新たな元素ラブニウムの影響で、彼女がたくさん出来てしまいました。
えーこの小説を気にかけてくださり。ありがとうございます。とにかく、まずは読んでほしいです。お願いします。人生が180度変わります!!
「まさか…おれにも、彼女が…」
俺はある日、彼女ができた。
俺はごく普通の市立高校1年生、田中陽季。先月、この学校に入学した男だ。学校での生活は、もう慣れてしまった。とは言っても、俺の過ごす学校生活はとても静かなものだ。俺は人とのコミュニケーションが苦手で友達もできず、休み時間は基本的には独り。まあどこにでもいる陰キャだ。昼食もいつも一人で過ごしているし、何なら、体育の授業でペアを作るときだって一人で余って先生とやってるくらいだ。そんな独り生活が、ずっと続くのかと思うと、とても嫌気が差してくる。他の生徒はみんな仲良しだし、きっとカレカノにでもなるやつが出てきてもおかしくない。しかし俺は独り。彼女どころか、友達も出来ない陰キャ。まぁ人生、そんなものだろう。
今は数学の授業が終わり、休み時間。クラスメイトはみんな、各友達と話をしている。昨日のテレビ見た?とか次の授業何だっけ?とかそんなくだらない話。でも俺には話相手などいない。ただ一人を除いて。
「おいおいいい加減友達作ったらどうだ?」
彼は飯尾和也。こんな俺にも話しかけてくるうるさいやつ。フレンドリーというか、俺みたいなやつに絡んでくるやつかな。うざいけど話すのは面白いし、何より友達と呼べるに等しい。そんな彼は必ず毎日この質問をしてくる。
「だから、作るっていって作れるならこうなってないって毎日言ってるだろ」
「そうだけど、お前みたいなやつは話しかける勇気すらねぇじゃんか。コミュニケーション以前に、勇気をつけな」
確かに、俺は勇気もない。てか勇気がないから話しかけられず。こうやって独りになる。その結果、突然話しかけられると反応に困り、コミュ症になるのだ。
そんな和也に俺ははいはいとやる気がなさそうな返事に、和也は呆れたように続ける。
「今のままだと、彼女もできねぇぞ」
「彼女…ね」
俺は彼女はほしい。まぁ当たり前だ。陰キャでも女の子と関わりたいし、デートもしてみたい。でも女子と仲良くするには最低限話しかけられるようになるべきだ。そんな俺はなんとかしてくれという目で和也を見る。
「まぁお前が彼女出来る確率はゼロだな」
「返す言葉もない。」
そうやっていつもからかってくるが、彼と話すことが唯一人と関われるので、何も言わないでおこう。
「ほら、みてみろ。あの可愛い女を。お前も顔は悪くねぇんだから、付き合えるかもしれないのに」
そう言って和也が指を指したのはクラスから見えた廊下を歩いている学校1の美女と言われてる隣のクラスの星川愛菜だ。顔は整っていて少し小顔。実に可愛い系の顔。しかし行動一つ一つが輝いていて、笑顔は清楚極まりない。そして彼女は、この学校の理事長の娘で、いわばお嬢様だ。
「無理だろ。あれはお嬢様だぞ」
俺と彼女は、例え俺が喋れたとしても釣り合うことができない。今までクラスのイケメンの男子が何人も告白しているが、彼女は美しい顔を少し怖くして、ごめんなさいと断っている。そんな彼女を俺はただ眺めることしか出来ない。
「まぁ、お前はこのクラス1番の美女でも付き合えるか…だもんな。」
「クラス1でも無理です。そうやってからかうのだったら、なんとかしてくれ。俺も男女問わず話したいよ。」
俺は基本一人でいるので、ほとんど人との交流がない。強いて言うなら、小学生の頃、誰かと話したような...まあそんなことは昔のことだから覚えてない。まあいいけど。それよりも、今は高校の生徒と仲良くするということが大切だな。恋愛なんて、もってのほか。
そう考えているうちに、さっき俺が問いた質問に答えが帰ってきた。
「俺にはどうにもできねぇけど、お前のおじいさんがなんとかしてくれるんじゃね?研究者だし。」
「研究者は恋愛マスターではありません」
俺のおじいは研究者。俺が幼い頃、両親が離婚して、俺はおじいの田中純一にそだてられた。純一は若いころから研究熱心で、過去に賞を取ったこともあってか、有名だった。それはお金もたくさんあっただろうから、彼女とイチャラブしていた事だろう。てか彼女いなかったら俺生まれてねぇし。
「まぁ、おじいだったら…研究で恋愛攻略とか言ってそうだな」
「とにかく、今日おじいさんに聞いてみな」
恋愛は相談が第1だという和也の考えは正しいだろう。俺は今日研究関係なく、相談してみよう。
俺はその後いつも通り学校を終え、家に帰る。俺は扉をあけ、ただいま、と声を出すと。おかえり…と弱々しい声が帰って来る。
その後、普通にご飯の時間までゆっくりして、食卓で二人になった時、俺は話し始めた。
「おじい、俺彼女が欲しい」
純一は箸のてが止まり、つまんでいた米が落ちたあと、陽季の願いに応える。
「おお、そうか。なら、その日和った性格をまずは変えるところからじゃ」
やっぱり答えは変わらなかった。しかし純一は続ける。
「そうじゃ、わしは今新たな元素を2つ開発しているんじゃが…それはその2つがくっつきあう性質をしておってな。まあ量子もつれが影響しているんじゃが。それを利用すれば、女子と話せるかもな」
要約すると、おじいは今、元素Aと元素Bを新たに作っているらしい。研究によると元素Aと元素Bは互いに磁石のようにくっつくらしく、それを利用して、俺と女の子をくっつけようと言う考えだ。純一は、元素を人の体に入れ込んで病気を治すという研究で賞を取っている。それを恋愛でもやるということらしい。陽季は興奮と期待でいっぱいになり、純一とともに研究を始める。量子もつれなんてなにか全くわからなかったが、すぐに元素が元素と合体し、新しい何かが、出来てしまった。しかし、純一はなんだか良くない顔をしていた。
「悪い、威力を強くしすぎた」
すると、元素Aを作っていた機会が破裂し、部屋中に飛び交う。原子は目に見えないが、キラキラした感覚を覚えた。元素を回収しようと思ったが、この部屋全体から集めるのには難易度があるので仕方なく、元素を外に出してしまった。元素Aは余分に作ってあって9つあったが、全て飛んでいった。
そんな事を無視しておれはもう一つできた元素Bを体の中に入れた。
入れ方は単純だ。できた元素を空気といっしょに口の中に入れ、飲み込むだけだ。あとは女子に元素Aをいれるだけ…なのに、元素は外へ出してしまった。もしあのまま放置しても、陽季の体に入ってなにか起きてしまうかもしれない。なのでしょうがなかった。
「実験は、失敗じゃな」
「そう…だね」
なんだかすごく変な気持ちだ。やはり研究で恋愛は難易度が高い。
「そういえば、2つの元素って、どうやって作ってるの?」
陽季の単純な疑問に、純一は自慢そうに答える。
「それはじゃな、元素AとBをくっつけるために合体する元素に酸素と水素を使用してるのじゃ。H2Oは水だし、安全じゃろ。そして元素Aには酸素と最近発明した好意をもつ元素、Bには水素とお前のデータを固めたものをそれぞれ合体してるのじゃ」
何言ってんのかわからないがいいだろう。しかし、純一は続ける。
「飛んでいった元素は…なんとかなるじゃろ」
「なんとかって?」
なんでこんな一大事に平常でいられるのだろうか。きっとこれは生きた年数の差なんだろう。しかしおじいがいったことは、とんでもないことだった。
「9個全てお前の意識してる娘に行くってことじゃ」
「なんでそうなんの?」
よくわからない理屈で、よくわからない元素が出来て、よくわからない人にいって、よくわからない人と付き合う。こんな感じかな。戸惑いを隠せない陽季に、おじいは笑いながら、こういった。
「それは、おれもわからんが…まぁ明日になってみるんじゃな」
純一にそう言われたので、陽季はとりあえず従う。しかし、次の日にまさかこんなことになるなんて。
「貴方が好きです」
突然告白してきたのは、あのお嬢様の星川愛菜だった。おれは一瞬驚いたが、あごがガタガタしながら、うんと答えたのだった。
「まさか…俺にも、彼女が…」
俺はある日、彼女ができた。
それも、学校1の美女が彼女に。
「やはり、これはあの元素Aの仕業なのか?だとしたら、元素は9個あった。つまり彼女があと8人できるのか?」
そう考えていても仕方ない。陽季は、その時が来るまで愛菜とラブラブ生活を楽しもう。そして、元素Aはラブニウム、元素Bはツケニウムと名付けた。まぁもう使わないだろうが。
告白されて翌日、俺はいつもの様に一人で登校していた。が、その途中になにやら普通ではお目にかかれない黒い高級車が俺の目の前に止まった。周りは殺風景で、どう見てもそれが違和感でしかない。近くにいた人たちも戸惑いと驚きで騒がしかったが、すぐに、その騒ぎは収まった。そう、車の中から出てきたのは、お嬢様、星川愛菜だ。彼女の父は、この街で知らぬものはいない株式会社星川ホールディンクスの社長。20代のときに暮らしを豊かにというのをテーマに、暮らしを支える商品開発を始めるため企業。その後、商品は、驚くほど売れ、今では世界で活躍するほどの企業になった。その代表的商品がユメミゴコチという商品だ。ユメミゴコチは精神を安定させる成分を使い、創造性を働かせた夢を見させ、疲労回復と記憶力増加の効果がある。そして、それを作ろうとしたきっかけが、娘の愛菜(当時7歳)が『夢で王子様にあってみたい』という一つの願望からだったのだ。そして、愛菜は、商品開発にとって、とても創造性があったことから、彼女は、次期社長として期待されているのだった。そんな彼女が、高級車から出てきても、何も違和感がない。しかし、その彼女が、何の変哲もない陰キャ高校生田中陽希を見つけては、大きく手を振り、「おーい、おはよー」と大声で言うもんだから、周りは『誰こいつ』的な目線を浴びせた来る。ごめんね、こんなやつが彼氏で。
「おはよう。どうしたの?」
「付き合ってるんだから、一緒に登校しようと思って。」
俺は結局、彼女に好きと言われた後、付き合うことになった。愛菜に、なぜ好きになったかを聞いたら、
「私は、もともと貴方に微塵たりとも興味がなかったの。正直どうでもよかった。」
知っていたことだが、改めて言われてみると結構キツイ。しかし、そんな彼のことを見てみぬふりをして、愛菜は続ける。
「でも先日、ふと思ったの。もしも陰キャの彼が、わたしのことを好きだとしたら?彼に、恋愛感情があったら?彼と付き合ってみたら案外楽しいんじゃないか?ってね。」
そう、愛菜が思っていることは、別に変なことでもない。逆に、俺みたいな人に、興味と期待を持ってくれている。それが多分彼女なのだろう。世間からの評価を気にせず、自分のしたいことをする、考える。それは、俺の気遣いとかそんなんじゃなくて、彼女がしたくてしているのだろう。しかし、何故俺なのだろう?他にも陰キャはいっぱいいるのに、何故その中の俺なのかに戸惑いがある。やはりあのラブニウムの力なのか?
「その、俺みたいなやつに興味を持ってくれたのは嬉しいんですけど、なんで俺なんですか?他にも陰キャはいるのに。」
愛菜は、少し拗ねた表情を見せてくれたが、すぐに笑顔に戻り、こう答えた。
「なんで俺なんですか?といっていましたけど、貴方だから、田中くんだからなんですよ。貴方に、その、惚れちゃったというか。」
そういう愛菜の顔は、すでに赤くなっていた。赤すぎて肉が焼けそうなくらい。普段見られない照れ照れの愛菜も可愛らしい。しかし、陽季がジロジロ見ていることに気づき、その林檎のような顔をそっと隠し、話を続ける。
「田中くんの友達に、飯尾和也という人がいますよね?あれ、私の幼馴染なんです。飯尾さんは、いつも一人でいる人に積極的に話しているんです。昔の私も、彼に何度話しかけられたことか」
あいつと愛菜が幼馴染なのは驚いた。というか、愛菜は昔、俺のように一人だった?という疑問があった。
「一人でいたって、星川さんが?」
「はい、私がまだ小さかった頃は、お父様の会社は有名ではありませんでした。私は、どこにでもいる一般人。今だから私が普段静かでも清楚だ〜とか言われますが、昔はずっと静かなもので、おそれられてましたよ」
「でも何で俺を好きに?」
俺は改めてそう質問した。
「理由は単純です。貴方が、昔の私にそっくりだから。同じボッチだった同士、付き合ってみたかったんです。」
愛菜はきっと、自然と手を差し伸べてくれているのだろう。きっと彼女のようになってほしくないから。陽季もその愛菜の様子を見て、変に俺に絡んできたのだろう。え?つまり、ラブニウム関係ない?いや、ラブニウムは相手が恋愛感情をもたせるものだから、ラブニウムのお陰で愛菜の興味を恋愛に変えてくれたのだろう。でも俺は、そんな一面もある彼女のことを、もっと好きになってしまう。
そんな話をしているうちに、気づけば学校の前まで来ていた。しかし、校門で陰キャと学校1のお嬢様が一緒に歩いているものだから、周りの生徒のざわめきはすごかった。まだ世間では、俺達が付き合っていることを知らない。突然釣り合うはずもない男女が一緒に歩いていたら、当然困惑するだろう。
「なんであんなに騒いでるのでしょう?私達、ただ歩いてるだけなのに。」
「それは、ある日突然、俺みたいな空気よりも軽いやつと一緒にいたら驚くでしょ...」
「私が誰といようが勝手でしょう?」
何か愛菜って、どこかずれてる気がする。まあこれは庶民とお嬢様の差なのだろう。
「でもみんな星川さんの事が好きなんですよ。みんな羨ましがりますって」
「私は、誰のものでもないんだけど」
愛菜は一緒にいたいからいるだけ。私が好きにしているから、ほっとけと言わんばかりに、俺達を見続けてくる人たちを睨み返していた。
「でも、俺のせいで、星川さんに何かあったら...」
俺がそう言うと、愛菜は愕然とする様子を見せたが、その後、少し頬を赤くして「じゃあ、証明してみる?」と問いかける。
「証明って何を?」
「簡単なこと。田中くんが私と釣り合っているか、それを確かめるの。」
きっと、愛菜は俺が、愛菜といっしょにいるこの時間を否定したことを怒こっているのだろう。だからそんな評判を変えてやろう。そういうことだろう。
「証明って、どうやって?」
俺がそう聞くと、彼女はさっきよりも更に頬を赤くして答える。
「デ、デート..とか...」
「デートおおおおおおお!?」
デートって、あのデート。つまり、コミュ障の俺が、いきなり美人と出かけたりするということ。やばい死ぬ。そんな俺の驚きを耳から耳へ流し、愛菜は続ける。
「だって、認めてもらうには、デートで田中くんがリードしてくれて、私を楽しませてくれたら、問題ないでしょう?」
「それは〜そうだけど。」
「付き合っているんだし、デートは普通よね?それとも、私とデートしたくない?」
彼女の必死さと、断ったら今にでもその美しい瞳から雫が溢れてきそうなので、俺は静かに首を上下に降ると、彼女は一気に表情を明るくし、笑顔で「じゃあ今週の土曜日ね!約束だよ♡」と一言いって走り去っていった。
『デートするって言っても、知識とか全然ねえぇ。一応和也に相談するか。』
まだ周りが騒がしいが、そんな野郎は無視して、俺は急いで教室へ行ったのだった。
今日の教室は騒がしい。教室に入るなり、普段俺とは無関係なクラスメイトが、一斉に畳み掛けてくる。
『星川さんと付き合っているの?』『どこまで進んだ?』など四方八方から質問が絶えない。まあ付き合ってはいるんだけど...。そうだ、和也にこのことを相談しないと。俺は、鞄を机の上に置くと、和也の席に向かった。何気に俺から話しかけるのは初めてか?まあいい。
「和也、わりい、相談があって...」
「おいおい、おはようは無いのかい?まあこんな状況じゃ、お前がこうなるのはわかってたけどな」
不味い。このままじゃ奴のペースに飲み込まれる。俺は適当に相槌をし、本題を話す。
「悪い、デートについてなんだけど...。」
「おいおいおい、いきなりデートとかいわれても...まあなんのことか想像つくな..ってお前やっぱり付き合ってたのかぁ!?」
和也がわざとらしく大声で叫ぶから、生徒は一斉に俺の方を向く。まだ付き合ってないと希望を持っている生徒らも、睨みと憎しみをこちらに向けて来る。もう周りでは、俺と愛菜が付き合っているのを認めざるを得ない状況になっている。二人が付き合っているのは事実だって。だから今俺が付き合ってないといえば、更に混乱すると思うので、「お付き合いしています」と一言言った。
「付き合ってるんですが、彼女が...星川さんが、土曜日にデートって。俺そんな経験ないし、よければ教えてくれないかと。」
俺はすでにおかしくなっていた。デートは認めてもらうためなのに、その認めてもらう人に教えてもらおうとしている。なんで??クラスは一瞬静かになったが、一人の生徒が、こういった。
「星川さん、パスタが好きってよく言ってたよ。」
俺が全くかかわらない(名前も知らない)生徒が発言したおかげで、いつしか俺を応援してくれる人も増えていた。
「パスタね...この前に食べに行った駅前のレストランのカルボナーラ、すごく美味しかったよ。」
「飯以外にも、遊園地とか、映画館とか。あ、星川さん、恋愛映画みたいとか言ってたよ。」
「あとあと、絶対に落とすデートの秘訣っていう雑誌貸そうか?」
「おいおい、付き合ってるんだからそんなのいらねーだろ。」
いつの間にか、俺が話に入る好きもなく、この物語はピークを迎えていた。みんな陽季のために尽くしてくれる。それが、何よりも嬉しいことだった。普段一人の自分が、こんなに馴染めるなんて。
「みんな、ありがとう。助かったわ。土曜日、頑張ってみるよ!」
みんなが俺の恋を応援してくれている。後は俺が彼女を喜ばせるだけだ。いつの間にか認めてもらうより、喜んでもらうほうが上。それもいいか。俺ができること。それは、彼女を楽しませること。
そして迎えた土曜日。駅前を待ち合わせ場所にして、彼女が来るのを待っている。10時待ち合わせだが、俺は9時にはもうそこにいた。何と言っても初めてのデート。俺的にしっかりプランを立てたつもり(クラスメイト参照)なので、喜んでもらえると嬉しいんだが。少しすると、向こうの方から、何やらすごい美人が歩いてくる。星川愛菜、俺のデート相手だ。普段の制服とは違い、白いワンピース。髪の毛はふわふわしていてとても可愛い。もう好き,,,。
「おまたせ、待った?」
「全然。てか待ち合わせ時間。10時だよ。まだ9時半だよ、早すぎない?」
「ふふ、貴方とのデートが楽しみすぎて。てか、早いのは、貴方もでは?」
それは一理ある。
「俺も、楽しみでな。デートなんて、したことなかったし。」
「それは良かったですね、それで...私の..その...服装は...どう..でしょうか」
愛菜は男をイチコロにしてしまうほどの照れを俺に見せてくれた。きっと、彼女は、この日のためにおしゃれをしてきてくれたのだろう。素直に褒めたいところだが、あざとさなのか本能なのかわからない赤い顔を見せてくるので、自分もなんだか恥ずかしくなってきた。
「そう...だな..にあって....るよ..。」
もっと素直に褒められないのか、俺。このクソ陰キャ。しかし、それを聞いた愛菜は満足そうな笑みを浮かべたので、良かった。
「じゃあ早いけど、早速行こうか。」
「よ..よろしくおねがいします。」
何か固くなっちゃってるけど、まあいい。
まず俺達は、映画館に向かった。ここで恋愛映画の「恋するぼっち少年」を見るつもりだ。もちろん恋愛映画など見たこと無い。館についたが、着く時間が早かったので、隣にあるゲームセンターで、時間を潰そう。ゲームセンターには普段一人でくるが、今日は彼女がいる。隣で歩く愛菜を見てると、心臓のリズムが加速する。中を見て回ると、愛菜がいきなり目を輝かしてある台に向かって指を指した。それは、くまのぬいぐるみ。
「くまさんのぬいぐるみぃぃ可愛い。」
お嬢様でも、こういう一面があるんだ。なんだか普段見れない幼さを感じる。可愛い。
「確かに可愛いね。取ってあげようか?」
「え、いいの?」
「もちろん。俺、普段からゲーセン来るから、任せて。」
「うん。頑張って。」
とはいったものの、もしこれが確率機だったら、俺ダサくないか。カッコつけたのに、失敗したら...。そう思いながらも、彼女のために、手が震えながらも、機械に100円を入れた。そして1回深呼吸して、機械を動かす。幸いプレイスキルがあったので、ある程度上手いところにアームを置けた。するとアームはゆっくり降りていく。そしてぬいぐるみを掴むと、そのまますーっと上にあがっていく。後は落ちるな落ちるな落ちるな落ちるな。アームは上まで上がりきると、物を落とさないまま、出口まで持っていってくれる。その物は、しっかり出口から排出され、無事手に入れることが出来た。良かった〜。もう緊張で汗ダクダク。
「わー、くまさんだあ。田中くん、ありがとう。」
愛菜はそう言って、それを大事に抱いてくれている。
「どういたしまして。」
努力が報われた。
いい感じに時間つぶし出来たので、映画を見る。映画の内容は、ぼっち少年が、幼いときに好きな人が事故で失い、人間不信になるが、ある人に出会い、再び恋に落ちる。そんなストーリー。しかし、俺は、そんなストーリーよりも、2時間くらい、ずっと彼女と隣で、ポップコーンをシェアするほうがよっぽど気になってしょうがない。映画に集中しなきゃ。ジュースでも飲んで落ち着け.....あ。間違って愛菜のやつ飲んじゃったあああああ。メロンソーダなのに、変に甘いような感じ。やばい、意識が。そして、俺の行動に気づいた愛菜は「間違えちゃったね」とだけ言った。少しだけ寿命が減った気がした。
こうして映画は、終わった。俺はさっきのこともあり、疲れてしまった。愛菜はと言うと。めちゃくちゃ泣いていた。
「もう...よかったよぉうっ。」
「良かった〜楽しんでくれたみたいで。」
「そうだよぉ〜。主人公は、あの女の子のお陰で人を愛す心を取り戻したんだよう。うぅ、それでね、心を取り戻したのはね、あの子が昔の女の子にそっくりだったからなんだよぉ。」
「クラスメイトに恋愛映画、星川さん好きって聞いたから、ここに来て正解だったよ。」
ありがとう、みんな。俺達は今、めっちゃ幸せだよ。
「でも私、こんなに泣いてるの、映画がすべてじゃないんだよ。貴方と一緒に見れたから。だからなの。ありがとう、私のために、リサーチしてくれて。」
何この子、めっちゃかわいいんですけど。彼女にしたい(彼女だけど)。そして、涙に隠れていた、この笑顔を見て、俺はこの子を守りたい。そうおもった。
映画も終わってそろそろ昼時。俺達は、パスタを食べにレストランにやってきた。店内は少し混んでいたけど、割とすぐに席につけた。俺達は、カルボナーラを2人前頼み、来るのを待っていた。
「よくここのお店知ってたね。ここのカルボナーラはほんっとうに美味しいんだよ。」
「ああ。これもクラスメイトのおかげでな、ホント助かるよ。」
本当にクラスの人には助かった。
「何か、最初の田中くんと変わったね。」
え?突然なにを?
「それってどういう?」
「そのまんまだよ。」
「そのまんまって?」
「ほら、田中くんさ、最初クラスに馴染めずに、一人でいたじゃん。でも今はさ、みんなと話してる。」
確かに。俺達が付き合いだしてから、色々関わる事ができた。もちろんデートの相談以外も。
「まあでも、当初の予定は、私達のデートでみんなに認めてもらうのが目的だったのに、その目的が全部叶ってるね。」
「まあ、確かにな。でも、みんないい人で、もちろん嫌味とか言って来る人もいたけど、それよりもいい人もいっぱいいたよ。」
「そっか。良かった。田中くんがみんなと仲良くなって。これで安心して学校でイチャイチャできるね。」
「それは...どうなんだろう。」
でも、学校でもずっと彼女の幸せそうな笑顔を見届けられるのなら、それでもいいや。
そうやって話しているうちに、例のカルボナーラが来た。クリーミーな匂いで、盛付けは庶民には大変豪華な見た目をしている。
「うわ〜。美味しそう。いただきます。」
「俺も、いただきます。」
口に入れた瞬間、見た目を数倍超えたクリーミーさが口いっぱいに広がる。それを噛んでほぐすたびに甘さも滲み出てくる。食感もとてももちもちしていて、たまらない一品だ。
「おいひい〜。」
「本当においしいね。」
俺達は、同じ料理を2人で楽しむ。すると、愛菜はこんな提案をする。
「そうだ。もっと美味しくなる方法、思いつきました。」
「提案って?」
「待っててくださいね。ほ..ほらあーん\\」
「え...えええええ。」
いきなりだったが反抗するひまもなく、口に入る。そして、すぐに知る。これは関接キスなんだと。でも、こんな事されるの。幸せだ。
「どう?美味しい?」
「うん美味しい。タダでさえ美味しいのに、このパスタ、どんだけ美味しくなれば気が済むんだよ。」
「ふふ。喜んでくれて良かったです。」
俺は今、幸せだ。
レストランを出た後、俺は最後に、駅前にぽつんとある、観覧車に乗ることにした。一度、彼女と乗ってみたかったからだ。でも密室で二人っきり。緊張する。観覧車は、空いていて、すぐに乗れた。すると今までいた地上はどんどん遠くなっていき、あたりを一望できる様になった。てっぺん近くまで俺達は静かだった。俺はずっと目を輝かせる愛菜をずっと眺めていた。夕暮れの日と、それで光る愛菜の顔。景色なんかよりも、ずっと。きれいなその顔を。しかし、愛菜はそれに気づいたのか、町並みを眺めていたその瞳を、俺の目の前に持ってきた。
「田中くん。ずっと....みてたよね。私の...顔//そんなに変?」
「変じゃないよ。景色よりも、キレイで。これからもずっと近くで見ていたいなって。」
「そんなにずっと近くでみたいの?」
「うん。」
俺がそう言うと、愛菜は、顔を俺の目の前に近づけた。
「あのー....その...恥ずかしいと言うか..近すぎるって言うか...」
「だって、近くで見たいって言ったじゃない。」
「そういう意味で行ったんじゃないんだけど。まあ、これはこれでありなんだけど...恥ずかしくて死ぬんでやめてください。」
「そう。わかったわ。そのかわりに。貴方の初めてを頂くわね。」
そう言って、彼女は俺の口に彼女の唇を押し付けた。いわゆるキス。ほんと、ズルすぎる。恥ずかしいでも、キスは、まだしたい。ずっとしたい。永遠に。俺達は3分くらいキスをしていた。最後に彼女が離れるときに、唾液の糸を引いていたことを、俺は忘れない。刺激が...強すぎた。本当に....彼女はずるい。
観覧車も降り、そろそろデートも終わり。楽しかった時間も、もう終わり。それに俺は孤独感を覚えた。
「今日は楽しかったわ。ありがとう。」
「こちらこそ。今日は楽しかった。」
「でも。なんだかさみしいな。」
「また来ればいいよ。行きたい場所とかあったら、どこへでも連れて行くからさ。」
「ありがとう。」
そうだ。孤独感があったって、別にいいじゃないか。月曜日にだって学校で会えるし、またデートに行けばいい。そうだ、さみしいのは、今だけだ。
「ねえ..最後にさ...一つお願いしてもいい?」
少し照れくさそうに彼女はそういった。
「いいぞ。何個でも。」
「えへへ。田中くんは優しいね。」
「どういたしまして。」
「あのさ...私のこと、愛菜って呼んでくれないかな?」
彼女は、夕暮れの太陽に負けないくらいのまっ顔な顔でそういった。可愛い。
「そのくらいお安い御用。そのかわりに、俺のことも名前で読んでくれ、愛菜。」
いきなり呼び捨てはまずかったか。でも、それを聞いた瞬間、彼女は、美しい瞳から雫かどんどん溢れてくる。お嬢様って言われてるけど、こんなふうに、泣いたり、笑ったりする、普通の女の子なんだと、そう実感できた。
「ありがとう。大好き、陽季♡」
やっぱり刺激が強すぎたか?これ。でも、今の愛菜の顔は、過去一可愛い顔だ。この笑顔は、絶対に失わせない。そう胸に誓った。
「俺も大好きだよ。愛菜。」
「ありがとう。じゃ、また学校でね。じゃあね、陽季。」
そう言って笑顔で走り去って行く愛菜を、俺は、ずっと手を振りながら、見送った。
『じゃあね。愛菜』
俺は心の中で、そう呟いた。
えー皆さんはじめまして、三月亮太といいます。今回読んでいただいた作品、「新たな元素ラブニウムの影響で、彼女がたくさん出来てしまいましてた」はどうだったでしょうか?まずは自分の作品を読んでくれて誠にお礼申し上げます。今回、たくさん彼女できるってタイトルにあるのに、彼女一人しか出てきてないじゃん、と思うかもしれませんが、今回は僕がいつか上げる連載版の試作として短編を作りました。なので好評でしたら連載版も投稿しようと思います。ストーリーを振り返ってみましょう。クラスに馴染めない陰キャ高校生田中陽季が、新たな元素ラブニウムの影響で彼女が出来てしまうという、好都合展開ですね。主人公陽季は星川ホールディングスのお嬢様、星川愛菜と付き合えるってわけです。えー愛菜はですね、僕の理想を描いた、そんなキャラとなっています。僕の癖もさらしたいのでぜひ評価お願いします。最後になりますが、僕が小説を書き始めたきっかけって、有名人に会いたいってゆうのが一番で、推しに認知されたくて初めました。なのでその夢の実現のために、皆さんの力が必要です。この小説を最後まで読んでくれた貴方、どうか評価をつけてください。星1でも大丈夫です。気軽にコメントもしてください。それではー。