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【完結済】堕神ノ書 〜異界支配の始原〜  作者: せつな
第四章【仮面の再出発】
89/159

【鎖の輪の中心へ】

二人目の感想頂けました!ありがとうございます!!!

やっぱり文字で頂けるとかなりうれしいですね...♪


☆☆累計PV8500☆☆

☆☆累計ユニーク1900人☆☆

 ☆☆☆評価6人☆☆☆


ブクマや評価だけでも励みになります!

よろしくお願いします<(_ _)>



神聖連合領・交易都市アールフェン

神殿・夜の回廊


白銀と黒の影が、並んで歩く。

ひとりは神に仕える者。

もうひとりは、神をも欺く仮面の使者。



巫女は、ぽつりぽつりと話し始めた。


「ご存知でした? この回廊、星の動きに合わせて設計されてるんです」


「……いえ、初耳ですわ。勉強になります」


(会話で気を逸らそうとしてる? それとも、これは“本音”かしら……)


セリナは、静かにその横顔を観察しながら歩く。


(ただの少女には見えない。でも、“完全に敵”とも断定できない)


(予知夢、神の声、特別な存在……それでも彼女の歩みは、妙に脆く見える)


「セリナさん、あなた……自分の“運命”を信じる方ですか?」


「ええ、“任務”を果たすことが、私に課された道ですから」


巫女は小さく笑った。


「……あなたも、“誰かの手の中”にあるのね」


(この子、本当に――見えているの?)


だが、それ以上を探ろうとしたそのとき――


ふたりが歩いていた先の扉が、かすかに揺れた。


そこは――“旧礼拝堂”跡地。

神殿内でも使用が禁じられている、封鎖された儀式空間。


「この先、使われていない場所なのでは?」


「ええ。でも、ここだけは……夢で何度も見たの」


巫女はゆっくりと手を伸ばし、扉に指をかける。


「……セリナさん。よければ、一緒に……」


(……自分から“囮”になるつもり?)


セリナの脳裏に、じゅぴの連絡が重なる。


《そっち、そろそろ範囲に入るっす。封鎖準備完了。リィナも配置済っす♡》


セリナはゆっくりと頷き、巫女に微笑んだ。


「……はい。ご案内、ありがとうございます」


ふたりは扉を押し開き、静かに中へ――


そこは、光の届かぬ黒き空間。 閉ざされた礼拝堂。その奥に、“眠りの縛鎖”が仕掛けられていた。


セリナの視線が、わずかに揺れる。


(……本当に、これでいいの?)


だが、その問いを飲み込むように、背後で音が鳴った。


カチリ――


封鎖結界、展開完了。


“影の輪”は、閉じた。





神殿・旧礼拝堂跡地


石の扉が静かに閉まり、重厚な音が空間を包む。


「……この空気、なんだか変ですね」

巫女が小さく呟く。


(――今だ)


セリナは動かぬまま、目だけで全方位を確認する。

影の結界はすでに展開され、空間の出入口はすべて封じられた。


天井からゆっくりと降りてくる、黒糸のような縛鎖。

礼拝堂の壁面に埋め込まれた封印術式が、淡い光を帯び始める。


巫女の足元――その影が、静かに震えた。


「セリナさん……ここ、何かが……」


次の瞬間。


空間が反転する。

結界内に組み込まれた幻術が起動し、周囲の空間認識を切り替えた。


そして――


「お疲れっす、セリナちゃん♡」


礼拝堂の天井裏から、軽やかな声とともにじゅぴが降ってくる。


「っ……あなたは……」


巫女が驚きの色を見せるより早く、反対側の柱の影から、リィナが音もなく姿を現す。


「ふふっ。やっと会えたね、“神喚の巫女”ちゃん♡」


両側から包囲され、巫女は一歩だけ後退した。


だが、その顔に浮かんだのは――怯えではなく、静かな諦観。


「……そう。これは“私の見る夢”の一つ、だったのですね」


「ふぅん? 夢の中で会ったんすか、うちらに?」


「ええ、何度も。……でも、これは変えられない未来のような気がしていたのです」


セリナが一歩、前に出る。


「……あなたは、まだ自分の“立場”を理解していないようね」


巫女の灰色の瞳が、静かにセリナを見返す。


「立場ではなく、“選択”だと思っています」


(……この状況で、そう返すなんて)


セリナの心に、わずかな乱れが走った。


じゅぴは小さく肩をすくめたあと、封印起動の手順に入る。


「じゃ、さっさと“捕まって”もらうっすよ♡ おとなしくしてれば痛くないから、たぶん」


「……ふふ」


そのとき、巫女が微笑んだ。


「夢の中では、あなたも“笑って”いました。――けれど、それはもっと“後”のこと」


「……?」


じゅぴが不思議そうに目を細める。


そして、リィナが目を細めたまま、殺意の篭った一歩を踏み出す。


「悪いけど……眠っててもらうよ?」


――が、その瞬間。


空気が一変した。


巫女の足元の影が、逆流するように“光”を放った。


セリナが反射的に後ろへ跳ぶ。


「リィナ! 離れて!」


「ちっ、やるじゃん……!」


礼拝堂の中心で、巫女の足元に出現したのは、未知の術式。


まるで“神殿そのもの”と共鳴するかのように発動した、純白の逆封結界。


「……眠りの鎖を、断ち切ります」


その言葉とともに、結界の一部が反転――

空間が砕け、光が爆ぜる。


だが、じゅぴの声は崩れなかった。


「さ~て。ちょっと予想外だったっすけど、想定内っす♡」


「セリナちゃん、プランBいくっすよー!」


「了解」


空間が砕けても、戦略は崩れない。


影の輪は――なお、巫女を逃さない。

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