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【完結済】堕神ノ書 〜異界支配の始原〜  作者: せつな
第二章【仮面の潜入者】
30/159

【リィナ=シュヴァルツの拷問術/情報と口喧嘩と】

ついに更新30日目!!

しかも累計PV1000突破!!

総ユニークアクセスも400突破!

まさか一か月で1000PV行くと思ってなかったので本当に皆さんありがとうございます!

【リィナ=シュヴァルツの拷問術】

地下の拷問室に、低く湿った音が響いていた。


石床に縫い止められるように、男が四肢を拘束されている。

肉体強化も魔法も、すでに封じられた状態。

ただ震える肉体と、歯の奥に隠した“最後の抵抗”だけが、かろうじて意志の名残だった。


「せつながね、教えてって言ってるの。だから、全部、喋って?」


「誰が……っ、お前らなんかに……!」


リィナは淡く微笑むと、しゃがみ込んで男の頬へと指を這わせた。


その仕草はまるで恋人のようで――

だが、指先から伝わる“気配”は、殺意と支配そのものだった。


リィナの紅い瞳が、ぴたりと男の瞳に重なる。


同時に――男が動いた。


顎の筋肉が一瞬、緊張する。


ガクン!


その動きを、リィナの指が先に止めた。

顎の付け根、わずかな急所をピンポイントで突き、噛み切る力を完全に逸らす。


「ダーメ。“自害”は許可してないよ?」


血と唾液が、男の口元からこぼれる。


「……あ、喋ることはできるようにしてあるから。ほら、よかったね? 苦しみながら、ぜんぶ言えるね」


リィナはふんわり笑う。

仄かに甘く、蕩けるような声音――

けれどその瞳だけは、まるで氷のように冷えていた。


「ねぇ、“選別”って、なに? あの拠点で“反応”とか言ってたけど……誰を、なにのために?」


「っ、く……!」


男の口元が震える。

その眼には、ついに“恐怖”と“理解”が浮かび始めていた。


「……異常な魔力密度が……選ばれる……“向こう”に送る……俺は……何も知らな――」


「嘘、ダーメ。知らない人は、最初から“呼ばれない”から」


リィナの口元が、わずかに綻ぶ。


「でも……がんばったよね。えらいえらい。

じゃあ、せつなに報告するぶんは、足りたかな?」


男はぐったりとうなだれ、声も出さずに項垂れた。


リィナはゆっくりと立ち上がり、血で濡れた指先をハンカチで拭いながら、

静かに背後の扉へと向かう。


「ねぇ、せつな――ぼく、また“いい子”できたよ?」




【情報と口喧嘩と】

「“反応”ってのは……魔力の異常密度……標的の素養を……っ」


男のかすれた声が、石の壁に吸い込まれていく。


その隣――

拷問室の壁際には、じゅぴが設置した魔導スクリーンが静かに点滅していた。


「ふんふん、“選別”対象は魔力量の突出個体……

“向こう”ってのは拠点移動後の再試験……ほうほう、けっこうヤバい話っすねぇ〜」


魔力入力型の水晶キーボードをぱちぱちと叩きながら、じゅぴがにこにこ笑う。


「……じゅぴ。喋らないで。空気、邪魔」


「はー!? なにそれー!? じゅぴ、今すっごいお仕事してるっすよ!?

リィナこそ、喋りながら拷問してる方がどうかと思うっすけどぉ?」


リィナはゆっくりと振り返ると、無表情のまま一言だけ。


「……黙って。……ほんとにうるさい」


「っ……ぐ、ぐぬぬ……っ! せ、せつなぁっ! この影メイド、絶対じゅぴのこといじめてるっす……!」


「いじめてない。“雑音”を止めただけ。

ぼくはちゃんと、“せつなのために”やってるだけだよ?」


「じゅぴだって、せつなのためにやってるっすもん! 情報分析も、記録も、魔力構成解析も、ぜ〜んぶ♡」


男がそのやり取りに目を泳がせる。


「な、なんなんだお前らは……!」


「……尋問中に口挟まないで。次の針、奥に入っちゃうよ?」


リィナがさらりと告げたその瞬間、男の顔色が真っ青に染まる。


「じゅぴ、口閉じるっす……」


じゅぴがすとんと椅子に座り直し、タブレット風の魔導板に指を走らせながらまとめを続けた。


「とりあえず、今の情報まとめると――

・“反応”は強力な魔力反応のある個体

・“選別”はそのスクリーニング

・選ばれた個体は、別の場所へ転送 or 再利用

・指示系統は“上”が存在

って感じっすかねぇ」


「……もう少し喋らせる。名前、地位、命令の出所……」


リィナはそう呟きながら、ふたたび男の顔を覗き込んだ。


「ねぇ……“上”って、だれ?」


その声音は、ただ甘く、優しく――

まるで恋人の秘密を尋ねるように柔らかかった。

ネザリア城の拷問室では、“影のメイド”リィナと、“情報屋”じゅぴが、それぞれの方法で情報を引き出していきます。

冷たい笑顔と甘い声で相手の自害すら封じるリィナ。

明るく軽口を叩きながら、実は抜かりなく情報を収集していくじゅぴ。

このふたりの“違うけど噛み合っている”感じが、個人的にもとてもお気に入りなシーンです。

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