【従者たちの連携】
ネザリア城・中央作戦室。
魔導スクリーンに映し出されるのは、王国側の調査隊の映像記録。
じゅぴが指を滑らせ、音声を解析しながら報告する。
「――出たっす、調査隊。王都近郊の駐屯地から発進、進路は完全にこっち。
言ってたのは“領内に出現した未確認構造物”、あと“高密度魔力を帯びた不審拠点”って……ふざけてるっすよね」
スクリーンから流れる兵士たちの会話が、城内に響く。
――『なんでまた、こんなとこに城なんかが……』
――『知らん。だが王都の魔導院が反応を検知して動いたらしい。無視できる規模じゃなかったんだとよ』
――『どうせまた、どっかの錬金術師が暴走してるんだろ? 面倒くせぇ……』
――『任務はあくまで調査だ。だが……敵意が見えたら、即時制圧の準備もあると聞いている』
じゅぴがスクリーンを止め、振り返る。
「なーんか……“こっちが悪い”って前提で動いてるっすね。
名前も知らずに、“不審な魔力の城”とか言って……せつなの城をよくも」
その言葉に、玉座に座るせつなの指が、静かに肘掛けを叩いた。
「……ふざけた連中だな。“自分たちの領地に建った”から調べる?
なら、まずは“こちらに話を通す”のが筋だろう」
「ねぇ、完全に見下してるよ。せつなの城を“調査対象”扱いとか――
その身の程知らずな口、引き裂いてやりたい」
と、低く呟いたのはリィナ。
その声は、普段の甘さを削ぎ落とした、冷たく乾いた声音だった。
「……この城は、俺が築いた場所だ。
時間も資源も、リアルでもゲームでも――あらゆる努力を注いで、大切に育ててきた“俺の城”だ。
それを、“無断の拠点”だと? ……なめたことを言ってくれる」
せつなの言葉には、明確な怒気が滲んでいた。
「……なめた口を利くなら、“言葉が出せない”ようにしてやる。
直接同じ態度を取ってみろ。徹底的に潰す」
「はいっす。なにか仕掛けてきたら、即・撃滅対応っす♡」
「じゅぴ、調査隊の動向を継続監視しておけ」
「了解っす♡」
「リィナ、お前は防衛ラインの最終チェック。
万が一、隠密で入り込む者がいれば、すべて始末しろ。……必要なら、“気配”だけで処理していい」
「うん。せつなの手を煩わせることには、ならないから」
「そして、セリナには――潜入を継続させろ。
“問題が発生しそうだ”とだけ伝えろ。こちらからの次の連絡までは、大きな行動をするなと」
「“冒険者ランク”、上げるようにも指示しておくっす。行動範囲を広げるために、ね♡」
「……よし。全体の方針は維持だ。
“こちらの存在”にどれほど近づいてこようとも――玉座には、一歩も踏ませない」
魔導スクリーンの光が、ゆらりと揺れる。
せつなはそのまま、ゆっくりと玉座の背に身を預け、静かに目を閉じた。
その沈黙が意味するのは――警戒、そして断罪。
“敵”と判断された瞬間、彼の王国に許される余地は――ない。




