水の精霊さんからの拒絶は愛情表現だと俺様知っている
俺様の呪文に先ほど俺様をずぶ濡れにした水は反応してこない。
ヒント:水の精霊から拒絶されました。
ヒント:適応能力値不足です
自身のステータスなどみたことはない。
異世界といえど、さすがにチートスキルが使いこなせるわけではなのだろう。
さて、どうしたものか。
ヒント:水の精霊が代わりの提案をしてきています
「提案?」
ヒント:空気中の水分ならご自由におつかいくださいとのこと
「そうか、ありがたい。水の精霊さん達!うれしいよ!…心遣い助かる」
それならば、計画通りでよい。
俺様の周りの空気が振動して歪んで集結していくのを感じる。
ヒント:カタチを脳内でしっかりイメージすること
ヒントの妖精に言われたとおり、俺様はイメージした。
どんな生き物だったら、この兵士達に対抗できるか。
空気中の水分は、爆速でドンドンと集まり、俺様の周りの空気の湿度はなくなり乾燥していく。
(よし……完成だ!)
俺様はできあがったモノに満足げに腕組みをする。
「俺様への態度を改めるといい!」
(兵士達を攻撃しろ!)
俺の背後から急に現れた巨大な複数の影。
「ひっ……!」
まず一人の女性兵士が気づく。
その声に指揮官の女性兵士が巨大な俺の産みだした生き物に気づく。
「どうした……?」
「あれは……!ドローレムです!」
できあがったのは、青光りしたドローレム13体だった。
「バカな!……大量のドローレムだと!」
兵士達の悲鳴を打ち消すほど驚く司令官の声。
ヒントの妖精と意思疎通とれるならば、俺様は創造主になれるだろ。
俺様の知る限り、ドローレムは火や毒ガスを吐いて攻撃する攻撃力強めのドラゴン型のゴーレムだ。
わざわざ水性でつくるのにはいろいろな思惑がある。
一つ、生命の危機まで与える攻撃力は望んでいないこと。
一つ、俺様がここから立ち去った後、物的証拠をなるべくのこさないこと。
一つ、大量の材料を簡単に手に入れたかったこと。
一つ、圧倒的な恐怖を与えたかったこと
「「「ぎゃぁ……!」」」
複数人の兵士達の悲鳴があがる!
尻尾での攻撃をメインにさせているが、凶暴なドラゴン型のゴーレムだ。
一匹の威力はすさまじく、それが、代わる代わる休みなく13体攻撃を続けている。
逃げようとしても無駄だ。
ICチップのデーターが組み込まれたようなモンスター。
恐怖感をあおらせるようにギリギリを攻めさせ、休みは与えない。
餅つきのように、隙をあたえず、確実に恐怖感を与える。
「聞いていない!私は聞いていない!」
恐怖に震えて、腰を抜かす兵士の姿に、応援を呼ぼうと通信機に呼びかける兵士の姿。
そして、勇敢に立ち向かう姿勢で、行動パターン生成情報から外れてダメージをわざわざもらいにいく兵士の姿。
(さて、そそろそ、お暇をもらおうか)
ドローレムにより破壊された厩の隙間から、厩に入る。
この騒がしい音に、厩の兵士達も馬だけに構っている余裕などなかったようだ。
馬を三頭選んでそのうち茶色の一頭に、残り二頭を紐で結んでまたがり、俺はその場を後にした。
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