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トラックに轢かれて転生するぞ!

 10月9日。日曜日。

 僕は異世界に旅立つことにした。

 今日は「トラックの日」で、この日にトラックにぶち当たって死ぬと、強力な能力を持って異世界に転生し、酒池肉林のハーレムを作ることが出来る、らしい。男の夢ではないか!

 どうせこんな世に未練はない。その辺の事情は思い出したくないので省略! 



 生きているのが辛いなら、勝手に死ねばいいじゃない。



 これが俺、安楽天聖あんらくてんせいのモットーである。

 さぁ、道路に繰り出そう。第二の人生に向かって……!


 自動販売機に売っていた合法のクスリを飲んでハイになった僕は、そんな心持ちで道路に倒れこみ、横向けの状態になった。

 もちろん事前に大きなトラックが来るのは確認していた。

 

 ……流石に来る所は見たくないので、向こう向いてしまった、ドキド――


 プァーー! という大音量が響き、僕の背中に重いものが乗っかってきた。

 

 

 その時、僕は能力を得た。


「君の命に危機が迫ると、時間の進みが君にはゆっくりに感じられ、人外の速度で動くことが出来る能力『緊急回避心得タイム・アボイダー』をあげよう。敵が放った矢や魔法をギリギリで避けるのは気持ちが良いぞ!」

 

 耳元から聞こえたその声は、確かにそう言っていた。

 

 そして地獄が始まった。

 

 ゆっくりと胸骨が軋む音を鳴らしながら、後背部の圧迫が凄まじいものへとなってきた。

 激痛が左半身から走り、腰の肉を巻き込みながらもタイヤは進行方向を忠実に守って進行し続けている。

 両手を投げ出した状態で倒れていたので、僕は反射的にその手で背中の重みを取り除こうと動かし始めた。

 けれど両手は動かしても体勢を変えることは出来ず、僕を潰そうと向かってくるタイヤに対し、僕は何の抵抗も出来なかった。

 

 ボキ!


 と音が聞こえ、肺に折れた骨が刺さった感触がした。

 痛みという痛みが全身に行き渡り、僕は意識を手放すことが出来た。

 

 直前にまた声が聞こえた。


「あ、これもオマケしてあげよう。『精神統一心得メンタル・コンセントレーター』という状態異常『気絶』を回避するスキルだ。ステータス画面を開いて確認してくれ!」


 殴られて目が覚めたように意識が無理矢理呼び戻され、腹部からの激痛でまたも僕は気を失いそうになったが、それは許されなかった。

 タイヤは無慈悲に僕を潰していき、ついに胃に2トンの重圧が圧し掛かってきた。

 内容物がまるで逃げ場を求めるかのように食道を通って逆流してきて、僕は吐瀉物を道路にぶちまけた。

 口に酸っぱい臭いが充満し、秋の夜風はホカホカとした湯気を爽やかに僕の鼻腔に流し込み、僕はまたこみ上げてきたが、胃はすでに潰れており、ブツの代わりに胃液が混じった黒い血が道路に染み込んだ。

 

 大腸もタイヤに蹂躙されつつあった。

 長く太いホースの様なそれが、黒い車輪にブチブチと圧迫されて、中の便が肛門から吐き出された。

 内容物は僕のボクサーパンツの中を所狭しと暴れ回り、ビチャビチャとした感触が臀部を中心に広がっていった。


 心臓に圧迫が押し寄せるまで、この苦痛は続いた。 


 

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