【リィナ=シュヴァルツの拷問術/情報と口喧嘩と】
ついに更新30日目!!
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総ユニークアクセスも400突破!
まさか一か月で1000PV行くと思ってなかったので本当に皆さんありがとうございます!
【リィナ=シュヴァルツの拷問術】
地下の拷問室に、低く湿った音が響いていた。
石床に縫い止められるように、男が四肢を拘束されている。
肉体強化も魔法も、すでに封じられた状態。
ただ震える肉体と、歯の奥に隠した“最後の抵抗”だけが、かろうじて意志の名残だった。
「せつながね、教えてって言ってるの。だから、全部、喋って?」
「誰が……っ、お前らなんかに……!」
リィナは淡く微笑むと、しゃがみ込んで男の頬へと指を這わせた。
その仕草はまるで恋人のようで――
だが、指先から伝わる“気配”は、殺意と支配そのものだった。
リィナの紅い瞳が、ぴたりと男の瞳に重なる。
同時に――男が動いた。
顎の筋肉が一瞬、緊張する。
ガクン!
その動きを、リィナの指が先に止めた。
顎の付け根、わずかな急所をピンポイントで突き、噛み切る力を完全に逸らす。
「ダーメ。“自害”は許可してないよ?」
血と唾液が、男の口元からこぼれる。
「……あ、喋ることはできるようにしてあるから。ほら、よかったね? 苦しみながら、ぜんぶ言えるね」
リィナはふんわり笑う。
仄かに甘く、蕩けるような声音――
けれどその瞳だけは、まるで氷のように冷えていた。
「ねぇ、“選別”って、なに? あの拠点で“反応”とか言ってたけど……誰を、なにのために?」
「っ、く……!」
男の口元が震える。
その眼には、ついに“恐怖”と“理解”が浮かび始めていた。
「……異常な魔力密度が……選ばれる……“向こう”に送る……俺は……何も知らな――」
「嘘、ダーメ。知らない人は、最初から“呼ばれない”から」
リィナの口元が、わずかに綻ぶ。
「でも……がんばったよね。えらいえらい。
じゃあ、せつなに報告するぶんは、足りたかな?」
男はぐったりとうなだれ、声も出さずに項垂れた。
リィナはゆっくりと立ち上がり、血で濡れた指先をハンカチで拭いながら、
静かに背後の扉へと向かう。
「ねぇ、せつな――ぼく、また“いい子”できたよ?」
【情報と口喧嘩と】
「“反応”ってのは……魔力の異常密度……標的の素養を……っ」
男のかすれた声が、石の壁に吸い込まれていく。
その隣――
拷問室の壁際には、じゅぴが設置した魔導スクリーンが静かに点滅していた。
「ふんふん、“選別”対象は魔力量の突出個体……
“向こう”ってのは拠点移動後の再試験……ほうほう、けっこうヤバい話っすねぇ〜」
魔力入力型の水晶キーボードをぱちぱちと叩きながら、じゅぴがにこにこ笑う。
「……じゅぴ。喋らないで。空気、邪魔」
「はー!? なにそれー!? じゅぴ、今すっごいお仕事してるっすよ!?
リィナこそ、喋りながら拷問してる方がどうかと思うっすけどぉ?」
リィナはゆっくりと振り返ると、無表情のまま一言だけ。
「……黙って。……ほんとにうるさい」
「っ……ぐ、ぐぬぬ……っ! せ、せつなぁっ! この影メイド、絶対じゅぴのこといじめてるっす……!」
「いじめてない。“雑音”を止めただけ。
ぼくはちゃんと、“せつなのために”やってるだけだよ?」
「じゅぴだって、せつなのためにやってるっすもん! 情報分析も、記録も、魔力構成解析も、ぜ〜んぶ♡」
男がそのやり取りに目を泳がせる。
「な、なんなんだお前らは……!」
「……尋問中に口挟まないで。次の針、奥に入っちゃうよ?」
リィナがさらりと告げたその瞬間、男の顔色が真っ青に染まる。
「じゅぴ、口閉じるっす……」
じゅぴがすとんと椅子に座り直し、タブレット風の魔導板に指を走らせながらまとめを続けた。
「とりあえず、今の情報まとめると――
・“反応”は強力な魔力反応のある個体
・“選別”はそのスクリーニング
・選ばれた個体は、別の場所へ転送 or 再利用
・指示系統は“上”が存在
って感じっすかねぇ」
「……もう少し喋らせる。名前、地位、命令の出所……」
リィナはそう呟きながら、ふたたび男の顔を覗き込んだ。
「ねぇ……“上”って、だれ?」
その声音は、ただ甘く、優しく――
まるで恋人の秘密を尋ねるように柔らかかった。
ネザリア城の拷問室では、“影のメイド”リィナと、“情報屋”じゅぴが、それぞれの方法で情報を引き出していきます。
冷たい笑顔と甘い声で相手の自害すら封じるリィナ。
明るく軽口を叩きながら、実は抜かりなく情報を収集していくじゅぴ。
このふたりの“違うけど噛み合っている”感じが、個人的にもとてもお気に入りなシーンです。




