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華奢な少年

俺は気づけば華奢な少年を両手に抱きかかえ、街を出ていた。




ことの経緯を思い出す。



***


俺は父さんとシンと最後の別れを終えて、田舎街と大自然の境界にある小さなベンチに座っており、女々しく考え事をしていたのだ。


もちろんあの時、シンに言われたことを思い出し反芻はんすうしていた。



   「兄さんはそのやばい肉の本拠地を目指そうとしてるんだよ。わかってる?」



あの言葉が耳から離れない。

俺が今から目指す場所、本当に危険はないのであろうか?イヤ!ずっと考えてきただろう!そんなこと百も承知で目指すってことを!

では何故?シンの言葉が俺のなかで引っかかっているのだろうか?深く考えるのは苦手だ。難しいことはあまり気にしないほうがいいかもしれない。


ただ一つ


行方不明の母さんがどこにいるかを見つけて、母さんと再会したらあのときの手料理を作ってもらう!


そう、このことだけを考えて、この街を出ればいいんだ!



ベンチに座っておそらく2、3時間考えていた時に、あの馴染みのある甲高い声が聞こえてきたのだ。



  「さぁああ、こっちにおいで!」



俺が声の方を振り向くと、ジュリアンとかいうバカが今にも華奢な少年の顔に触れそうな瞬間だった。

また、アイツ何かやらかそうとしているな。

ちょうどいい!アイツにこの前やられた借りと今のムシャクシャしている気持ちをぶつけるとしよう!

そう思って、アイツの浅知恵の邪魔をしにいったのだ。



***


で、気づけば俺の両手に美少年が収まっている。

よくよくこの少年の感触を確かめてみると、かなり柔らかい。

少年だということを考慮したとしても、華奢な体つきをしているし筋肉量がこの年の少年と比較しても少ない。

コイツ…もしかして…


ま!そういう男もいるかもな!


女みたいな体つきの男だっているよ!たまたまそういう体形だっただけ!

うん!きっとそうだ!

俺は深く考えることをやめて、学園への道中を歩くのだった。


コイツを運んでいるとき俺は気づいたことがある。コイツ、やけに熱いぞ。熱でもあるのだとうか?

それに耳も赤いし、頬も赤みがある。

無理もない、ジュリアンから受けた仕打ちが憎くて憎くてずっと頭の中で次あった時はどう仕返ししようか考えているんだな。

それで考えすぎて知恵熱がでている。このままじゃまずいな。と思った俺はコイツの熱を測るためコイツの顔に俺の顔を近づける。


そう、おでことおでこをくっ付けて熱を測かるヤツを試しているのだ。


そうやって顔をこの少年に近づけておでこがくっ付く瞬間だった


「きゃっ!」

どこからか何か頼りない声が聞こえた。

魔物か?近くに人の声に擬態する魔物がいるとでもいるのか。


「もう!どこ見てるの?…ルイ君!」


そういってる方を振り向くと俺の腕から転げ落ちた華奢な少年がいた。


「近くに魔物がいるかもしれん!」


「え!どこにいるの?戦闘の準備を」


「ああ!人の声に擬態する魔物だ。さっき『きゃっ!』って声が聞こえた。か弱い女子供の声を真似ておびき出すような卑怯な魔物だ!多分な!」


「ちっがーーーう!それ僕の声だよ!僕の声!」


「えっ!そうなのか!」


「ルイ君ってバカなの?普通わかるよね!」

ミカは地面に座り込んだまま、真っ赤な顔をして僕を睨みつけてきた。 ……なるほど。どうやら魔物ではなく、本当にコイツが発した声だったらしい。


「ああ、悪い。だがお前、その……。そんな高音を出す筋肉がどこにあるんだ? 喉の構造が普通の男とは違うんじゃないか」

俺は腕を組み、真面目に考察した。 ミカは「もういい!」と吐き捨てると、服についた土をバタバタと払い、ふらつく足取りで立ち上がる。


「それより、ここ……。本当に街の外なんだね」

ミカが後ろを振り返る。そこには、ついさっきまで僕らを閉じ込めていた窮屈な田舎の街が、小さくなっていた。 だが、前方に広がるのは、境界線を越えた者だけが味わうことのできる「沈黙」だ。


「ああ、そうだな。もうすぐ夕暮れだ。この近くにあるキャンプ場で一泊するぞ。

 そこでキャンプ道具を買って、いつでもどこでも野営できるようにする。ここから学園まではまだまだ遠いからな。」


「うん、そうだね。その方がいいと思う」


俺たちはそう言い、この先の北西にあと1㎞あるけば着くキャンプ場を目指すのであった。





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