まえがき
人とは、欲の権化である。
少なくとも仏教においては、この世界は欲界とされている筈。わたしの記憶が正しければだが。
言っておくと、わたしはここで、それが良いとか悪いとか、そんな善悪を説こうという訳では、別にない。そんな善悪の概念にはあんまり執心していないし、わたし自身がどちらかというと悪寄りの人間だしね。
話を戻そう。
あらゆる生き物には欲があるが、それら欲をここまで高次元的に発展させている生き物は、人間くらいのものであろう。欲のレベルが高いのだ。
こだわりの強い人間というのを見たことがあるだろうか?もしくは、変わった趣味を持つ人間。あるいは、特殊性癖者の類なんてどうだろうか?いずれも、高次元的に欲を発展させた者達だろう。(因みにここで言う欲の次元とは、マズローの欲求五段階説とは関係ない。)
また、欲というのは足るを知らない限り際限なく湧いてくるもの。その点、足るを知らない状態に最もなりやすい生き物も人間だ。現代の先進国では、何かと快感を得るのが非常に容易である。貧困でない限りは美味しい物を食べる機会もかなりあって、楽しかったり面白かったりする娯楽にも事欠かない。
欲を満たし、更に強い欲が湧き、それをまた満たす…このサイクルによって欲を強く深くしていくことが最も得意な種族なのである。
人間を象徴するものは、欲なのだと言えよう。
何故こんな話をするのかって?はは、それはあなた方読者に対する、わたしからのサービスだとも。伏線だよ伏線。でもすぐには回収しないから安心してね!
物語というのはやはり、分かりやすく、判りやすく、解りやすい方が良いものだ。本当に頭の良い人は、例えばあまり漢字表記をしないし、例えばあまり専門用語を使わないし、例えば子供相手には論理的な説明をしない…という説話があるが、わたしはそれに則って頭の良い人を気取ろうという訳である。ほっほっほ。
…まあ尤も、わたしは自分で用いておきながら、先に言った『わかりやすい』の三通りの綴りにどのような意味の差異があるのかという事を、あまり知らないのだが。
与太話もなんだ。さて早速、物語を始めよう。
これはわたしの成長の物語なのかも知れないし、成り上がりの物語かも知れないし、あるいは異能者たちのSFバトルの物語なのかも知れないし、哲学の物語なのかも知れない。自分の事ではあるものの、だからこそ、わたし自身には何なのかよくわかっていないんだけれども。
他の人にとって、例えば読者のあなたにとっては、これは何の物語なのか。
それは読んでからのお楽しみであり、且つまた、読者たるあなたの楽しみ方次第である。




