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ミカの逃走劇

「ハァッ、ハァッ、……ッ!」


僕は喉を焼くような呼気とともに、入り組んだ田舎の路地裏を駆け抜けていた。 背後から迫るのは、湿り気を帯びた不快な足音。そして、執拗に自分を追い詰めるジュリアン様の、脂ぎった欲望の気配だ。

(どうして……どうしてこんなことに!)




頭の中のすべての思考が、パニックで埋め尽くされていた。 逃げ込んだ先は、馬車が一台がやっと通れるほどの狭い道。両脇には苔むした石垣と、主を失った空き家が、まるで巨大な檻の檻柵のようにそびえ立っている。


ガランッ!


積み上げられた空き缶を蹴飛ばし、僕は角を曲がる。 だが、その先は無慈悲な行き止まり。


「……ひっ」


壁に背を預け、震える手を顔の前に。 直後、角の向こうから、ゆっくりと「絶望」が姿を現した。


「……見ぃつけた。ミカ、もう逃げ場はないぞ。お前のようなかわい子ちゃんが、一人でこの街の外へ出られるはずがないんだよん!」

頭には僕がまき散らしたゴキブリやスズメバチが這いずり回っているが、虫嫌いのジュリアン様が気にも止めていない。それだけ激高しているんだ。

ジュリアン様の歪んだ笑みが、路地裏の暗がりに浮かび上がる。


「ジュリアン様、後ろに美女がいる!」

私はあわてて声をあらげて言った



「ははは!そんなの効かないぞ。


 私が美女をナンパしていたのは、お前に私がモテる色男だとアピールするため。


 今はその必要はないがな!」


「でも、毎回フラれてたじゃん!なんでそれで続けてたんですか!」


「諦めない心だ。お前に好かれるためにはなんだってやったさ!」

ここだけ切り取れば少年漫画みたいにかっこいいんだけど、全体をみたらい最悪なことを言っている


「じゃあ、ナンパされて10時間足止めされた美人な女の人たちは、かわいそうじゃないですか!」


「あんな奴らわお前を振り向かせるための餌にすぎん!」


コイツ最低だ。僕を振り向かせるために見ず知らずの女の人の時間を10時間も奪っていた。

そもそも、僕はモテるんだアピールをしても何も響かない。

ジュリアン様はそもそも僕を男だと思っているのに、モテるアピールをして何になるんだ?

本当にこの人の思考回路が理解できずに、そういう意味で得体のしれない怖さが増してきた。



「ははは! お前を振り向かせるためなら、一千人の女の時間をドブに捨てても惜しくはないさ! さあ、ミカ……私の愛という名の胃袋に収まる覚悟を決めるんだよぉん!」


ジュリアン様が脂ぎった手を伸ばす。 その背中にはまだ、ミカが放ったスズメバチが蠢いている。針が肉を刺し、ゴキブリが顔を這っているというのに、奴の脳内スロットは「ミカを所有する」という単一の命令で埋め尽くされ、痛みすらも無視していた。


(……狂ってる。この人は、最初から誰も見ていないんだ。自分を『モテる男』だと僕に思わせるためだけに、他人の人生を消費して……!)


僕を男だと思い込みながら、その僕にモテたいという矛盾。 理解不能な恐怖が、心臓を直接握りつぶすようなパルスとなって全身を駆け巡る。


「……嫌だ、来ないで……っ!」


僕は目を瞑り、両腕で顔を覆った。 ジュリアン様の鼻息が、すぐそこまで迫る。湿った、腐った果実のような臭い。


「あ!後ろにルイさんがいる!」

ぼくは前方の虚空を指さして言った。


「え!あのくそ虫がか!」

虫まみれのジュリアン様さんが後ろを振り向いた。


スタタタタッ


その瞬間、僕はジュリアン様さんの股間までかけより、ジュリアン様の汚ない棒を蹴り飛ばす!

足に魔力を集中させていたかいがあって、ジュリアン様はうずくまっている。


「よし、これで2分は稼げる」


ルイさんのことは諦めて逃げることに専念することにした。

僕はこの街の出口、そして学園続く入口であるこの街一番の大通りに向かって走っていった。



僕は街の出口に向かって北東に走る。


古民家や商店という名のディフェンス達が邪魔してきたが僕は最高のサッカー選手!

ドリブルして古民家を抜き去る!

シザースして魚屋を抜き去り、キックフェイントで肉屋を抜き去る!


そんな感じで心で楽しみながら北東の大通りに向かう。

よし!大通りが見えてきた。ここでスライディングだーーー!


一気にすべての家々(ディフェンス)を抜き去った後に大通りが見えた。


「ハァッ、ハァッ、……ッ!」

息切れしたけど、もう大丈夫。出られる!



「よう!遅かったな。待っていたよ!」

そこにいたのは、ジャポンの漫画本に出てくる関羽が乗った赤兎馬のような馬に騎乗したジュリアン様だった。


「いやぁ馬で来たおかげで間に合ったよ。


 やっぱりここに来たな。この街の出口であり学園への入り口にな!」



終わった。。

僕は膝から崩れ落ちて絶望した。


「はは、これを持ってる以上お前は私の元に戻る。」

ジュリアン様が持っているのは僕の画材道具が入っている大きな革製のカバンだった。」


「なぜ、それを持っているって顔だな。

 

 たしかにあの狭い路地には私や黒服たちは入れない。


 でもこいつは違う!」


ジュリアン様の後方左斜めから顔をだしたのは僕よりも小柄な少年だった。


「ジュリアン様のために俺頑張ったよ!」

黒いスーツを着た少年が言った。


「コイツは私の新しい黒服だ。最近雇ったのさ。」

「さて、どうする?ミカ?私のもとに戻るか。」



「嫌!嫌ぁ!」

僕は涙目で崩れ落ちて、笑っている膝で後ずさりしようとしたが、言うことを聞かない。


ジュリアン様と黒服たちはゆっくり近づいてくる。


「さぁああ、こっちにおいで!」

そういいながら僕の顎に手を伸ばそうとするジュリアン様。


スッーーー

ジュリアン様の手を掴んだのは褐色の肌の手だった。


「今、俺は大切なひととサヨナラをしてきて虫の居所が悪いんだ。


 そして目の前に火入ひいれしてくれないムカつく男。


 悪いが八つ当たりしていいか?」


その瞬間、彼の体から魔力があふれ出て刹那、その魔力が枝分かれした。一本一本が釣り糸、いや違う ジャポンの漫画でみた

光ファイバーだ。光ファイバーみたいなにうねうねしていて放射状に広がっていた。


    救世主だ。


柄にもなくそう思って目の前の青年をじっくり見る。

褐色の肌に天然パーマの茶髪の髪。

するどい眼光に、吊り眉で垂れ目。右目の右下に泣きぼくろ。

身長はおそらく180㎝代。

黒いズボンに白いワイシャツ。袖はまくっている。


そこにいたのは


ルイさん。


以前のプライドを捨ててジュリアン様にお願いした、悲しそうな顔はそこにはなかった。

静かな怒りを胸に刻んだ野獣のような眼光をした一匹のオスだった。


「かっこいい。。」

思わず声を漏らしてしまった。


「ルイ!ルイッ!お前ぇ―――!」

僕の声がジュリアン様に聞こえたのか。

怒りと嫉妬、敗北の混じった大声で雄たけびを上げているのになぜかそれと見合わないような甲高い声だ。



「覚悟しろよ。」

そういってルイさんは戦闘態勢に入ったのだった。


















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