表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

キス魔…いや、悪魔でした。

 屋上に小さな風がふいた。

 ふわりと舞うふたつのスカート。


「ゆ、由良ちゃ……んむっ」

 あたしが言い終える前に、由良ちゃんの唇によってあたしの口はふさがれた。

「んっ!?」

 カリっと唇を噛まれる。いきなりの痛みに思わず小さく口をひらいた。

 すると待っていましたと言わんばかりに、舌がねじ込まれる。

 こ、これはべろちゅー……いわゆるDキスってヤツですかっ!

「ん、ふんっ…んー」

 初めての感覚になんだか不安になって、どうにか引き離そうと由良ちゃんの肩を押す。

 すると案外簡単に唇から温かい感触が消えた。

 あたしたちの唇の間には名残惜しそうに銀色の糸がひいている。うわっ、なんかこれ恥ずかしいかも。

 由良ちゃんは制服の袖で口元を拭うと口を開いた。


「イヤだった?」

 なんで、そんなに悲しそうな目をするの。そんな顔されたらイヤだなんて言えるわけないじゃん。あたし、やっぱり由良ちゃんに弱すぎでしょっ!

「イヤじゃ、なかったよ。でも、やっぱり慣れないし……」

「あたしが女だから?」

 え? 由良ちゃんはさっきよりもっと悲しそうな目であたしを見つめる。その声色もすごく弱弱しくて、心が痛い。

 由良ちゃんを悲しませたのはあたしだって、分かってるから。

「ごめんね、でも由良ちゃんは大事な友達だし、えっと…」

 傷つけたくなくて、そう言った。

「友達、か……。あたしが男だったら、あんずは付き合ってくれた?」

 だけど、由良ちゃんはもっともっと悲しそうな顔になっていく。

 由良ちゃんが男だったら。そんなこと考えたことなかった。でも、あたしは今すごく由良ちゃんが大切だ。だから、きっと……

「うん」

 由良ちゃんが男でも、好きになってたと思う。付き合ってたと思うな。

「女のあたしじゃ、だめ? あたしの彼女になってよ」

 あまりにも切ない声でそう言うから、

「ん」

 あたしは無意識にうなずいていた。


「んふふっ」

 え?

 いま、このしんみりとした状況には明らかに場違いな笑い声がした。

 そして、ここにいるのはあたしと、にやりとお得意の悪魔の笑みを浮かべた由良ちゃん……て、え?

 えええええ!!

「ゆ、由良ちゃん?」

 ま、まさか……

「付き合ってくれるんでしょ?」

 にっこり笑顔の由良ちゃん。

「だ、だましたの……?」

「騙されるほうが悪いと思わない?」

 由良ちゃんは、悪魔でした。とんでもない悪魔でした。

 そして、思ったこと。由良ちゃん、君は演技派の大女優になれるよ。なんて、演技力なんだ!

「でも、あたし由良ちゃんのこと恋愛とかの好きじゃない」

 思い切って言ってみる。

「……」

 なに、そんなふうに悲しげにしたってもう騙されないんだからね。

 ん? 演技じゃないの? なんか、小刻みに肩が震えてる気がするんですけど!

「泣いてるの?」

「ふふふ……」

 いや、由良ちゃんは泣いてなんかいなかった。それはもう恐ろしい笑顔で笑っていらっしゃいました。

「じゃあ」

 由良ちゃんがそのすらっと長い指をあたしの唇にあてる。

「////////」

 な、何してるの! ここは我慢よ、あたし! 理性を保ちなさいっ!!



「絶対にあたしに惚れさせる」

 


 あたしはどうやら由良ちゃんの甘い(?)罠にはまってしまったようです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ