【終幕の刻印】
【終幕の刻印】
王都――翌朝。
太陽が昇るはずの空は、血のような赤に染まっていた。
かつて喧騒と誇りに満ちていた王国の中心には、今や――何の音もなかった。
崩れ落ちた城壁。黒く煤けた王宮の残骸。焼け焦げた街並み。
そこには誰一人、声を上げる者すらいない。
「生体反応、全域ゼロっす」
じゅぴの演算報告が静かに響く。
「地上、地下、魔導施設、貴族街、スラム、全域調査完了――王国側、完全沈黙」
「……殲滅、完了。残滓すら無し」
風が吹いた。
燃え残った城の上に、黒き旗がひとつ、ひらりと舞い上がる。
その中央には、紅の紋章――“漆黒の支配者”の印が刻まれていた。
王国、壊滅。
名を持っていたはずの国家は、もはや“ひとつの終焉”として、歴史に刻まれるのみとなった。
ネザリア城・帰還後
転移陣が淡く光り、せつな、リィナ、じゅぴの姿が現れる。
「たっだいま〜っす♡ 完っ全勝利、報告するっすよ〜!」
じゅぴが両手を広げながら叫ぶと同時に、横のリィナはぴょんと跳ねて笑う。
「たのしかったぁ……♡ でも、もう終わっちゃったの?」
「次は“おかわり”あるっすかねぇ? リィナちゃん♡」
「ん〜……ぼくまだ、ぜんぜん物足りないよぉ……。もっと“壊して”いい?」
「ダーメっすよ、計画通りの順番ってあるんだから♡」
ふたりのやり取りが続く中、詰所の奥、無言でその光景を見つめていたグレンたちは、ただ――言葉を失っていた。
「これが……」
「……あの“王”の力……?」
「人じゃ……ない……」
無力感でも、恐怖でもない。 ただひたすらに、“理解の外”にある力への――畏怖。
セリナは彼らの背後に立ち、ひとこと呟く。
「……せつな様に楯突くからよ。すべては、自業自得」
その声音に怒りも嘲笑もなかった。ただ、当然の結果を語るように。
数日後――
大陸各地で、奇妙な沈黙と混乱が広がり始めていた。
「……王国が……消えた……?」
「たった一夜で、国そのものが……?」
「いや、あり得ない……いや、神罰か……!?」
各国の王宮、交易都市の商会、辺境の武人組織――あらゆる勢力が震撼した。
そして、中央宗教圏“神聖連合”。
“神の名のもとに大陸を守護する”とされる、その教会国家群が、極秘裏に動き始める。
「神託は告げている……“異端の黒”が、均衡を破壊する」
「新たなる審判の時が、迫っている」
ちょっと短くなりましたが3章終わりです!いかがでしたでしょうか??
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