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四角い修羅場を丸くする!  作者: 伊ノ部ひびき
1年生 -2学期編-
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第87話 決意の仁王立ち


雑談で時間を潰した4人は五味渕の案内でダイニングルームへと向かっていた。


「突然来たのに夕食まで頂いて悪いね」


「誘ったのは私なのだから気にしないで頂戴」


「何が出るんだろー? キャビアとかフォアグラかな」


「ここで俺らのテーブルマナーが火を噴く事になるとはな」



丸女の昼食時にテーブルマナーの習得に勤しんでいる南雲と北条は腕まくりをする。

その姿は英語を学びたての学生が外国人に『ハロー?』と声を掛ける様に似ていた。


そしてダイニングの扉を開けるとその部屋は中華料理店のような雰囲気だった。



「あなた達のテーブルマナーには期待していないわ。こちらの方が気が楽でじゃないかしら」


「おぉ正直、助かるわ。やっぱ日本人は箸に限る!」


「も、もしかしてこれが噂に聞く満漢全席ッ……!?」


「流石の麗奈もここから100品以上は出さないと思うよ。 ……たぶん」


「そうね。ただの中華のコース料理よ」



4人が丸机を囲んで席に着くと次々と料理が運ばれてきた。

前菜から何やらいかついエビのお頭が4人にこんばんわしている。



「お前まさかこれ伊勢エ……」


「ま、茉希ちゃんストップ! それ以上は値段が怖くなるよ!」


「やっぱり麗奈の夕食は普段からこんな感じなの……?」


「普段はここまで賑やかでは無いわ。一人で黙々と食べるだけよ」



聞きたいのはそこでは無かったのだが、なんとなく聞きづらい感じになったので料理の方に集中することにした。

そして、ここでも例によって3人は恒例のコントを繰り広げる事になる。



たん:パイナップル?の姿煮込み


「すごーい! ほうれん草とパイナップルのスープなんて初めて食べるよー!」


「チンゲン菜とフカヒレよ」



主菜:北京ダック


「うっま。このタレで味変みたいにすんのか!」


「もしゃもしゃダックを食べてるとこ悪いのだけど、本来それは薄餅バオビンに巻いて食べるものよ」



点心:小籠包


「たしか箸は使っちゃダメなんだよね。熱っ!!」


「アツアツおでんのコントじゃないんだから箸で穴を開けて冷ましなさい」



絶品料理も平らげてひとしきりボケた3人は大満足であった。

ゆっくりとお茶を飲みながら4人で今夜の予定について話す。



「この後はどうするんだ? 片付けとかもないならすぐ風呂か?」


「普段は少し時間を空けた後に入浴するのだけど、あなた達は普段どうしているの?」


「ワタシは寝る前派だよー」


「僕は食前かな」


「見事に全員バラバラね。くじ引きでもしましょうか」



気付いたら西宮の隣にはくじを持って跪く五味渕がいた。

特にリアクションもなくスッと西宮がくじを引いた結果、今から風呂に入ることになった。



「あの……一応聞きたいんだけど。みんなで入るんだよね……?」


「そ、そりゃ交代交代だろ!? そうだよなっ!」



西宮と南雲を意識している2人は一緒に入るのに抵抗があった。

対する2人は全員で一緒に入りたい派閥。



「せっかくなんだから全員一緒に入ればよくないかしら」


「そうだよ! 久しぶりにあーちゃんと一緒にお風呂入りたい!」



そこに再び音もなく現れたのはくじを持った五味渕。


くじは2本。

先ほど同様に西宮がスッとくじを引くと『全員で入る』が出た。



「……と、言う事で」


「ちょっと待て。五味渕さん……一応なんですけど。くじ、見せて貰ってもいいスか。こいつ前科あるんで」


「……」



北条が余ったもう1本のくじを引くと『全員で入る』が出た。

そう、くじは『全員で入る』か『全員で入る』かの2択だった。


この主にしてこの執事あり。

五味渕は西宮の意図を汲んでしっかりとイカサマしていた。



「わ、わかったじゃあこうしよう! 中間択で、麗奈とゆーちゃんが一緒に入った後に僕と北条が一緒に入るって事でどうだろう?」


「おーいいな、それ。採用!」


「えーやだ! 西宮さんの裸見てもテンション上がらない!」


「失礼ね。なんだかんだ言って北条さんはガン見してたわよ」


「してねぇよ。ホラ吹くな」


「じゃあじゃあ! 西宮さんと茉希ちゃんが入った後にあーちゃんとワタシが……」



結局どう組み合わせても不満しか出ない為、最終的には北条と東堂が折れて全員で入る事になった。

ルンルンで歩く南雲と気持ち嬉しそうな西宮の後ろに続く二人は小声でテンパっている。



(どどどどどうしよう北条! 絶対無理だよ! 直視出来ない!)


(落ちけつ……いや、落ち着け。 俺に策がある)



脱衣所にて策士北条茉希が編み出した秘策、その姿を見た南雲と西宮の反応は……



「いやいや、スイカ割りじゃないんだから」


「視界隠して裸体隠さずといった感じね」



脱衣所で決意を固めた女2人。

全裸目隠しで仁王立ちするという涙の光景がそこにはあった。




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