【神喚の胎動】
ついに☆総合評価100pt☆になりました!!
皆さん本当にありがとうございます!!
初めての小説なので至らない点多いと思いますが温かい目で見守ってもらえると幸いです。
おかしい所は都度教えてください!修正していきます<(_ _)>
神殿・旧礼拝堂跡地
光が爆ぜ、そこから生まれたのは――“守護の像”。
祀られていたはずの石像が、命を帯びて動き出す。
石像の守護者が咆哮と共に腕を振り上げる。
その動きは重く、鈍い……だが一撃の質量は圧倒的だった。
「来るっすよ、セリナちゃん!」
じゅぴが叫び、魔導障壁を展開。
鈍色の拳が防壁を砕く寸前で、爆風が広がった。
「っ、クッ……!」
セリナはすれすれで回避し、すかさず反撃に移る。
手のひらから滑り出す黒刃が、神具の関節部へと飛ぶ。
「……魔導制御点、そこね!」
ガキィン、と金属音が響く。
石像が僅かにバランスを崩すも、すぐに再起動。
瞳に宿った神聖文字が、邪悪を排すように煌めく。
「“神具”、本気で動いてる……!これは、神殿上層が本格的に“解放”したのかしら……!」
そのとき、奥の闇に蠢く新たな影――
「来たっすよ、“縛鎖部隊”っす……!」
じゅぴが警戒を込めて睨む。
神喚の巫女の命を守るために創られた、神聖連合の“眠りの縛鎖部隊”。
白衣に覆面。無機質な鎖を自在に操る、精鋭の異端拘束術士たち。
「捕縛対象を確認。識別不能――脅威レベル、特級。制圧に移行する」
「分析されてる……? ふふっ、舐めてくれたわね」
セリナが一歩踏み込み、短剣を抜く。
リィナが影から滑り出て、まっすぐに笑う。
「ねぇねぇ、これ、やっていい? “殺しちゃだめ”でも、壊すのはOKでしょ?」
「“致命傷じゃなければ”OKっす♡ 遊んでいいっすよ、リィナ」
「わーい!」
リィナが舞うように突撃。
敵の鎖が地を這い、天井を撥ねる。
セリナとリィナが縦横無尽に回避し、鎖の軌道を読みながら、要点を狙い撃ちする。
じゅぴは魔導解析を続行し、地形の崩落と封鎖を同時に実行。
「“封印術式・逆相構成”……っと。道、閉じさせてもらうっす♡」
逃げ道が、次々と消えていく。
「……もう、あなたたちの舞台は“終わり”よ」
セリナの短剣が、縛鎖部隊の一人の胸元に突き刺さる。
防護結界をすり抜ける異質の刃――“影の毒”が、静かにその身を蝕む。
「制御不能……撤退――」
「させない」
影が伸び、逃走を阻む。
リィナの笑顔は満面に咲き、残る敵のひとりに囁く。
「ねぇ、あたしが怖い?」
「や、やめ――」
答えが終わる前に、動きを封じられていた。
巫女は、崩れる守護者を見て、唇を噛んでいた。
「……そんな、こんな力で……わたしの、“神”が……」
そして、彼女の瞳に――微かに、憎しみの色が宿る。
セリナはそれを見逃さなかった。
(……この子は、もうただの巫女じゃない。意志を持った“力”)
(……せつな様。捕らえるべき“神喚の器”は、今ここにいます)
魔力が沈黙し、石の守護者も、縛鎖の残党も沈黙した後。
その中心に立つ、白銀の少女――“巫女”は、膝をついていた。
その髪をなびかせることなく、空間に――赤い光が落ちる。
「っ……!」
光の奔流と共に、現れた影。
静かに降り立つ漆黒の王、せつな。
その姿に、巫女だけでなく、セリナすら息を呑んだ。
『……よくやった、お前たち』
言葉は静かで短い。だが、それだけで全てが報われる気がした。
じゅぴがふわりと笑いながら片手を挙げる。
「えへへっ、作戦成功っすよ、せつな♡ 捕獲完了~!」
リィナは満足げに小さくうなずき、巫女の傍に立ったまま、動かなくなった彼女を見下ろしていた。
「この子、案外おとなしくなったねぇ」
「麻痺結界と意識抑制、両方かけてあるっすからね。大丈夫、爆発もしないっすよ♡」
『転移陣を開け』
せつなが命じると、じゅぴが指先を弾き――足元に、淡紅の魔法陣が浮かび上がる。
「転送ルート、ネザリア直通。帰るっすよ、せつな、リィナ」
「……ふーん。ちょっと惜しいけど、了解」
リィナが巫女の身体を軽々と抱き上げ、三人の姿が光に包まれて消える。
――残されたのは、セリナだけだった。
(……無事、終わった。せつな様も、じゅぴも……リィナも無傷。巫女も捕らえた)
それでも、胸の奥にわずかなざらつきが残る。
(この子――本当に“敵”だったのかしら)
否。感情は不要。
自分は“仮面”であり、“影”。
任務を終えた今、必要なのは――次の一歩。
「……戻らなきゃ」
静かに身を翻し、崩れた神殿を、音もなく歩き去っていく。
――そして、ネザリア城
静謐な応接の間にて、捕らえられた巫女は、目を開けていた。
結界に守られた空間。魔力も言葉も封じられた場所。
だが、彼女の瞳は――不思議と静かだった。
せつなは、対面の椅子に腰を下ろすと、何も言わずその瞳を見つめ返す。
じゅぴは壁際に座り、リィナは窓辺で退屈そうに外を眺めていた。
巫女が、口を開いた。
「あなたが……“王”なのですね」
『……そうだ』
「夢で見ました。あなたのことを。赤い目、深い闇。そして――終わりの光」
『予知か』
巫女は微笑んだ。
「でも、私が見た“終わり”は……まだ来ていない。だから……ここにいる」
その微笑みには、恐れも、怒りもなかった。
せつなは、わずかに目を細めた。
そして、まだ何も語られていない“未来の物語”が、静かにその扉を開こうとしていた。




