秘伝のノート
あの日母さんが、『もし学園にいくって覚悟ができたら、道中に気をつけなきゃいけないからこれを読んで』
と言って手渡してくれたノートを確認することにした。どうやら母さんがまだ学園の先生になる前で学園に行く道中に記したものらしい。
以前確認はしていたが復習だ。もう一度読み直そう。
説明口調の半分走り書きのような感じで書かれている。でも抑えることは抑えていて分かりやすい。
**************************************
母のノート
タイトル『学園に行くための大事なこと』
(母さんが覚えてるスキルが記載されている・・・)
―― 私が覚えたスキル ――
『 神経締』
効果:
魔力を使い、魔物の後頭部に一撃、魔力をワイヤー状に変形させて魔物の脳天から脊髄にかけて貫通の二撃目。
これで素材の状態が締になり、さらに魔物は麻痺状態になる。
ワイヤーに返しを作り一気に引き抜くことで、されに出血の三撃目。
この三撃目で素材の状態が締から血抜に移行して、追加で魔物が出血状態になる。
難易度:
難しい、一回で同時に三撃をそれぞれ別のアプローチで行わなければならない。
覚え方:
まず日本料理の下処理で行う、締、血抜の熟練度を上げて、この技のイメージトレーニングをする。
魚の鮮度管理、締、血抜を呼吸するかのように体の一部にして、はじめてスタートラインに立てる。
その後、魔力コントロールや技を洗練させるために自主トレーニングする。
『三枚おろし(さんまいおろし)』
効果:
自らの腕力に魔力を集中させて、筋力を増強してからの刀による三連撃。
難易度:難しい。一瞬で三度の切断攻撃は至難の業。
覚え方:
魚をさばくときの三枚おろしができないとまず論外。
これができるようになってから、実践で技の練度を高めたらやっと覚えられる。
(なつかしいな、母さんがいなくなる前日に教えてくれたっけな。
最初は俺も全然できなかったけど、あの日母さんが失踪して以来、
心を入れ替えて毎日練習したっけ。おかげで今はこの技を使いこなせている。)
―― 噂で聞いたスキル ――
『システム』
『効果:対象を視認して、対象の情報を脳内のイメージで確認できる。
味方、敵、関係なく確認できる。↓はその一覧
「体力」 :体力ゲージで確認できる。 体力 90/100 のように表示。
「魔力」 :魔力ゲージで確認できる。 魔力 30/40 のように表示。
「スキル・魔法」 :文字で説明される
「状態異常」 :麻痺、睡眠、のように文字で確認できる
「素材状態」:締、切断、火入、など文字で確認できる
』
さらに母さんの記述にはこう続く。
『 覚え方:
最初の四人の料理人、つまり転生者しか持っていないレアスキルらしい。
だから転生者の血を色濃く受け継いだ子孫も扱えるみたい。
噂では20年前の学園の首席卒業生のザルドヴィーチェっていう学生はこの技を使えたみたいね。
私も姓が「ベルナール」だから理論上は覚えられるみたい。』
(母さんはその「システム」って技は覚えてないらしいけど、俺はどうにか覚えたいな。今後役に立ちそうなスキルが書かれていたようだ。)
(最初の四人の料理人、つまりチキュウから来た転生者の名前は・・・
ジャポンの料理人
「ケイスケ・ササキ」
イタリアの料理人
「マリオ・ロッシ」
チャイナの料理人
「リー・ハオ」
フランスの料理人
「シャルル・ベルナール」
・・・
つまりこのうちの誰かの苗字を持つ子孫はこのスキルを覚えられる可能性があるということか。
「ルイ・ベルナール」俺の本名。
...俺ももしかしたら覚えられるかも知れねぇ!)
(続いてノートにはこう記されていた)
『でもそれだけでは足りないみたい。
このスキルの発動方法が分からない。
噂ではどの魔物かしらないけど、記憶を引き継げる魔物がいて、その魔物から情報を引き出すしかないみたいね。』
(へぇ、発動方法が分からないから使えないのか。
記憶を引き継げる魔物か。会ってみたいな。でもどうやって情報を引き出すのだろうか...)
読み進めていくと「特殊調理」、そうだ、俺があの野営で弾丸リスやヤリツキに仕掛けようとして失敗した技術について記されていた
―― 特殊調理について ――
『ある、特別な魔物を調理すると、特殊なバフやギフトを得られるみたい。
たとえば、スペーストラベラーを倒すとスキル「収納」を覚えて、荷物や食材を大量にどこにでも運べるようになるとか。
ほかにも特殊調理を成功させた魔物肉を食べると一時的なパワーアップとか、なんかよくわかんないけどスキルポイント?が付与されるとか?
ほかにも体力が回復したり、魔力が回復したりもするみたい。まぁ魔物によりけりってところね。
特殊調理は魔物に 締→血抜→切断 みたいに魔物に攻撃を加えていって魔物の体質を変質させていくものみたいね。
これをやると素材のうまみやおいしさが引き出されるから、特殊調理して食べた魔物肉はよりおいしくなり、特典もたくさんつくみたい。』
(そうだね、魔物と戦うときに締技の「神経締」で魔物に素材状態の締と血抜が入り
そのあとに「三枚おろし」で攻撃すると素材状態が「切断」に移行して、魔物がよりおいしい状態に変質していく・・・
そして特殊調理を成功した魔物肉で料理すると、特別な力を得られるわけだ。
この技術、難しくてまだ失敗するんだよなぁ。早く慣れないとなぁ。)
さらに読み進めてみた。
(学園の移動中に出くわす、警戒しないといけない魔物のリストが記されてるようだ。)
―― 注意しないといけない魔物 ――
『ビジョンキング』
『見た目 :
丸っこいフォルムに手足が短く、提灯アンコウのようなアンテナが頭の上にある。
外敵が襲ってきたらそのアンテナの先っちょから光を出して幻影をみせる。その幻影は目だけでなく耳も惑わす。
強さ :
強さは大したことないが、そのぶん特殊調理が難しい。特殊調理が完了する前に倒してしまうからね。
あと、逃げ足が速いので逃がさないように注意。』
『スペーストラベラー』
『見た目 :
クラゲのようなフォルムで、この魔物の半径1メートルくらいの周囲はそこだけ真夜中の星空のような世界が広がっている。
こいつは、空間を転移して移動してくる。そのとき、この魔物の「真夜中の星空」の空間が一気に広がり
ある一定の広がりを見せたら一気に収縮する。
この空間内にいたら自分も転移してしまうので注意。
私はこの技で地下迷宮に閉じ込められて3か月は出られなかった。不運な事故だった。
強さ:
まあまあ強くて倒せるレベルだが、倒すのは相当厄介。特殊調理しようとしたら転移するので、「神経締」で麻痺させるのが有効。
でもこいつに近づきすぎると例のでかい空間の範囲に入って転移させられるから遠距離攻撃が有効。
特殊調理:
こいつの特殊調理はかなりおいしい。味もだけど効能がって意味ね。
こいつは締 → 血抜 → 切断 → 火入で特殊調理できる。
特殊調理したこいつの肉を食べるとスキル「収納」を覚えられる。
これを使えば、どんな大きいもの異空間に収納できて、いつでもどこでそれを取り出せる。』
『スイムモグラ』
『見た目:
こいつは本当にモグラみたいなフォルム。大きさはモグラよりも大きい、大型犬くらいなんだけどね。
強さ:
ちょっと強い。死にそうになると地中をまるで水の中でクロールするみたいにスイスイ泳いで逃げる。
岩盤だって柔らかくして、泳いで逃げる。でも逆に水のなかは泳げない。ちょっと皮肉。
だから誘導して水の中に落としてみたらいいかも。
特殊調理:
こいつの特殊調理は忘れちゃった。夢中で戦ってたから。
でも、効能がうまいんだよなぁ。特殊調理するとスキル「潜伏」が使えるように
なってこいつみたいに、地中を泳げるようになる。こいつの能力で地下迷宮から無事脱出できた。
3か月かかったけどね。やっと学園で先生になれるなって、ホッとしたよ。』
(うん、あらためて読み返してもココすごいよな。
母さんは学園で先生になる前の移動中に「スペーストラベラー」とかゆう魔物のせいで地下迷宮に転移させられた。
その後、『スイムモグラ』のスキル「潜伏」を覚えて自力で脱出したんだ。
ジャポンタウンから学園に行く道中に地下迷宮まで飛ばされるような罠があったなんて……
冒険したい気もするが、、やっぱだめだ!危ない気もするから!)
*****************************************************
母さんの残したノートはここでいったん区切りがついてるみたいだ。
続きもあるみたいだけどまた今度にしよう。




