【破滅の幕開け】
【破滅の幕開け】
王都・城壁上――
「全兵、持ち場につけ!」
老将軍が怒鳴り、城壁上の兵士たちは慌ただしく持ち場へと散った。
だがその表情には、不安と恐怖の色がはっきりと浮かんでいた。
「本当に来るのか……」
「簡単にこの王都を落とせるはずがないだろう……」
兵士たちは不安げにざわついている。
王都・正門前――
次の瞬間、空間が歪み、漆黒の転移陣が展開された。
陣の中央に、堂々と姿を現したのは三つの影。
中央には漆黒の鎧、赤く冷たい瞳――せつな。
その両脇には、上機嫌で微笑むじゅぴと、殺意を滲ませ微笑むリィナ。
城壁上の兵士たちが一瞬にして息を呑んだ。
「……あれが、“漆黒の王”……!?」
「三人だけなのか……!?」
その動揺をかき消すように、老将軍が叫ぶ。
「敵は三人だけだ!恐れるな、弓を構えろ!」
兵士が弓を構えようとした瞬間――じゅぴが楽しげに指を掲げた。
「はい、そこまでっす♡ 」
じゅぴの指先から膨大な魔力が放たれ、王都全域を包み込むように巨大な結界が展開された。
「な……なんだこれは!?」
「結界だと!? 」
兵士たちは逃げ場を失い、さらなる恐怖に震えた。
『……ふん。脆いな』
せつなの冷淡な声とともに、漆黒の波動が城壁を襲う。
その波動を浴びた兵士は次々と崩れ落ち、悲鳴がこだまする。
「ひぃぃ……!!」
「助けて……っ!」
兵士が絶望に陥る中、リィナが楽しげに前へ出た。
「ふふっ、誰も逃げられないなら、狩り放題だねぇ……♡」
『好きにしろ。容赦は要らん』
せつなが静かに命じると、二人が動き出す。
結界に封じられ、逃げ場を失った王都は――
圧倒的な殺戮と絶望に支配され始めていた。
王国全体を覆う巨大な結界が、逃げ場を奪い、絶望を刻み込んでいた。
「さて、始めるっすよ~♡」
じゅぴは楽しげに指を鳴らす。瞬間、その周囲に展開した無数の魔法陣から破壊の魔力が溢れ出し、王国の兵士たちを飲み込んでいく。
「ぐわああっ!!」
「た、助け……!」
悲鳴を上げる兵士をよそに、じゅぴは舞うように笑った。
「逃げられないって言ったっすよねぇ? ちゃーんと話を聞かない子は、こうなるっすよ♡」
一方、リィナは音もなく城壁を駆け上がっていた。
兵士たちは抵抗する暇もなく、彼女の短剣と影の刃に斬り裂かれていく。
「ねぇ、どう? 痛い? 怖い?」
リィナは恍惚の表情を浮かべ、兵士たちの絶望を楽しんでいた。
「もっと逃げてみてよぉ。……逃げ場なんて、どこにもないんだけどねぇ♡」
彼女の足元には、絶命した兵士の山が積み上がり始めていた。
そんな二人の惨劇を背後に、せつなは堂々と、まっすぐ王城に向かって歩いていた。
その道を塞ごうとする兵士たちが次々と立ちはだかるが、彼は一瞥すらせず、その黒剣を無造作に振るうだけだった。
「ひ……!」
黒剣が空を裂くたびに、兵士たちはまるで枯れ葉のように斬り散らされていく。
『邪魔だ』
せつなはただ静かに歩を進める。
そこに激情も狂気もなく、ただ圧倒的な支配者の冷徹な殺戮があるのみだった。
王都の道は鮮血に染まり、兵士たちの悲鳴が響き続ける。
漆黒の王とその配下の前に、もはや抵抗という言葉は存在しなかった。




