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野営にて

あぁ、今日も朝早いんだったなあ。


俺は、半分眠っている体を無理やり起こし、手鏡を取った。

つり眉に右目に泣きぼくろで二重たれ目、すこし日焼けした肌に天パ。


うん、いつもの俺だ。


と考えつつ腰を上げ、野営地から少し離れた小川に向かった。

小川の天然水で冷やしておいた昨日下処理したタケノコとノビルそして鮎がある。


鮎は神経締めと血抜きをしていたので、新鮮なまま食べられる。

俺は意気揚々と今日の朝飯を手に取り、野営地に戻った。


「今日は、山菜と鮎の塩焼き定食だ。」別に誰もいないがテンションが上がったので声を出してみた。

BBQセットを取り出して、炭火で調理する。

香ばしいにおいが漂ってきたのでそろそろ食べごろだ。


まず、鮎をほおばる。


パリッ、と炭火で極限まで水分を飛ばした皮が弾け、中から驚くほど瑞々しい白身が溢れ出した。

「……うまっ」 思わず独り言が漏れる。昨日、小川で冷やしておいたおかげで身が締まっている。

神経締めと血抜きが完璧だった証拠だ。


川魚特有の臭みなんて微塵もない。あるのは、新緑のような爽やかな香りと、内臓のほろ苦さだけだ。この苦味が、寝ぼけた頭をシャキッとさせてくれる。


次に、ノビルを口に運ぶ。 生味噌をちょんとつけて噛み締めれば、独特のツンとした辛味が鼻を突き抜けた。

この野性味あふれる刺激が、鮎の脂をさらりと流してくれる最高の相棒だ。


そして、直火で炙ったタケノコ。 ホクホクとした熱を帯びたそれは、噛むほどに山の滋味が染み出してくる。

アク抜きをしっかりしたおかげで、雑味のない純粋な甘みだけが舌の上で踊る。


「最高だな……」


この静かな野営地で、自分の手で整えた食材を、一番旨い状態でいただく。

朝日を浴びながら、俺は春の恵みを次々と胃袋へ送り込んでいった。今日という一日を生きる力が、体の芯から湧き上がってくるのを感じながら。


「さて、 昨日さぼっていた漢方採集をやりますか。」


腹ごしらえもしたところだし、この草原一帯に自生している漢方を採集する。

(あの、ばあちゃんからの依頼のタンポポ、ヨモギ、オオバコ。うん、全部まんべんなく採集できてる。、、、戻るか。)

そう思い、キャンプ道具を片付け、この野営地を去り、故郷の田舎町に帰ることにした。


すんなり帰るというわけにはいかず、当然魔物には出くわしてしまった。


どんぐりを弾丸のように飛ばしてくる弾丸リス、

接近したときに嘴を一気に伸縮させて、刺突を狙ってくるキツツキ、

通称ヤリツキが目の前に立ちはだかった。


だが、あの日に母さんからならった技が俺にはある。


「神経締め」(しんけいじめ) ― 魔力をワイヤーのように伸ばして、魔物の脳を貫くことで神経系を切断し、麻痺の効果を与える。「締め」により素材の身にストレスを与えないため、身が引き締まり鮮度を保つことができる


「三枚おろし」(さんまいおろし) ― 魔力を上腕二頭筋に集中させることにより神速の三連撃をお見舞いする切断技だ。素材状態を「切断」に移行することができる。


弾丸リスが膨らんだほっぺに収納していたどんぐりを一つ取り出す。

直後、魔力をまるでしなる弓のように変化させて射殺すかのようにこちらに飛ばしてきた。

その速さはまるで弾丸のようで、ラグビーボールの投擲のようにスクリュー回転をしながら俺の眉間を狙ってきた。


しかし俺は冷静だった。弾丸リスの放つ弾丸どんぐりを刀で真っ二つにした後、一瞬でヤツに接近してワイヤー状の魔力でヤツの眉間に狙い撃つ。

そう「神経締め」を喰らわせたのだ。


弾丸リスは、まるで高圧電流で感電したかのように硬直して動けなくなっている。

そのスキに「三枚おろし」をヤリツキに喰らわす。一瞬でヤリツキに近づき、目にもとまらぬ三連撃!1HIT!2HIT!3HIT!とはいかず

その前に死んでしまった。


弾丸リスもあと一発喰らえが死にそうだ。命に感謝して、最後の一撃を喰らわす。

食材としておいしくいただくため、特殊調理を狙ってたのだが、まだ俺の技術の練度が低いためなのかその前に倒してしまった。


加減を間違えて身をボロボロにしてしまったんだ。次こそはうまくやって見せる。母さんのように。



そうこうしているうちに俺の田舎の故郷「ジャポンタウン」が見えてきた。

見渡す限りのどかな田園風景と古民家が立ち並ぶが穏やかでもあるが活気もある、そんな田舎町だ。


ここにばあちゃんが暮らしている。


漢方売ってバイト代を稼いで、さっさとあの学園に入学するんだ。

そう、マトリョーシカにね。




魔物討伐料理学園 ― またの名をマトリョーシカ

この世界において最も若者たちが憧れる偉大な学校である。

彼はこの学校に入学することを決めたのだが、その決断が彼の運命を大きく狂わせることはまだ先の話である。










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