第二章【仮面の潜入者】
☆祝☆100PV超え!!
さらに初評価ありがとうございます!!
これからも頑張って書いていきます!!
すでに4月末まで予約投稿済み
毎日20時に更新予定です!
ネザリア城・玉座の間。
せつなの報告を受けた幹部たちは、静かにうなずいた。
「あの街は、警備も魔力防御も薄い。だが……何かがおかしい。空気が、違う」
せつなの声は低く、鋭く響く。
「俺やじゅぴ、リィナ、その他幹部クラスが動けば……抑えても目立ちすぎる。
だから今回は、一般の戦闘用メイドユニットの中から、ひとりを選んで潜入させる」
「了解っす。偽装プロファイルはじゅぴが用意するっす。
装備から魔力量、表情制御まで、“ただの地味な冒険者”って感じに仕上げるっすよ〜♪」
「……ふぅん。じゃあ、せつな」
リィナがすっとせつなの隣に寄り、紅い瞳でちらりと横目を向けた。
「その子が失敗したら……ぼくが全部、片付けちゃってもいいよね?」
「……何かあれば、俺が動く。それまで、お前の出番はない」
「うん。……ちゃんと、見せてね。せつなが“誰の”ご主人様かってこと」
甘く囁くように言いながら、リィナはぴったりとせつなの腕に張りつく。
じゅぴが「やれやれっす……」と小声でため息を漏らしたが、誰もツッコまない。
――そのとき、ひとりの少女がすっと前に出る。
肩までの黒髪、低めの身長。無表情ながらも、整った所作を見せるその姿。
「……一般戦闘メイドユニット、識別コードMA-014。潜入任務、拝命いたします」
彼女は、城に配属された中では“もっとも影が薄く、目立たない”とされた個体だった。
だが性能は、上位プレイヤー相手にすら引けを取らない。
「偽名は“セリナ=アルメリア”でいこう。装備は下級冒険者用に見せかけたダウングレード装。魔力抑制処理を二重にかけろ」
「了解、せつな様。潜入中は敵対行動を極力避け、情報収集を最優先とします。
……敵対が確定した場合のみ、最低限の制圧処理を許可いただけますか?」
「一瞬で終わらせろ。誰にも気づかれるな。可能ならそのまま拘束して連れ帰れ」
「……かしこまりました」
“セリナ=アルメリア”と名を与えられた彼女は、頭を深く垂れ、すぐさま転送室へと向かう。
その背中に、誰よりも無言の自信と忠誠が滲んでいた。
せつなは静かに目を閉じる。
――この世界は、まだ“始まったばかり”。
だからこそ、その異常を、慎重に解き明かす必要がある。
そして、最初の一手を打つのは――仮面を被った、たったひとりの影だった。
ここから「仮面の潜入者」がスタートです!
今回は新キャラ“セリナ”が初登場し、せつなからの密命を受けて街へ潜入していきます。
情報戦・潜入・演技――彼女の本領がこれからどんどん発揮されていくので、ぜひ楽しんでください!
次回はさっそく仮面の演技が炸裂します✨