番外【エコ素嬪】
「嬪」とは、「女御」とか「更衣」にあたる女官を指す言葉。
夫人の美称であるが、「別嬪」の意味がよく判らなかった。
なぜ、奇麗な女が「別の女」なのか意味不明だったのである。
「化粧をすると別人のようにきれいになる」からだと思ったが、それだと元々は美人ではないと言うことになる。
『あなたは化粧がうまいねぇ』と言えば、言外に『元はひどいが良く化けたものだ』と言っているのに等しいからである。
いろいろ調べると、もともとの言葉は「別品」だったようだ。
『他と際立っていい品物』という意味で使われていたのが、女性にも使われるようになって、物ではないから「嬪」の字があてられたらしい。
で、化粧をしないそのままの女性を「素の女」の意味で「素嬪」と言うようになったようである。
しかし、どう考えても「素嬪」の方が「別嬪」よりも奇麗なのではないだろうか?
素のままで「美人」なら、これほど最強なことはない。
京劇のように化粧して何とか見られるよりも、そのままでも奇麗な方が上に決まっている。
昔は今のように、原形不明になるような化粧はしなかった。
化粧品が高かったこともあるだろうが、ゴテゴテ塗りたくるのは「玄人さん」という考えがあったのだ。
いま、中国では「化粧品」ブームだが、今まで化粧などしていなかったからなのか、トリートメントの肌の手入れが主体で、ゴテゴテ塗りたくることはしない。
実に良いことである、自然のままの美しさを保つことこそが重要なのだ。
「食品偽装」には目くじらを立てて怒るくせに、「美人偽装」にせっせと励む気持ちが理解できない。
そのうち中国から「日本人は容姿を偽装している」とクレームが付かないか心配である。
初めて一夜を共にして、眼が覚めたら別人がいたのでは、笑い話にもならないではないか。
OLがアフター5に化粧して外に繰り出すのを「別人28号」と言うそうだが、素嬪でも誰か判るようにして欲しいものである。
今しみじみ思っていることは、「女性がみな化粧を止めれば、地球温暖化など簡単に抑えられるのではないか」ということだ。
化粧に掛ける経費やエネルギーを温暖化防止に回せればいいのだが、TV番組で『化粧をすると気合が入る』とか『別人に成り切れる』とか言っていたから、メンタルな面での特殊な効果があるのかも知れない。
しかし、こんなことを言ったら、女性から吊るし上げを喰らいそうで怖いが、生産性のない化粧に掛ける資源とエネルギーほど無駄なものはないと思う。
化粧をしなくても誰も死にません。
内面から滲み出る美しさに磨きをかけて下さい。
年相応に老けることを容認して下さい。
お願いします。(低姿勢)