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【毎日20時更新】堕神ノ書 〜異界支配の始原〜  作者: せつな
第一章【黒き城】
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【偵察と接触/帰還】

【偵察と接触/帰還】


「……十分だ。戻るぞ、じゅぴ」


「了解っす。転移ポイント、展開!」


じゅぴが指先で空を切ると、空間に転移陣が開かれる。

事前にセットしておいた帰還座標――

ネザリア城・玉座の間へ直通の魔法ゲートが輝く。


ふたりの姿は、再び風のように溶けて消えた。


【偵察と接触/玉座の間にて】


転移の光が弾け、重厚な玉座の間がふたりを迎え入れる。

その瞬間、控えていた黒衣のメイドたちがひざをつき、頭を垂れる。


「おかえりなさいませ、せつな様、じゅぴ様」


儀礼のように美しく揃った声。

だが、ひときわ目を引いたのは、その列から静かに歩み出たひとりの少女だった。


「……おかえり、せつな」


それはリィナ=シュヴァルツ。

小柄な身体を覆う漆黒のメイド服の裾が、足取りに合わせて静かに揺れる。

表情はほとんど変わらない。でも、その紅い瞳は――まっすぐに、せつなだけを見つめていた。


「今日も、おつかれさまだよ。……ねぇ、膝、貸してあげよっか?」


甘く囁くような声。耳元に届いた瞬間、じゅぴの眉がぴくりと跳ねた。


「うわ、出たっすよ……ぴったり張りつきストーカー……」


じゅぴがこぼすと、リィナは視線を向けず、ただ無表情に呟く。


「せつなの隣は、ぼくの場所……邪魔、しないでねぇ?」


静かに、でも確実に“殺意”を含んだ声。

その柔らかさの裏に、獣のような本能が潜んでいるのは、誰の目にも明らかだった。


「……やっぱ、こわいっすこの子……

でも殺しには来ないんだよねぇ、いつもギリギリで止まるっていうか……」


「せつなが止めるなら、ちゃんと我慢するよ。……だけど、誰にも触れさせない。

せつなは、ぼくだけのご主人様なんだから」


静かに、甘く、執着をにじませる声でそう言いながら、リィナはすっとせつなの隣に立つ。

一ミリも隙を空けない位置取り。あからさまな“縄張り主張”だった。


せつなはその様子に何も言わず、ただ軽く息をつく。


「――幹部たちを、玉座の間へ。状況を共有する」


命じる声に、メイドたちは即座に動き出す。

各部門の幹部NPC――戦闘、情報、防衛を担うエリートたちが、次々と姿を現した。


その中心にいるのは、せつな。

そしてその両脇に――いつものように静かに火花を散らす、じゅぴとリィナ。


戦いはまだ始まっていない。

けれど、“陣形”だけはもう、完璧に整っていた。

偵察任務を終えたふたりが帰還!

そして、張りつきメイドと小悪魔AIのバチバチ火花が始まります。

リィナとじゅぴ、それぞれの“隣の座”への執着にもぜひ注目してやってください。


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