【仮面と食卓】
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ありがとうございます!!!
まさか投稿始めて2カ月ほどでこんなに見てもらえると思ってませんでした(震)
伏線やら内容やら名前など色々考えながら初めての小説なんでおかしいところあればすぐ教えてくださいww
【仮面と食卓】
アールフェン旧市街、路地裏の定食屋。
木製の小さなテーブルに、湯気を立てるスープとパン。 あくまで地味だが、地元冒険者には定番の店だった。
セリナはフードを外し、控えめに手を合わせる。
「いただきます。こういうの、久しぶりですね」
「だろ? ここ、昔よく来てただろ。あんときゃ緊張して口数少なかったのにさ」
「えっ……そうでしたっけ?」
セリナは困ったように笑う。
(ええ、演技だったけどね。正確には、視線を避ける必要があっただけ)
ルカはパンをちぎりながら笑った。
「ま、いいさ。今はこうして肩並べて飯食ってんだ。悪くない」
「……ありがとうございます、ルカさん」
しばらく、他愛もない話が続いた。 試験地の空気、ギルドの裏話、いつの間にか消えた酒場の話―― セリナは穏やかに、ほとんど外見通りの“普通の冒険者”として微笑んでいた。
だが、唐突に。
ルカの口調が少しだけ硬くなった。
「なあ、セリナ。……王国の件、聞いたか?」
セリナの手が、わずかに止まった。
「……王国……?」
「三日前だよ。急にすべての連絡が途絶えて、偵察の使者すら戻らなくなった。 街ごと消えたようなもんだって、噂が駆け巡ってる」
「……本当に……?」
セリナはスプーンを伏せ、少し眉をひそめる。
「ごめんなさい……私、ちょうど試験区に居たから、まったく……」
「やっぱりか。外との通信が遮断されてたって聞いてたしな。 けど、こっちはそれどころじゃなかったぞ。ギルドでも神聖連合でも対応に追われてさ」
「連合が、ですか?」
「そう。上層の神官たちが集まって、“対話”を軸に動き出すって言ってるけど……実際、誰と対話するつもりなんだろうな」
(……ふふ。“対話”ね。遅すぎたわ。もうせつな様は“答え”を出しているというのに)
セリナは顔には出さず、わずかに微笑む。
「でも、平和的な動きがあるのは、よかったと思います。争いが避けられるなら」
ルカはパンをちぎって、苦笑した。
「お前、昔からそう言うよな。優しいとこ、変わってねえわ」
「……そうですか? なら、よかった」
(本当は、優しくなんかないわ。私は“命令”と“結果”しか信じてない)
「……にしても、お前がAランクなんてなぁ。もう、完全にこっちの背中が見えてねぇよ」
「いえ、そんなこと……。ルカさんは、頼れる先輩ですから」
「お、おう。……まぁ、先輩らしいとこ、今のうちに見せとくさ」
二人の食事は穏やかに続いていた。
だがその仮面の下では、まったく別の速度で――“戦争後の世界”が動き始めていた。
神聖連合・聖都ルヴァリエ
真っ白な石柱が立ち並ぶ神殿の奥、神の光を象徴するとされる光輪の間。
その中心に、聖職者、神官、各国代表が一堂に集っていた。
「……ついに、王国が滅びた」
重苦しい声が、最奥の円卓に響く。
「痕跡はない。全通信は遮断。生体反応も、ゼロ。……まるで、最初から存在しなかったかのように」
ざわつく空気。
ざわめきの中に、誰かが口を開く。
「“漆黒の城”……あの存在が関与しているのは、ほぼ確実ですな」
「だが信じがたい。王国が、一夜にして――我らと並ぶ五大国家のひとつが、跡形もなく?」
「現実を見ろ。これは“戦争”ではない。“絶対的な意志”の行使だ」
神聖典礼庁長官・ヴェレムは、厳かな口調で言い放つ。
「これは“神罰”か? 否――“神に等しき意思”の示威と見做すべき」
「……ならば、我ら神聖連合はどうすべきか?」
「諸君。我らの理は“調停と信仰”にある。だが今、それを踏みにじる者が現れた」
「では……交渉か。あるいは、聖戦か」
場が再び揺れた。
「我らが戦えば、連合全土を巻き込む。……だが黙していれば、“次”は我らだ」
その言葉に、誰も否定できなかった。
沈黙の中、ヴェレムが一歩進み出る。
「まずは、接触する。我らの意志を伝え、“対話の扉”を開けるか試みよう」
「だがそれと同時に、全軍に警戒態勢を。……この存在が“神に匹敵する”ならば、我らはその“奇跡”に備えねばならぬ」
白い光の中で、祈りと恐れ、誓いと疑念が交差していた。




