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4-8-3【テント】3

北岳に行くのに奈良田で通行規制している。

奈良田から広河原まで片道1時間掛かるから、1時間の規制時間の最後に入った車が広河原に着くのは2時間後だ。

それから、広河原からの車が許可になるから更に2時間待つことになり、道に迷って規制時間に5分遅れてしまったら、約4時間待つことになってしまったのだ。


その日のうちに北岳山荘に行くはずだったのが無理なので、連絡を取ってキャンセルし、しばらく途方にくれたが、広河原に泊まるよりも少しでも前進しようと、「白根御池小屋」に泊まることにした。


ここは、すぐに連絡が取れないが、山小屋は予約無しでも泊まれることが原則である。

それは暗くなっているのに宿泊を断ると、次の小屋に行くまでに遭難する怖れが大きいからだ。


でも、泊まれる面積は変わらないから、ただ、ぎゅうぎゅう詰めになるだけなのである。

酷いときは、一畳に二人寝るということもザラである。


小屋に着いたときは、日が落ちて真っ暗になってしまったが、受付でサイト料500円を払い、テントを張る場所を探したが、びっしりテントが張ってあってそんな余地は無い。


ようやく沼の近くに畳一枚ほどのスペースを見つけてテントを張ったが、張り綱を張ることはできなかった。

でも、もともと自立式のテントなので、風が強くなければ、さして支障は無い。

シトシト雨も降っているので、そのままマットを引いて寝袋に入って寝てしまった。


夜中になって、テントの周りで子供の声がしてうるさい。

「まったく親は何しているんだろう?迷惑だなあ」と思ったが、起きるのも面倒なので、そのまま寝袋に頭まで潜り込んで寝てしまった。


朝、まだ暗いうちに、濡れたテントを撤収し、小屋に番号札を返しに行って『子供連れで来ている人がいて、子供の声がうるさかった』と苦情を言うと、『え~っ、子供連れなんかいませんよ』との返事だった。

『そんなはずはないよ、夜中に騒いでいた』と言うと、それ以来小屋の人は黙り込んでしまったのだ。


小屋を後にして、まだ夜明け前の登山道をヘッドランプの灯りで歩いていると、前方を白いものが横切ったのだが、今更どうしようもない。

そのまま歩いて稜線で日の出を見たときには、さすがにホッとしたが、あれは何だったのか今でも解らない。




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