【人の視座/断罪の王】
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【人の視座】
ネザリア城・兵詰所――
魔導スクリーンに映るのは、常識が砕ける“戦場”だった。
「……あれが……“リィナ”……?」
画面の中、小柄な少女が笑いながら駆け抜けていた。
まるで舞うように。
踊るように。
そのたび、兵士の首が飛び、影が喰らい、血が地に咲く。
「“笑ってる”……?」
「……あんなの、人間じゃねえ……」
兵たちの顔が、青ざめていく。
刃を携え、メイド服で戦場を駆ける“少女”――
だが、そこに可憐さも哀れみもなく。
あるのは、“死の悦び”だった。
敵を裂きながら、血を浴びながら――笑っていた。
「こっちまで、吐きそうになるな……」
次の映像には、別の“悪夢”があった。
制御室で椅子をくるくる回しながら、
大量の敵兵の位置を把握し、的確に“死地”へ誘導する、じゅぴ。
「こいつ……“楽しんでやがる”……!」
魔導スクリーンの映像が、一瞬遅れて消える。
それは、じゅぴの操作で一つの中隊が“存在ごと”消された合図だった。
「“遊んでる”……指先ひとつで、命を……」
笑って、歌いながら、何百という命を弄ぶ少女。
その声は、どこまでも甘く、どこまでも残酷だった。
「……敵に回すべき相手じゃねえな」
グレンが低く呟いた。
「いや、“味方だとしても”、戦場じゃ背中預けたくねえタイプだろ」
誰かが震える笑いで応じる。
だが――
その恐怖の中で、
最大の“理解”が訪れる。
画面の中心、戦場の中央に現れた“黒”――
「……来た……ッ」
漆黒の王せつな。
その存在を見た瞬間、兵たちの背筋に、何か“重いもの”が落ちた。
リィナやじゅぴが“怪物”なら――
せつなは、“それらを従える王”。
「……隊長……これ、本当に“王国”が戦う相手なんですか……?」
若い兵が、震える手で問いかけた。
グレンは、スクリーンを見つめたまま答える。
「……いや。違う」
「これは、“戦争”じゃない。“処刑”だ」
そして言う。
「だが、俺たちは――それを、見ていられる立場にいる。
だからこそ、見ろ。焼き付けろ。“世界が変わる”瞬間を……!」
彼の声に、兵たちが真剣な表情を取り戻す。
恐怖の中に、一筋の理解が芽吹く。
それは――“生き延びるために必要な理解”。
【断罪の王】
王国軍・後衛陣地――
戦線が崩壊し、前衛の兵は壊滅。
かろうじて指揮系統を保つ最後の砦――その中枢に、震える指揮官がいた。
だが――
「……みーつけた♡」
影の中から、ぬるりと現れた気配。
リィナ=シュヴァルツ。
白銀の髪を揺らし、短剣を手に、まるで獲物を見つけた猫のような目で、指揮官を見つめていた。
「ぼく、“せつなの敵”探してたんだぁ……君が、指揮官かな?」
「ま、待て……! わ、我々は……っ!」
「うるさいよ?」
その刹那、リィナの影が動いた。
短剣が跳ね――その首を、今まさに跳ねようとしたその瞬間――
「――待て、リィナ」
その声が、空間を支配した。
重く、深く、静かにして絶対の声音。
リィナは刃を止め、嬉しそうに振り返る。
「……せつな♡」
「そいつとは話がある。お前は――他を片付けて来い」
その命令に、リィナは少し唇を尖らせたが、すぐに笑顔に戻る。
「……はぁい♡ でも、あとで“遊んで”いい?」
「……こいつはダメだ」
「んーざんねんっ♪」
ひらりと身を翻し、リィナは再び影の中へ溶けていった。
指揮官は、その場に座り込んだ。
「く、来るな……っ!」
せつなは一歩ずつ、何の急ぎもなく歩み寄る。
静かに、大剣を抜いた。
そのまま、何の予告もなく――
ズンッ!
腕が、斬り落とされた。
断末魔も出ない。
痛みすら追いつかず、ただ肉が裂け、骨が砕け、血が地を染める。
せつなは剣を収めることすらせず、ただ見下ろして呟いた。
『……さて。舐めた真似をしてくれたな』
「ひ、ひぃっ……あ、あぁあ……!」
『――貴様らの行動は、“死”をもって償ってもらう』
その言葉は、裁定だった。
『王国の民を含め、何一つ逃がす気はない。』
言葉を発するたびに、空気が冷えていく。
周囲の兵たちは逃げようとしたが――
“影”がすでに四方を塞いでいた。
逃げ道など、最初から存在しない。
「ど、どうして……!」
指揮官の震える問いに、せつなはただ一言だけ返した。
『我が城に、牙を向けたからだ』
それは、世界の理のような言葉だった。
裁判でも、交渉でもない。
これは、“執行”――漆黒の王による、絶対の断罪。




