1-1-2【道標(赤布)】
山に行くと、赤布が所々木々に結び付けられている。
大体、人気のあるコースはちゃんと管理されていることが多いが、藪山とか見通しの悪い山に行くと、赤だの青だの色んな布が結び付けられていて『何だ、こりゃ!?』となることがある。
いろいろ調べると、未踏破ルートや新たなルートを探すために、チャレンジャーが来た道が判るようにそれぞれの色の布を結び付けているのだ。
だから、うっかりすると断崖絶壁に導かれてしまうこともある。
用が済んだのなら、帰りに回収すべきなのだが、縦走などは回収不可能だし、大体はクタクタになるので『まあ、いいか…』と責任放棄するのである。
これで死亡事故など起きれば問題ともなろうが、誰がどの布を結んだかなど判るはずもないから、こんなことがまかり通るのだ。
赤布は正規ルートとして管理者以外使えないという暗黙のルールがあり、個人的に使う人間はいないはずだが、やっぱり迷惑を考えずに平気で赤い布を結ぶ輩がいるのは嘆かわしいことなのだ。
だから、地図が正確に読めるようになる(読図)までは、百名山のメインルートだけを皆と一緒に歩いた方がいいのである。
小説に書いてあるからと、人が通らないルートを選ぶのは、自殺行為なので厳に慎むべきなのである。