ男性。見ただけで男女関係無く魅了すると言ったらこういう容姿を言うのだろう。
【なぁ?ミスティ。こやつらは、要るか?】
「要りませんよ。ですよね、最高司祭」
「そうですね」
神が降臨したのをなんともせず私と会話できるあたり、流石は最高司祭と言えるだろう。まぁ、あの時謁見の間に居た人達は、にこやか~な笑みを浮かべてるけど。
「んで、私は神の花嫁なんだよ。なんでお前みたいな無能の奴と婚約せねばいけないんだぁ?ほら、理由言ってみろよ。言えねぇんだろ?後な!誰が、皇帝陛下を洗脳してるって!?そもそもな、そっちは王国。こっちは帝国。色んな面でもこっちの方が上なんだよ。少なくとも軍事力は上だ。なんなら、私の権限でお前の国に乗り込んでやろうか」
私がにこやか~に笑みを浮かべ長いった言葉に皆が頷く。はん!お前の味方なんて居ないに等しんだよ!!
「どうしてそんな事言うの、お姉ちゃん!!ね?そんなに侯爵になりたいなら、別に神の身代わりなんて用意しなくてもいつでもあげたんだよ?」
居たよ。馬鹿の味方。無能どもの中で一番のお花畑。神の身代わりだぁ?巫山戯んなよ!!
「おい糞女!お前さぁ、聖女ってどういう意味か知ってっか?あのなぁ、聖女っていうのはさ、神力が強くそれこそ、神の花嫁になれる人間の事なんだよ。さっきから呼ばれてるだろ『ミスティ』って?『ミスティ』は、神が花嫁を呼ぶ時に使うんだよ。自分の花嫁として、神の名を与えられまで。後な、お前はなぁ、侯爵夫人として足りねぇんだよ。だから、お前の結婚相手はきちんとした相手を選び、お前は、侯爵家という家に閉じこめる計算だったんだよ!」
真っ青な顔になり、黙り込む妹。ようやく理解したか。
「お姉ちゃん。そんな嘘をついてまで、私の事が嫌いなの?でもね、よく考えてみてよ。侯爵家の跡取りはどうするの?私が居なくちゃ」
もういい!!こいつの話なんて聞きたくない!!
「黙れ!!!別に嫌いでも好きでもねぇよ!!侯爵家は、私が継ぐ!そもそもな、リヴィエール侯爵家は元々公爵家なんだよ!!其れが、30年位前に先代聖女様がリヴィエール公爵家に聖女が生まれれば、侯爵家と名乗れっと予言を残したんだ!公爵家として、恥ずかしい者が生まれたら醜聞となるからっと。正解だったよ!!それにな、公爵家なら、別に神の血が混じっていても可笑しくはない!その血を皇家に混ぜればいいだけだ!私が、この世で神の花嫁になると決定した瞬間!お前の存在なぞ!もう、何の価値もねえんだよ!!」
言いたいことを全て言い切り、深呼吸をする。私の言葉に動けるものは居ない。皆が、私と妹の姉妹喧嘩を見守っている。
「ねぇ?神様。本当は、私が花嫁だよね。そんな口の悪いお姉ちゃんなんて、花嫁じゃないんだよね」
【黙れ!!】
馬鹿の見苦しい抵抗に、神がキレた。まぁ、キレるよねぇ~。あっ、馬鹿が神力でめり込んでる。
【私が愛したのは、啖呵を切るミスティの姿だ!お前なんぞ外見でも性格でもミスティに劣るだろうが!!もういい!お前らの顔なんぞ見たくない!私の力で、この国と隣国から永久追放してやる!!】
神が手を振りかざすと、馬鹿共の姿が消えた。…沈黙が訪れ、遅れて聞こえる大歓声。本当、あいつら嫌われてたよね。
「今、この場において、リヴィエール次期公爵夫妻の婚約を発表する!!」
ある国では、聖女が現れる。それが現れるのは、何百年の一度でも何千年の一度とも。はたまた、何十年とも言われている。聖女は、神の花嫁。その国では、ある公爵家の娘の神の花嫁が神の子を産んだ。神の子達は自由恋愛をし、幸せに生きた。何人かは、王族に嫁いだが彼ら・彼女らは皆口を揃えて言っていたそうだ。例えば母が居なければ私達は、いくら自由恋愛でも王族に嫁がなかっただろうっと。そんな彼ら・彼女らの母は、夫が太陽神アポリオスから月の女神セレテミスと呼ばれている
登場人物
ジュスティーナ・リヴィエール
神に気に入られた聖女。妹には、一種の同情で侯爵家を継いで欲しかったが、想像より無能なので断念。神界での名は、月の女神セレテミス
神
この世の神の内の一神。太陽神アポリオス。妻が大好きで、妹は自分の愛しい妻の付属品みたいなもの。興味が無かったが、妻を馬鹿にされたためキレた。妻との間には、沢山の子どもが出来る
脳内お花畑
王子は、妹からの刷り込み。其れの取り巻きも妹からの刷り込み。つまり、妹が原因。妹は、この世で自分が一番可愛くて、『敵国の王子と結婚すると発表したら、皇子が自分と結婚したいって言い出すかもキャハ☆』的な頭の沸いた考えの持ち主。神も姉と結婚するのは隠れ蓑でほんとうは自分と結婚したいと思い込んだ馬鹿者。
最終的に全員奴隷として売られ、貴族たちの慰みものに。そこそこ外見だけは良いからね
登場人物紹介を書いたは良いけど、脳内お花畑の紹介が毒多すぎね。