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ルイの能力


「お前ら、やっちまえ!!!」

ジュリアン様は得意げに言った。


(シーーーーーン)

枯れ葉が舞い、風が吹く



「お前ら!いうことを聞かんか!」

ジュリアン様がそういうと



「後ろをみてみろよ」

ルイさんがそう言った


ジュリアン様が後ろを振り向くと

大男の黒服3人と小柄な少年の新人黒服の計4人が、それぞれ魔力の糸で体を巻き取られて壁に貼りつけられており、見動きが取れてないようだ。


「残りはお前、一人だけだな!」

ルイ様がゴミを見る目で言った。


「おのれ―――!」

ジュリアン様がそう言った後、警戒して後ろに二三歩後ずさりした。


「そのこチビも離れておけ!」


そういうとルイさんは僕の体を突き飛ばした。

10メートル以上、僕は突き飛ばされた。

やばい!壁にぶつかる。


痛い!痛っ!


・・・・えっ?痛くない。


僕の体を見て見ると、ネット状の魔力が形成されていて、それがクッションになっていた。

すごい!魔力の形状を変えてクッションにしている。こんなこと普通はできないよ。



****


「お前!こんな技を持っていたのか!神経締しんけいじめ三枚おろし(さんまいおろし)だけではなかったのか。」

とジュリアン様。


「いや、俺の技はその2つしかない。」

とルイさんがそれが当たり前かのように応える。


「そんなわけないだろう!この魔力による形状変化!技以外の何なんだ!」

ジュリアン様が疑問を口にする。これに関しては僕も同意見だ。


「これは技ではない。神経締しんけいじめを覚える過程で身に着けた俺の失敗、恥ずべき不純物だ。」

ルイさんがそう答えて、魔力を多種多様な形に変えて見せた。

糸にしたり、球体にしたり、網状にしてみたり、手の上に乗るサイズの馬の形に変えて走らせたりもした。


「なんだ!それは!これが技ではないだと!? これが失敗作とでも言うのか!」

ジュリアン様が驚いて応えた。これには僕もジュリアン様に同意見だ。


神経締しんけいめは難しくてね。魔力を使って血抜ちぬきをするときに、魔物のすべての動脈と静脈を把握して

 そこにピンポイントで触れて、血管のみをから血液を吸い取らなけりゃいけねぇ。

 それが難しくてな!俺はその技術を覚えるだけで8年を要した。」

ルイさんは何をいってるのだろう?常識的に考えてそんなことできる訳がないだろう。


「何をいってるんだ!常識的に考えてそんなことできる訳がないだろう。とうとう妄想癖にでもなったか?」

ジュリアン様は当然のことを言った。


「うん、難しかったよ!だから8年かかった。この技の練習をしているときに覚えたのがこの魔力の形状変化だ。

 俺の失敗作!だから人前でみせたくなかったんだがな。」

ルイさんが常識外れのことを言った。


「ふん!お前の妄想には付き合いきれん。私の火魔法をくらうがいい!」

ジュリアン様はそういうと魔力をためて大技を発動しようとしている。

ジュリアン様の周りに大量の魔力が集まったあと刹那!炎の大波がルイさんの前に出現する。


『ファイアーウェーブ』

ジュリアン様はそう唱えると、ルイさんの目の前に炎の大波が現れる!


「すこし暑いな」

ルイさんはそういうと突如!魔力で作った大きなプロペラが出現する。


「涼しくしねぇとな」

ルイさんがそういうと、大きなプロペラがものすごいスピードで回転する!すると突風が吹き荒れて炎の波が押し返される。

どんどん押し返されて、ジュリアン様の顔にぶつかりそうになる。

プロペラは10秒ほど回転し続けた後、スピードを落としてだんだん遅くなりついに止まってしまった。


「やりすぎたか。」

ルイさんがそういうと、彼の目の前に広がるのは、パンツ一丁になった黒焦げになったジュリアン様がいた。ついでに壁に縛られていた黒服も同様に黒焦げになっていた。


「クパァハァ・・・」

ジュリアン様の口から煙がでている。


「おい!チビ!お前の画材道具は安全だ。」

ルイさんが指をさすと、ジュリアン様がもっている僕の画材道具がルイさんの魔力でコーティングされている。


「あ、ありがとうございます ///////// 」

僕の画材道具、守ってくれたんだ。とても嬉しかった。そこには僕のおじいちゃんからもらった大切なGペンが入っていたんだ。


「おのれ!おのれ!おのれ!

 私をここまでコケにするか!技ともよべない技で私の最大奥義のファイアウェーブをここまで!ここまでっ!」


「とっさに扇風機だして防げてよかったぜ。」


「は?扇風機だと?私のファイアウェーブを押し返したその特大の突風が扇風機だとーーーーーー!」

ジュリアン様は焦り、怒り、恐れが混じった甲高い声で後ずさりしてしまう。


「もーいい!分かった!勝てぬというのなら、ミカが手に入らぬというのならこの画材道具!

 こうしてやる。」

 画材道具の中入っているスケッチブックをジュリアン様は破ろうとしている。


「お願い!、それだけはやめて!やめてよぉ」

僕は、目の前が涙で歪んで、必死に訴えた。お願いだよ!やめて!やめてよ



ビリっ、ぐしゃぐしゃ、ビリ、


どんどん破れて行く。


      ポキッ


見て見ると、僕がずっと大事にしていたおじいちゃんからのプレゼントのGペンが二つになって横たわっていた。



時間が、止まったように感じた。


「あ……あ……」


地面に転がった、二つの無機質な破片。 おじいちゃんが、僕が初めて漫画を描きたいと言った時に、優しく笑って贈ってくれたGペン。 僕の夢を、僕のこれまでの日々を支えてきた世界でたった一つの「軸」が、無惨に折れていた。


「……あ、はは! どうだミカ! 私が手に入らないなら、お前の夢も一緒に壊してやる! これでお前はもう、何者でもなくなるんだよぉん!」


黒焦げでパンツ一丁の滑稽な姿で、ジュリアン様が勝ち誇ったように笑う。 でも、その笑い声は、今の僕には遠い世界のノイズにしか聞こえなかった。



「……ルイ君……折れちゃった。……僕の、ペンが……」


涙が、止まらなかった。 喉の奥が熱くて、胃袋が引き千切られるような痛みが走る。 少年漫画のヒーローみたいに、かっこよく逃げ切れると思ったのに。

最高のサッカー選手みたいに、鮮やかに抜き去れると思ったのに。 現実は、たった一人の「クズ」の悪意で、こんなにも簡単に、僕の宝物をあられもない姿に変えてしまった。




「……………」

「お前、一線超えたな、ジュリアン。」


スタッスタッスタッスタッスタッスタッ


「動くなよ、ジュリアン」


「な!私の体が拘束されている!これは魔力か!何をするんだルイ!」


「俺はお前が大嫌いだ。お前が壊すなら俺が直す。

 お前が大切にしているものはすべて奪う。」


「え?スケッチブックが直っている。Gペンが修復されている。何をしたんだルイ!」


「俺は魔力を粘着質な性質に変えることができる。接着剤というやつだ。

 ま、この技も神経締しいけいじめ血抜ちぬきをやるときに覚えた技術だが...

 この技でミカの大事なものをすべて直す。」


(ルイ君。。。ルイくぅん!ありがと。ありがとう!)


スタッスタッスタッスタッスタッスタッ

「ほら、画材道具、直ったぞ。前よりも強度を強くしておいた」


「ルイ君……。これ、本当にもとに戻ってる……。ううん、前よりもずっと、手に馴染むよ……」

まだ私は涙ぐんでいる。でも少し気がらくになった。



涙でぼやけた視界の中で、ルイさんの背中を見上げる。 彼は僕の感謝の言葉なんて待っていないかのように、くるりと踵を返して、いまだに魔力の糸で拘束され、絶望の表情を浮かべているジュリアンを見下ろした。


「……さて。ジュリアン。……お前が大切にしているものはすべて奪う、と言ったな」


「俺が奪うのはジュリアン、お前が最も大切にしていた人」


「やめてくれぇ、それだけはやめてくれぇ!」


「俺はお前を奪う!」

ルイ君のその言葉が、大通りに鋭く響いた。 直後、僕の体はふわりと宙に浮き、気付けば彼の逞しい腕の中に収まっていた。いわゆる、お姫様抱っこというやつだ。



「……えっ、あ……っ!?」

あまりの密着感。 彼の白いワイシャツ越しに伝わってくる、熱を帯びた筋肉の鼓動。 僕の心臓は、逃げている時とは全く違う、激しい鼓動を打ち鳴らしていた。



「な、ななな……何を言っているんだルイ! ミカは私の! 私が画材を買い、私が学園への道を整えてやった、私のものだぞ!!」

地面で芋虫のように転がっているジュリアンが、裏返った声で吠える。 けれど、ルイ君はその声に耳を貸すことすら「非効率」だと言いたげに、冷たい視線を一瞥だけ投げた。



「・・・・・」

ルイ君は何も応えず僕を抱えたまま、一歩、また一歩と学園へ続く大通りを歩き出す。



「……ルイ君。……あの、僕、重くない……?」

恥ずかしくて、消え入りそうな声で聞いてみる。 すると、ルイ君は前を向いたまま、淡々と答えた。


「お前の体重、足しにもなんねぇ」

ルイ君が、歩きながらチラリと僕を見た。 その鋭い眼光が、僕の顔の赤らみを隅々までスキャンしていく。


もう、この街の出口に近づいている。

僕たち、とうとうジャポンタウンを離れて、学園を目指すんだ。

僕は嬉しいような寂しいような心をそっとしまいルイ君の胸の温かみを感じながら、この地を去っていく。



******************


僕はルイ君に恋をしてしまった。

女の子として、好きになってしまったんだ。



 




 













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