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1-2-1【雨具】

山登りの三種の神器と言えば、1.ザック 2.雨具 3.登山靴 である。

このうち命取りに成りかねないのが、「雨具」である。


濡れた状態で風に吹かれると体温が奪われて、「低体温症」になる危険性が大きい。

2009/7/14に“大雪山系トムラウシ山”でツアー客とガイドが凍死したのは、記憶に新しい。

客の装備も確かめずに、「午後から晴れる」と言って雨の中登山を強行したのだから結果は目に見えていたはずだ。

だから、チーフガイドはおめおめと自分が生還する訳にはいかなかったのだろう。

とにかく冥福を祈りたい。


だが、中にはちゃんとツェルトを持っていた人もいて、その人は何事もなく生還した。

ツェルトを持っているということは、他の装備も万全だということである。


凍死した人たちは、夏だからと雨具さえ十分なものではなかったようだ。

身体が濡れて強風下に晒されて凍死してしまった。


“濡れた状態"とは、雨だけで起きるのではない。

例えば、ビニールの雨具なら完全防水だから絶対に雨では濡れることはないが、雨具の下はびしょ濡れになってしまうのだ。


人は普段でも汗を掻いている。

何にもしなくとも、1日1リットルは掻くから、運動をすれば1時間でコップ2~3杯ぐらいの汗は掻く。


ビニールは通気性が無いので、この汗は全て雨具の中で結露してしまう。

だから、雨に濡れなくとも、びっしょりになってしまうのだ。


こんな時、歩くのを止めると途端に体温が下がって「低体温症」になって歩けなくなってしまう。

ますます、身体が冷えて凍死してしまうのだ。


だから、山の雨具は「透湿防水機能」が要求されるのである。

街中なら、脱いで着替えれば済むが、山ではそんなことはできない。

まず、雨宿りできる場所がない!


山の中で期待できるのは「避難小屋」だが、あるのはごく限られた有名な山だけだ。

あとは、緊急装備のツェルトをうまく使って、雨を避ければ何とかなる。


当たり前だが、山では遭難しないことだ。

装備不十分で遭難し、民間ヘリで救助されて500万円請求されたとすれば、最新の装備を整えるのに50万円かかったとしても、それで無事帰ってくることができれば、差し引き450万円の得なのである。


解り易く例えれば、一万円の超音波歯磨きを買って磨けば、ずっと自分の歯で食事ができるが、百均の歯ブラシでは良く磨けずに総入れ歯になったとする。

どっちが安い買い物だろう。


総入れ歯なら、最低でも十万円を下らないし、自分の口に合わなければ飛び出したりうまく発音できないこともある。


第一、固いものを砕くことや、肉を噛み切ることが困難で、柔らかいものしか食べられなくなったら悲惨だ。

所謂いわゆる「プライスレス」と言うやつである。


山では、自分で自分の命を護らねばならない。

そのための装備なら、いくら良い物を備えても高いということはないのである。


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