はじめてーのちゅう♪
え……。
ええええええええええ!!!
何が起こった?
由良ちゃんの指にぎって、指フェチ宣言して、それから……
由良ちゃんにちゅーされたっ!?
由良ちゃんとちゅー。
由良ちゃんとちゅー……
「ゆ、由良ちゃんっ///」
「ん? なぁに?」
由良ちゃんは何も無かったかのように、でも確かにニヤリと微笑んだ。
美人さんが怪しげに笑うとかなり怖いです……じゃなくて!
「今、ちゅー……///」
「なにか問題でも?」
え。てか逆に問題ないの?
お友達って普通キスするもんなの?
キスって男の子と女の子でするもんじゃないの??
あ! まさか、あれですか。あの、実は男の子だったてゆー……あれですかっ!
「一応言っとくけど、あたし女だからね。性別偽装とか少女漫画チックなことしてないからね」
「エスパー……」
「でもないからね」
由良ちゃんはたまにあたしの心を読んだかのようにものを言う。
でもここまできたら本当にエスパーなんじゃないかって思えてくるんだけど。
って、今はそんなこと言ってる場合じゃない!
だって、由良ちゃんが女の子なんだとしたら…………
「なんで、ちゅーしたの??」
「したかったら♪」
由良ちゃんはそう言ってにかっと歯をむいて笑う。
静かにかきあげた長い黒髪が寂しげにはらりと落ちた。
「あたし、ファーストキスだったんだよ……?」
べつに由良ちゃんが嫌いなんじゃない。むしろ、好きだよ。
だけどね、人生に一度しかないファーストキスと女の子に奪われちゃうのはね、ちょっと。
あたしだって彼氏ができたらデートして、別れ際にちゅってされたいなぁーなんてささやかな妄想を抱いてたんだよ?
「指フェチ。」
ふぇ?
いきなり何?
「純粋で無邪気な愛されキャラのあんたが、そんな変態だったなんて知ったら……みんななんて思うかな~?」
うぅ……。
これは何ですか。脅しですか。
今わたし、友達に脅されています。
「あたしは、どうしたらいいの?」
「あんたのくちびる、あたしにちょうだい」
わわわわ……由良ちゃんのが変態じゃんかっ!
「キスさせてよ」
そんなの、彼氏つくっていちゃいちゃしてればいいじゃんか!
「その代わり……」
由良ちゃんはまたもや怪しげに口元をきゅっと吊り上げた。
な、なによ。なに言われてもイヤなものはイヤなんだからねっ!
「あたしの指は、あんたのもの」
……了解イタシマシタ。
こうしてあたしたちのちょっと可笑しな関係は始まったのです。