番外【雪】
もう三月も中旬になろうとしているのに、大雪だ。
私は「雪山」はやらない。
植物が咲いている訳ではないし、山の雪景色が綺麗だとは思えないからだ。
雪山は、雪崩の危険性があるし、ホワイトアウトで道に迷い凍死する危険性が大きい。
とてもそんなリスクを冒してまで、山に行こうとは思わない。
三月中旬に雪が積もるなど、ここ三十年ぐらい無かった。
勤め先が山沿いなので、スタッドレスタイヤを履いているから出勤はできるが、ノーマルタイヤで出だす輩がいるので決して安心はできない。
向こうから突っ込んでくる恐れがあるからである。
こういう事故に遭ってしまうと、悪ければ即死、不幸中の幸いで怪我が無くとも、停っていなければこちらにも過失が発生する。
雪道なのにノーマルタイヤで走行したのだから、過失割合は9:1で向こうが悪いだろうが、一割は自己負担になってしまう。
だから、こういう時は外に出ない方がいい。
できれば休暇で勤め先を休むことだ。
「軟弱者」と言われようが何だろうが、事故で不幸になるよりはマシである。
以前に雪道を蛇行して走っている対向車が見えたので、脇に寄せて通り過ぎるのを待っていたら、こっちに突っ込んで来た。
前部にぶつかられラジエターを壊されてしまった。
すぐ警察を呼んだが、そこら中で事故が起きているらしく、一時間ぐらい寒空で待たされた挙句、こっちが停っていたと判ると、加害者に『あんたが悪いのは判るよね。幸い怪我人はいないようだし、当事者同士で話し合ってね』と言って次の事故現場に行ってしまった。
当然、向こうが全部修理費用を出したが、完全に元通りにはならないし、手続きが面倒である。
世の中、目先の見通しが付かない馬鹿な輩がいるのだ。
自分だけが正しく生きても、貰い事故はある。
少しでも危険だと思えば、被害者は当然だが、加害者にもならないように気を付けなければならない。
スリップして歩行者に突っ込んだら、一生まともな生活はできない。
実際、免許取立ての娘さんが、雪道で小学生の登校列に突っ込んで二人死亡、四人重症の事故を起こした。
出だしてすぐだったので、一家はその地に居られずに、離れた町の安アパートに住んでいたが、その娘さんは気が狂って自殺してしまった。
その後、遺族の補償金や怪我人の治療費がどうなったかは知らない。
もし、被害者に十分な補償がないままなら、泣き寝入りである。
とにかく、加害者になっても被害者になっても大変なことには変わらない。
「君子危うきに近寄らず」である。