1-2-3【天候】
山で生死を分けるものは「天候」である。
私はほとんど単独行なので、天候が悪ければすぐ中止する「軟弱トレッカー」だ。
一人だから、実に気が合う。
これで合わなければ「分裂症」だ。
パーティでは、そうは行かない。
みんながみんな、慎重とは限らないからだ。
特に、やっと休みを取ってきた人は強硬に行くことを主張しがちだ。
また、ツアーの場合などは、払った費用が全部パァになるので、どうしても無理をするし、主催者もトラブルを回避したいので強行しがちである。
それが、トムラウシの悲劇になったのだろう。
ここで、リーダーが「危険だから行かない!」と皆を引っ張れれば問題はないが、某首相のように相手に合わせてしまう「八方美人的性格」だと問題だ!
声の大きい方に引っ張られてしまうからである。
リーダーだけは経験豊富で正しい判断ができる人間かどうかを見極めて付いていかなければならないが、この経験と言うのが曲者で、何度も死線を潜って来ていなければ一朝一夕に積めるものではない。
いつもいつも平穏無事では過ごしてきたのでは登山歴は長くとも、イザという時にパニクってしまう。
天候が命取りとなるから、その見極めができるかどうかが生死の分岐点だ。
避難小屋の有無や個人装備の点検を調べて、強行するかどうかを決めなければならない。
この時、一人でも欠格であれば、勇気を持って撤退すべきである。
まあ、リーダーともなればパーティ全員の命を預かる訳だから、とても軟弱な私になれる資格はないし、なるつもりもない。
これからも、危なければ近くの日帰り温泉に入って帰って来るという、軟弱な単独行を続けて行くと思う。