表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

その1

僕は花を買う。

そうたびたび買うもんじゃない。たまに、だ。

たまに本当にたまに気が向いたときに花を買う。

なんで花を買うことになるかっていうと、あるからだ。


会社への行き帰り、僕は電車を乗り継ぐ。その乗り換え経路の間に、花屋がある。

行きはそんなことかまってなんてられないから、すーっと通り過ぎる。

結構タイトなんだ、時間が。


家から最寄りの駅までは徒歩10分、住宅街を通って駅前のロータリーを突っ切り、電車に乗る。

3駅行くと地下鉄と接続する大きな駅に着くのだが、乗り降りが大変なんだ。

特に新学期の時期。ホームに人があふれているから、なかなか進まない。

なんとかホームを突っ切り改札を抜けると、地下鉄へとつながる通路がある。

乗り換えのために3分ともいわない通路には改札まで、パン屋、ケーキ屋、そして花屋が並んでいる。


それらの店をゆっくり眺める余裕が生まれるのは、帰り。

帰りのゆったりとした、あとは帰ればいいだけ、1日の中の自由を得た心が羽ばたく瞬間。

改札を出てパン屋、いつも女性が何人も並んでいる。

ケーキ屋、こちらも言わずもがな女性が並んでいる。ところにより男性とペアの女性も。

花屋、パン屋とケーキ屋より敷地面積も広く、人も多くても店員さんとお客さんが一人。

色とりどりの花がずらりと並び、花が整えたその空間は前も後ろも右も左もせわしない時空間のなかで、そこだけが『時間』という(かせ)から放たれているようだ。


そのゆとりのある花たちのふわふわひらひら、しかしその奥にある凛とした姿に、

ふらふらっと引き寄せられてしまうのだ。

だいたいはわかっている。なんでそうなるのか。

そう、疲れているんだ。

毎日通っている道だ。それなのに時として引き寄せられてしまう。ハチや蝶はいつも

こんな渇望感を抱いて花に近づいているのだろうか。


店の前に近づくと、僕はまず白や薄紫、薄い緑色の花のもとに行ってしまう。

店の奥へとずかずかと進む。これはもう無意識と言ってもいい。

もしくは、花屋の戦略かもしれない。客が足を運びたくなる花の置き方とかが

あるのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ