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変態悪魔でも愛しいんです!

 由良ちゃんに会いたくて、階段をのぼる。

 自分で先に帰っててなんて言ったんだから、屋上に行ってもいるはずないのに。だけど、なんでかな。由良ちゃんは屋上にいるような気がしたの。

 階段を上りきって、真っ先に屋上のドアに手を伸ばした。

「由良ちゃん……」

 いた。

 いつものところに。屋上の隅っこは由良ちゃんの定位置なのかもしれない。

「待ってたよ」

 由良ちゃんはそう言うとあたしのほうに近づいてくる。

 てっきりキスされるんだと思った。けれども由良ちゃんはただ優しくあたしを抱きしめる。

「由良…ちゃん……」

 あたしがそう言ったとき、「何も言わなくていい」とでも言うように由良ちゃんはあたしの口をふさいだ。

 それは触れるだけの、とても優しいキス。

 キスなんてイヤだって、ましてや女の子どうしなんてって、そう思ってたのに今はただ由良ちゃんに甘えたい。

 そっと由良ちゃんの唇がはなれた。

「いつもとちがう味がする」

 由良ちゃんはそう言って悲しげに目を細めた。

「ごめんね、篠原の指……舐めちゃった」

 言いたくなかったけど、言わなくちゃいけない気がしたんだ。

 あたしだって隠し事されたらイヤだもん。

「なんで謝るの?」

「だって、由良ちゃんはあたしの彼女……でしょ///」

 篠原が急にあんなことするから、由良ちゃんが急に優しくするから、あたしまでおかしくなっちゃったのかもしれない。

 だからこんなこと、言っちゃうのかもしれない。

「あんず……今なんて? もう一回!」

 めずらしく目をキラキラさせて言うんだもん。だけど、そんな恥ずかしいこと何度も言えるわけないじゃん。

「もう言わないもん」

 そう言ってくすっと笑うと、由良ちゃんはパァっと顔を輝かせた。そして一言。

「消毒!」

「え?」

 そう聞き返すために開いた口には由良ちゃんの指がねじこまれた。

 あたしの口の中で無邪気に遊ぶその指がすごく愛しかった。篠原みたいにうまくないけど、これがあたしにお似合いなのかな。

 それにしても、やっぱり由良ちゃんの指は最高だよ! このすべすべの肌といい、いい感じの骨とか柔らかさとか。

 由良ちゃんの味がする。なーんてね★

「……ふぁ…ん…」

 遊びまわる指は予想もしない動きをする。そのせいもあってか、たまにすごく気持ちよかったりするんだ。

「ふぁ…あ…んんっ!」

 思わずうめいてしまったのは、首筋に鈍い痛みが走ったから。そっと、由良ちゃんがそこに口づけしたとたんにチクッと痛みを感じた。

 なんだろうと不思議に思っていると由良ちゃんが口を開く。

「あんたはあたしのものだからね」

 そう言うと由良ちゃんはあたしのおでこにちゅっとキスを落とした。




 しばらくイチャイチャしてたわけだけど……あたしが家に帰ってお風呂に入ったときのこと。

 ふと鏡をのぞくと首筋に無数の赤い痕が。

 これって、これって……

「き、キスマークっ!?」

 あわててスポンジでこすっても消えることはなく、由良ちゃんのそれはもう楽しげな悪魔の笑みが脳裏に浮かんだ。



「由良ちゃんなんてやっぱり嫌いだっ! こんなんじゃ外歩けないじゃんバカぁ!!!」



 あたし、やっぱり前言撤回します。

 やっぱりあの悪魔、彼女だなんて認めてあげないんだからっ!!


 少しでもあの変態にときめいた私がバカだった!


 神様、あたしはこれからもあの変態悪魔に振りまわされるのでしょうか……


 

呼んでくださった皆さん、本当にありがとうございます★


それからお気に入りにしてくれた方、ありがとうございましたっ!


これからもよろしくおねがいします><

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