母との思い出2
父「ルイはもう寝たか、ユキ?」
母「うん、多分もう寝てると思う。」
父「なんで家に帰ってきた。もう帰ってくるなっていっただろ。」
母「最期にあの子の顔が見たくて・・・」
父「それだけではないよな。話してもらうぞ。」
母「うん。わかってる。」
母「私、転職してあの学園で先生やってたでしょ。」
父「あー、知ってる。だからこの街には来るなっていたんだからな。」
母「あそこで務めて2年になるわ。あそこで生活してさ魔物は本当に美味しいって気づいちゃって。
歯止めが効かなくなっちゃったの」
父「魔物なんて食うなっていってただろうが。だから反対してたんだぞ。」
母「ケン、あなたねぇ、考え方が古い。今時魔物なんて食べて当たり前よ。美味しいってのは当たり前だけど
さらに健康になって若返り効果もあるのに、あなたこそ目をさましてほしいわ。」
父「うるさい、そんなことより続きだ」
母「・・・
私もう、いくとこまでいっちゃってさ・・・。もうあなたたちとも会うのが最期になっちゃうかも。
だかた最期にあの子たちに私の手料理を振舞いたいの。最後でいいから。」
父「お前・・・
なら一つだけ確認させてくれ、お前の作るものは何だ?」
母「さっき、ルイと話してて、ちょっとうるっときちゃってね。
・・・天ぷらたべたいっていってたのよ。」
父「ちゃんと、ただのエビとかただのイカとかだよなぁ」
母「わかってるわよ。ただのエビだし、ただのイカだよ」
(お母さんとお父さん、何言ってるんだろう……。よく聞き取れなかったけど
最後にあの子の顔が見たくて? 最後なんて言ってないはず!聞き間違い!聞き間違い!
今日かえって来たのにそんなはずないよ!うん!そうに違いないよ!
でも・・・なんだか眠くなってきちゃって最後のほう聞き取れなかったや。
部屋にもどって寝よう。)
(ソロリソロリソロリ)
(よし!ベッドにばれずに戻れた。やっぱり布団は気持ちいや!おやすみなさい。)
スヤスヤスヤスヤ
ZZZZZZZZZZZZZ
・
・
・
母「ルイ!起きなさい!朝よ!今日は飛び切り美味しいご馳走なんだからぁ。」
ルイ「うーーん、もうちょっと待って・・・」
母「お兄ちゃんなんだから弟を起こしてきなさい!」
ルイ「もうちょっと・・・」
弟「もう僕おきてるよ!スゥーーーツ・・・・ お兄ちゃん!!!起きて!!!!」
ルイ「うわー!!うるさい!!わかったよ!起きるよ。シン!もおちょっとお兄ちゃんのこと考えてよぉーー」
弟「だってお兄ちゃん起きないじゃん!」
母「もう!喧嘩しない!二人とも1階に降りるわよ」
ルイ、弟「はーーーい」
(スタッスタッスタッスタッ)
父「お前たち!久しぶりに帰ってきた母さんが今日は特別においしい手料理を振舞ってくれるぞぉー」
ルイ「わーーーい! 今日は何の料理かなぁ!」
弟「楽しみだね!お兄ちゃん!」
母「じゃーん、今日は天ぷらでーーす!」
ドン!
父「おー!すごいなぁ!大皿いっぱいに天ぷらがある!これ取り分けたほうがいいか?」
母「ああ、あなたのは特別にこっちの皿に置いてあるわ。これ食べて」
父「お、おう!じゃあ頂くか!」
パクッ!
父「これはうまい!エビの味もちゃんとしているし、天ぷら特有のサクってする食感もいい!
でも味が濃すぎるぞ。以前のお前ならもっと・・・」
母「……そう?あなたの気のせいじゃない?」
――もう、味が分かんなくなってきてるのよ。
弟「お母さん、元気ないねぇ。大丈夫?」
母「そんなことないわよ!シン!ほら!二人ともその大皿から取って食べなさい。私もいただくわよ!」
ルイ、弟、母
―― パクッ!
・・・・・
ルイ、弟、母「うまぁーーーーーーーーい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!
うまぁーーーーーーーーい!」
ルイ「なに!これ食べたことないよ!この食感!プリっ!プリっ!プリっ!ってしてる。なのに脂もくどくない!」
弟「えーーーーーーん(泣)、美味しすぎるよ。涙がでちゃうよぉお!」
母「あぁ!これよ!これが料理なのよ!いつものホットする味!いつも食べてる味!これがずっと食べたかった!
1日我慢するのだって大変だったんだから!ほんとうによかった!」
―― ガツッ! ガツッ! ガツッ! ガツッ! ガツッ! ガツッ!
母「ちょっと!欲張りすぎ!二人とも!私によこしなさい!」
ルイ「うるさい!いま食ってんだから!邪魔するな!」
弟「二人とも俺の分を食うんじゃねぇ―――!」
父「えっ・・・、ユキ、ルイ、シン、・・・」
父「ユキィーーーーツ!!!お前はぁあああああああ!」
母「うるさい!」
―― ドン!
父「ぐわぁ!何をする!!」
ガシャン! ガシャン! ガシャン!
父「俺を吹っ飛ばすなんて、、、俺に腕力で勝てたことなんて一度もなかった、か弱い女だったのにな……」
父「ユキ! 一体どうしちまったんだ」
ルイ、弟、母「うまぁーーーい!」
―― ガツッ! ガツッ! ガツッ! ガツッ! ガツッ! ガツッ!
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―― それから しばらくの間の記憶があまりないんだ。
でもこれだけは覚えている。
そのあと、お母さんが行方不明になって、お父さんは何か前よりも少しだけ僕たちに遠慮するようになったんだ。




