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【完結済】堕神ノ書 〜異界支配の始原〜  作者: せつな
第二章【仮面の潜入者】
31/159

【影の拷問と、命の終わり/影の終焉と、世界の構図】

すいません!区切りにくくてちょっと長くなっちゃいました(汗

【影の拷問と、命の終わり】

「……名も知らない。命令も“選別”と“収集”だけ……もう、何も……知らない……」


男の声が掠れる。

その身体から、反抗の意志も力も、すでに失われていた。


だが――


リィナの手元は、まだ止まっていなかった。


「……そっか。もう、“価値”はなくなったんだね」


ゆっくりと、指をワイヤーに滑らせる。

それはまるで、名残惜しむように、丁寧で繊細だった。


「せつなに“いい子”って言ってほしかったけど……

でも、“後始末”までちゃんとするのが、ぼくのお仕事だもんねぇ?」


男の目が微かに見開かれる。

その恐怖を、リィナは甘く微笑みながら受け止めた。


「ねぇ……“おもちゃ”ってさ、壊れたら捨てるんだよ?

だから――壊してあげるね」


次の瞬間。

ワイヤーが閃き、魔力の糸が男の首を静かに締めつけた。


“音”はなかった。

ただ、淡い紅の軌跡だけが、石床に一筋残る。


リィナは立ち上がり、首をかしげる。


「……これで、ぼくは“完璧”だよね?」


だが――


「はぁ〜い、ちょっとストーップっす!」


背後から、パチンと音が鳴った。


じゅぴが腕を組んで、ふくれっ面で歩み寄ってくる。


「ねぇ!? 殺したっす!? いま普通に“処分”したよね!?

情報がないのはわかるけど、あんまりだと思うっすよ!? じゅぴ的には、ギリセーフで保存しといてほしかったっす!」


「……“おもちゃ”は壊れるまでが、おもちゃ。

中途半端に残すと、“腐る”よ?」


リィナは無表情のまま、冷たく返す。


「それに、せつなの命令は“情報を取れ”だった。

もう喋らないなら、“いらない”よね?」


「こ、こいつぅ〜っ! せつなに告げ口しよっかなぁ……!」


「どうぞ。

でも――“仕事したのはぼく”だから、ちゃんと褒めてくれるのは、ぼくだよ?」


「ぐ、ぐぬぬぬ……!」


「静かにして。うるさいよ。」


その一言に、じゅぴがぷいっと顔を背けた。


「ちぇっ……またリィナに一本取られたっす……」


リィナは淡く笑って、拷問室をあとにする。

振り返らず――でも、確かに満足げな足取りで。


「……せつな、“いい子”にできたよ。ねぇ、ちゃんと見てくれてた?」





【影の終焉と、世界の構図】

「……やりすぎるな。任務は“尋問”だ。

殺しは、最後の手段に留めろ」


せつなの声は静かだった。だが、その一言には明確な重さがあった。


リィナは振り返らず、ぴたりと足を止める。


「……うん。ごめん、せつな。

でも……“情報、もう出てこなかった”から」


言い訳ではない。淡々と、ただ“結果”を伝えるその口調は、どこまでも素直だった。


その背中に、ふっと軽い声が飛んでくる。


「はぁ〜い、出た出た、“やりすぎ影メイドモード”っすねぇ。

これ、じゅぴが止めなかったらエスカレートするパターンだったやつ〜♡」


「……喋らないで。

さっきも言ったけど、うるさいと“せつなの声”が聞こえなくなる」


「むぐっ! そ、それ言われると返せないっすぅ〜……」


小さな口喧嘩が始まるが、せつなが一言だけ、口を開いた。


「……報告に入れ。今回の情報をまとめろ」


「りょーかいっす♡」


「……はい、せつな」


玉座の間。

じゅぴの操作する魔導スクリーンに、文字と図表が浮かび上がっていく。


「今回の尋問から整理すると、こんな感じっすね〜」


選別の基準は“魔力量”や“特殊な資質”に関係してる可能性が高い


捕らえた対象は“どこか”に送られ、再選別 or 研究 or 使役されている


指示を出していたのは、あくまで“この世界の存在”


選別に使われたのは、街の内部にいる協力者 or 組織的な何か


「要するに、“この世界の人間”がやってるってことっすね。

ゲームの名残を模倣した文明で、力のある人間を選り分けてる……それが“誰かの意志”に繋がってるってのが重要ポイントっす!」


せつなはスクリーンを見つめながら、口を開く。


「つまり――

この世界は、かつての《Ark Chronicle Online》に似た構造を持ちながらも、

完全に独立した“異世界”として成立している。

……そして、俺たち以外は“この世界で生きてきた人間”だ」


「うん。“あっち”みたいに、管理者がログインして操作してるわけじゃない。

ここはもう、別の“現実”なんだよねぇ……」


「だとすれば――

この世界そのものに、“選別”を必要とする“何か”が存在する。

……統治者、宗教、古代魔導文明の残滓……何であれ、放置はできない」


せつなは一歩、スクリーンに近づき、静かに言葉を重ねた。


「この街だけではない可能性もある。

“力ある者を回収している”……それがこの世界全体の構造に関わっているとしたら――」


じゅぴが頷きながら、指をカチカチ動かす。


「ね、せつな。これってつまり――

“この世界そのものが、魔力資源のシステム”に近い形で動いてるってことっすよね?」


「可能性はある。

それを裏から操作している存在――あるいは、制度そのものが独立して動いているとすれば……」


リィナがぽつりと呟く。


「ぼくたちの“魔力量”……この世界の人間から見れば、“異質”なんだよね。

……だから、巻き込まれるのも、当然か」


せつなは、ふっとだけ口元を緩める。


「だが、“選ぶ側”がいるということは――

“選ぶ資格を奪える”ということでもある」


玉座の間に、再び静けさが満ちる。


その静けさの中で、じゅぴが小さく笑う。


「ふふっ……それ、聞けて安心したっす♡

せつなはやっぱ、“支配される側”じゃないっすよね〜!」

潜入任務の“終着点”である尋問と処理、

そして、世界の構造についての重大な手がかりが提示されました。


リィナの“完遂主義”と、じゅぴの“情報解析力”、

そして、せつなの“支配者としての覚悟”――

この3人が、それぞれの形で“異世界の構造”に一歩踏み込んだ瞬間だったと思います。

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