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Ⅰ章─異世界へ─

 もし、君が人にない力を得たらどうする?




                     周囲はどう見る?




君は英雄になる? 




                                        それとも……


「さて、今日は何しようかな…」


 HRもたった今終わり、学生の義務から一時解放された事を喜びつつ、ボクは家に帰ろうとしていた…といっても、すぐに帰れるわけじゃない。

 

 ここ最近変質者が出るとかで、ボクの通う根号こんごう高校では集団下校が義務付けられており、ボクは他の従過じゅうか町組何人かとともに帰らないといけないのだった。


 まったく高校生にもなって集団下校とはめんどくさいもんだ。


そんなことを考えていると「星野ー、帰ろー?」と声をかけられた。


 彼女は海風 里香 (うみかぜ りか)ボクと同じ獣過の住人にして、今日唯一一緒に帰る相手である、本当はもう一人いるのだが、そいつは風邪らしく、今日は登校していない。


 「そうだな、帰ろう」


 そうそうボクの紹介を忘れていた、ボクは星川ほしかわ すず、なんの変哲もない普通の高校生だった…


このときまでは…


◇◆◇


 一緒に帰っているとはいえ、同じクラスであるだけで、さほど話題もないボクらは・・・時々ぽつぽつと会話するぐらいで、まっすぐに家のあるほうへと向かっていた。


─キンッ!キンッ!─


 その時不思議なすんだ音が聞こえ……聞こえて…そして…


 「ここはどこだ?ボクは…えっと…」


 見知らぬ場所にいた、意識に僅かな空白があり、気づいたら見知らぬ土地にいる自分…まったくどういうこったろう?


「ぅう・・・・ん?」


うめく様な声がし、そっちを見れば、海風がいた…どうやら一緒にここに来たらしい。


 ボーっとした雰囲気が抜け周囲を見渡した彼女がこちらに目を向けたとき、ひとつ疑問を投げかけてみた。


「『ここはどこなの』「さ」「よ」」


うすうす気づいていたことだが、お互いここがどこだかわかってないらしい。


 あまりの状況に危機感より、夢を見ているような、どっか遠くから自分をみているような気がして、あまり不安はなかった…これは真実自分のユメだろうという楽観的な思いが胸を駆け巡り…ただただどうでもいい気分でしかない…それは海風も同じらしく…ここがどこだかわからない割りに不安よりも周囲の風景に対する興味がまさっているようで、周囲をただただ眺めていた。


 しかし、そんな状況も時がたつにつれ、現実味を帯びるモノだ…いつのまにか楽観的な空気は消え、気味の悪い不安だけがボクらの心を支配していた…


 周囲に街はらしきものは見えず、見たこともない不思議な植物たちがただあるだけである…明らかにボクらの知っている日本ではない…しかし、帰宅中のボクらがいるのだから、日本のはずで…そう考えると、見たことはないけれど鳥取にある砂漠のように、日本にある日本っぽくない場所だろうという結論に達っする自分がいたが、だからといってどうにかできるわけでもなく、ただただ薄暗くなりつつある風景を見ることしかできないのだった・・・・。


 周囲が大分暗くなってからではあるが、ボクらは今動いても仕方ない、明日明るくなってから民家を探そうと草むらにそのまま寝ることにした。


 幸い暖かく、これなら風邪を引くこともなさそうだ。


◇◆◇


「いっ、だっ!」


 強烈な獣の気配、そして痛み、目を開けるとおとなしそうな犬のような獣がボクを噛んでいた。


 人を噛んでいる状況にも関わらず、瞳は穏やかだったし、噛痕自体かすかに皮膚が傷ついただけで、肉までは穿たれてないようだったが、それでも痛いもんは痛いし、怖いもんは怖い…最初にあげた悲鳴こそあれど、声を発することも逃げることもできないこの状況に困っていると(穏やかな雰囲気だったのでおびえるほどではなかった)、ただただその犬(?)は去っていった…


 「まったくなんだってんだ?…」


 そんなこんなで一度起こされてしまったが、まだ日が昇るまでは時間がある、ボクは深く考えずにもう


一度寝ることにした…。


 「おっきろ~!」


「んぐ…耳元で大きな声出さないでくれ、海風さん」


「ごめ~ん、私んちはこんな感じでさ、所でさおかしくない?」


おかしいといえばすべてがおかしい状況だと思うが…


「何が?」


 「状況とかもだけどさ、昨日の私たち!、普通こんな状況に置かれたらパニックになったり泣き出したりするもんじゃないの?…こんな経験したことないけどさっ」


しばし、ボクは考え…


「この空気のせいじゃないかな?、なんか穏やかな空気感っつーか…ていうか今それ考えても仕方ないよ、ほかにもわかんないことはたくさんあるんだし」

 

 彼女は納得はしていないようだったが、確かにここがどこであるかが優先だと思ったのだろう、疑問を


飲み下したような表情をしながらも状況を考えているようだった・・・・


──それ、いくら?・・・・痛っ!!・・・・あれぇ?どこやったか──


「…!!!!」


 そのとき、ボクらの周囲には人の気配はしなかったはずなのに、確かに人の声が…それも複数の声がボクには確かに聞こえたのだった。


「あっちだ!!あっちに人がいる!!」


 思わず海風の手を取ってそちらに向かって走り出していた・・・・


 海風は「痛いっ!ちょっ、待って待って」などと抗議をしていたが、長い時間人二人のこの状況、止まってなどいられない、抗議中の海風を走りながら背負い全力で声の聞こえる場所へ走り出していた。



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