むかしむかしあるところに
その日のノリで書いているためガバポイント多数です。
今日はやることもなかったのでキーヴと一緒に村の中をブラついている。
といってもキーヴが何か用事があるようなので同行してるだけなんだけどな。
「今日はやけに楽しそうだな」
「うん!今日はドミばあちゃんのお話が聞けるからね~」
ドミばあちゃん、カリンの話によれば村の最年長者で端っこの古めかしい家に住んでいる老婆のようだ。
村人達はみんな子供の頃からドミばあちゃんの世話になっているらしく、交代で介護をしているらしい。
最近は体調が悪く寝たきりの日も多いようだが、元気があるときは今日みたくキーヴに昔話をしているみたいだ。
「ドミばあちゃんいる~?」
「はいはい、ドミはいますよぉ」
扉からしわがれた声の老婆が顔を出す
「あら、君が例の新しいお友達?」
「こんにちは、ハルタと申します。今日はよろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとねぇ。さ、はやく上がってちょうだい」
座敷に案内された後ドミばあちゃんはぽつりぽつりと昔話を始めてくれた。
「私が小さい頃にこの国に兵隊さんが攻めてきてねぇ、ここらも被害にあったんだけどその時は北の傭兵さん達が助けてくれたのよ。薬師見習いだった私は負傷兵を介護するので手一杯で...」
「むかしむかし、私が産まれるよりも前にお山の穴蔵に妖精さんがいたんだって。村人はありがたがって祠を建てたりお供え物をしたんだけど一向に姿を見せないから、どんどんと貢ぎ物が豪華になって...」
途中でわからない言葉も多かったけど、ドミばあちゃんのおかげで村の歴史やこの世界のことについてもある程度知ることができた。
人工物をメチャクチャに壊す猪がいる世界だ、妖精や魔法があってもおかしくないとは思っていたがまさか存在するとは...
「ドミさん、妖精っていうのは俗世に存在するものなのですか?」
「いるにはいるみたいだけど、私はみたことがないねぇ。そもそも妖精が珍しいのに好き好んで人間と共にある妖精なんか更に珍しいと思うよ」
俺の質問にもしっかりと答えてくれる。
ゆっくりでハキハキとした口調が実の祖母に似ていて昔が懐かしくなった。
「ばあちゃん、俺おしっこ行ってくる」
「はいはい、行ってきなさい」
キーヴが席を立ってしばらくしたらドミばあちゃんが
俺をじーっと見てくる。力強く、真っ直ぐな目だ。
「ハルタ君あなた、迷い人なんじゃないのかい」
衝撃で言葉が出ない。会って数時間しかたっていないはずの老婆に、自身の出自をすぐに言い当てられたからだ。
「...なぜ、そう思ったのですか」
「そうだねぇ、この辺りでは体格がいい子供はなかなかいないし。言葉遣いや所作も何かが違う。後はただの感さね」
「そうです。他の村人達は他所の貴族や商人の捨て子だと思っているようですが...」
「そうなるのも無理はないねぇ。迷い人ってのは何かしら特別な力を持った人間だと伝えられているようだし」
それからはドミばあちゃんは俺達に色々なことを話してくれた。
「キーヴ、ハルタ君もう遅いからそろそろ帰りなさいな。夜は危ないからのう」
話に聞き入っているうちにいつの間にが日が暮れていた。
「わかった!兄ちゃん、一緒に帰ろっ」
「ドミさん、今日はありがとうございました」
「若い子と話すのは楽しいでの、また暇があったらきなさいな」
夕焼けを背にキーヴと共に家をあとにする。
畑と虫の声で少しだけノスタルジックな気分に浸っていたら
「おーい!ハルタ!ご飯できてるよ~」
遠くから俺を呼ぶカリンの姿を見て、手をふりかえして帰るべき家へと走り出した。
お得な情報その6
カリンのお母さんの師匠がドミばあちゃんです。