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【完結済】堕神ノ書 〜異界支配の始原〜  作者: せつな
第二章【仮面の潜入者】
28/159

【夜訪う影】

今回少し短いので2話上げます!


深夜のギルド寮。

セリナの部屋には、張り巡らされた結界が静かに脈動していた。


空気が歪み、転移の光がほとばしる。


その中心に現れたのは――せつな。


仮面の少女は、音も立てずに膝をつく。


「……お越しいただき、光栄です。せつな様」


せつなは無言で歩み寄り、小さな黒い箱を差し出す。


「よくやった、セリナ。これは報酬だ。受け取れ」


「……恐れ入ります。任務継続のためならば、ありがたく頂戴いたします」


セリナは恭しく両手で箱を受け取り、蓋を開ける。

中には、飾り気のない黒銀の指輪。


「外見は地味だが、気配遮断と能力補助が施されている。目立たずに動くには最適だ。

お前のような“潜入者”には、必要な装備だろう」


「……了解いたしました。以後の任務に、最大限活用させていただきます」


――仮面の声は冷静。表情も、崩れない。


だが、心の奥では。


(……っ。指輪……“わたしのために”……。

せつな様が、わたしのことを考えてくれて……くれたんだ……)


(……すごく、嬉しい……っ)


「以上だ。引き続き、任務を遂行しろ。無理はするな。お前が潰れることは……望まない」


「……畏まりました。せつな様。必ず、応えてみせます」


せつなは静かに魔力を収束し、転移の構えをとる。


一瞬の光――そして、彼の姿は消えた。


「…………」


部屋に戻った静寂の中、セリナは仮面を外す。

ゆっくりと、ベッドの端に腰を下ろし――


「……はぁっ……」


そして、ぽすんと毛布に顔を埋めた。


「せつな……せつな様……っ。ほんとに、来てくれた……。

ちゃんと、“わたしのため”に……考えて、選んでくれて……」


小さな声が、毛布の奥から漏れる。


「うれしい……っ。すっごく……うれしい……っ」


ぎゅっと、指輪を握りしめる。


「……でも、見せちゃだめ……まだ、仮面のままじゃないと……」


そう言いながら、くるりと丸まって毛布にくるまり――


「……ねぇ、せつな様……ほんとは……撫でてほしかったな……」


ほんのりと頬を染めながら、そっと目を閉じた。


その胸元には、彼から贈られた指輪が――

肌身離さず、大切に抱かれていた。

仮面の裏では、常に冷静に情報を集めていた彼女ですが……

“せつなが来てくれた”という事実は、それだけで彼女にとって特別な出来事だったのかもしれません。


渡された報酬の指輪は、ただの道具ではなく、“信頼”の証。

セリナにとって、それがどれだけ嬉しかったか――

その仮面の奥の微笑みが、すべてを語ってくれたと思います。

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