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其の十一 魔窟攻略③

 ボスを倒した帰り道。


「どうやってあんな火力の高い魔法打てるようになったんだ!?」


 エイタは、ニュートラルにボスを一撃で倒した魔法について問い詰められていた。


「そんな輝いた目で見られても教えられる事は何も無いぞ…」

「やっぱり小さい頃から魔法の特訓とかしてたのか?師匠が凄かったり!?」


 ネトやオオイも興味ない風を装ってこちらを盗み見ている。


「うーん…。魔法を習得したのは一週間前だな…。師匠は…」

「「「一週間前!?」」」


 ニュートラル、ネト、オオイは口裏を合わせたように、同じトーンで素っ頓狂な声を出した。

 まあそりゃ、異常だってことは分かっていたがこんなに驚かれるとは…


「なんか変なチート使ってるだろ!!」

「どんなチートだよ!」


 思わずそうツッコんでしまったが、実際どうなのだろう。スペイドの言っていた才力の必ずある利点がこれだったら?俺の異常な魔法の成長速度が俺の才力によるものだったら?少なくともチートには当たらないだろう。

 気になるのは、これが転移者の特権だった場合だ。転生、転移した人が超人的な力を手に入れるなんて話はよく見たものだが…もしこの才能が転移者の特権だった場合、才力の利点も自分には残っている事になる。


「何だそのニヤケ顔…」


 半分諦めていた異世界転生物が夢では無いという事が分かり、思わずニヤケているとニュートラルに不審がられてしまった。






 魔窟攻略からの帰り道の途中。そこは閉鎖的な洞窟の中。エイタとニュートラルの会話で和やかな空気が流れる中、一人の男が決意を固めた。

 男は迷っていた。そこまでの実力者がいないと踏んでいた魔窟攻略で突然現れた、ボスを一撃で倒すエイタという男。正直、タイマンで勝ち目はないだろう。しかし、自らの才力があれば…






〈スリープバースト〉っ!


「うわっ!」

「なんだ!?」

「なっ!?眠く…」


「…ね、眠ったか?」


 ジャコの才力は【睡眠煙】。その名の通り、技名を叫ぶと同時に、辺りに吸い込むと眠ってしまう煙を放出する。クールタイムは12時間であり、連発は不可能である。

 …先程まであの二人の会話が響いていた魔窟には、今、ジャコの発する小さな音しか聞こえない。


「悪く思うなよ」


 ジャコはまず、ニュートラルの頭上に小刀を勢いよく振り上げる。





 ジャコが自身の才力を発動した時。瞬間、エイタは急激な睡魔に襲われたが、咄嗟の判断で腰に手を回していた。

 常備していた眠気覚ましを口に含み、なんとか眠る事を回避したエイタは、寝たフリをしながら煙を放った正体を探っていた。

 その時、誰かの頭に包丁の様な物を振り上げる人影を立ち込める煙の中に、エイタは見た。

 咄嗟に立ち上がり、その殺しを止めようと走り出したエイタは、簡単にその人物をその場から引き離す事に成功した。その人物はエイタが起きている事に驚いた様で、抵抗が出来なかったのだ。


 くそっ、煙で周りが碌に見えない!これは誰だ?魔法で反撃してくるかも知れない。すぐに炎魔王で…バカバカ俺!もし煙が炎に反応するタイプだったらどうする!誘爆で眠ってる人たち焦がしちまう!なんとか煙のない所までコイツを持っていくしかない!


 その人物は驚きで上手く体が動かせてないのか、簡単に吹き飛ばされ続けた。

 ジャコとエイタの周りから煙が無くなるまでは数えるまでもなかった。


「ジャコさん…!?あなたの仕業だったんですか?この睡眠ガス!」


 エイタはジャコをより遠くまで吹き飛ばし、いつでも炎魔法を打てるように構えた。

 吹き飛ばされたジャコは、痛みで顔をしかめる。


「なぜ…なぜ寝ていない」

「たまたま眠気覚ましの薬を持っていたんですよ。自分の強運に感謝しなきゃな」


 エイタは笑みを浮かべながら言った。


「なんでこんな事をしたんですか。しかもさっき誰かを殺そうとしたでしょう。どういうつもりですか」

「う、うるせえぇぇ!!」


 ジャコは叫びながら風魔法を発動し、エイタを襲った。しかし、発動した風魔法はというと強いとは言えない、貧弱な魔法であった。


「あんな丁寧な口調だったのに…残念です」


〈ファイアボール〉


 エイタが小さな動きで発動したファイアボールは、ジャコの発する風魔法を軽く破壊し、ジャコ本人にもダメージを与えた。


「ぐふぁっ」


 ジャコはエイタの炎魔法が当たった腹を抑えて倒れ込んだ。


「くそぉ…熱い。熱いよお…」


「威力はかなり抑えました。そんなに痛くないはずです…」





 その後、エイタはジャコを拘束し、ニュートラルらを起こして回った。

 ニュートラルやネト、オオイがジャコにどんな言葉と暴力を浴びせたかは、語るまでも無いだろう。


「どうしてこんな事をしたんですか…」


 エイタがそう聞くと、ジャコは殴られて腫れた口をおずおずと動かし始めた。

 ジャコが言うにはこういうことらしかった。

 三年前、なんとなくで受けた冒険者選抜試験に味方に助けられるだけで受かってしまったジャコは、魔窟攻略に一人で挑戦するようになったが、攻略することは出来なかった。しかし、そのままじゃ生きていけない。そこでジャコは魔窟攻略の中では人が死んでも原因が分からない事を利用することにした。 

 幸い、それをするにはジャコの【睡眠煙】は最適な才力だった。仲間をギルドを通じて募集し、ボスを倒させ、帰りに才力で眠らせ殺す。これまでに2回成功したと、ジャコは暴露した。


「クズだな」

「クズですね」

「ゴミが」


 ニュートラル、ネト、オオイが次々にジャコを言葉で刺した。


「いずれにしよ、許さないことは変わらない。ギルドに差し出そう」





 エイタ一向は、無事に魔窟攻略から帰還し、ジャコはギルドに差し出され、メンバー全員から報告も為された。

 処分として、もちろん魔窟攻略は永久に参加不可となり、投獄もされたと後々に聞く事になる。


 それにしても睡眠ガスを撒かれた咄嗟の瞬間に眠気覚ましを飲む判断をできるようになったのは異世界に慣れてきたという事なんだろうか…?

 それは、喜ぶべきことなのだろうか?それとも、危機感を持つべきことなのだろうか?


 

 ジャコの才力は魔物には効きません。


急いで書きました。変な部分あったらごめんなさい。謝ります

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