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第7話 誰でもカンタン! 初めての修羅場 ー中級編ー


「え、えー、宴もたけなわではございますが、僭越ながら僕の自己紹介をさせてもらってもいいかな!?」


「お前……、それ絶対使うタイミング間違えてるぞ……」



強引に軌道修正をした東堂が自己紹介を始める。



「僕の名前は東堂明里。ゆーちゃんとは幼馴染で、麗奈とはフラれた後に友達になったんだ」


「東堂と西宮は初対面なんだよな?」


「そうだよ。……一目惚れ、したんだ」



表情に影を落とす南雲を見て西宮と北条の視線は彷徨う。

本日もう何度目かも分からない気まずい空気が流れた。

しかし、東堂は南雲と向き合って諭すように語り掛ける。



「ゆーちゃん聞いて。麗奈とは何もやましい事はしてないし、もし何か問題があったとしたらそれは全部僕のせいなんだ」


「でもっ……! あの女はあーちゃんを悲しませた……!」


「それは麗奈のせいじゃないよ」


「うぅ……!」


東堂の否定に南雲は言葉を詰まらせる。

目には涙を浮かべ、嗚咽を飲み込んでいた。


「ぐすっ……! ひっく……! じゃ、じゃあ……」


「なぁに、ゆーちゃん?」



「――()()()()2()()()()()()()()??」





「「「………………」」」





南雲以外の全員の表情は凍り付き、戦慄していた。

『誰が1番目の女なのか?』という疑問は死んでも口に出せない。



「ゆ、ゆーちゃん? 誰が1番とか2番とか今はそういう話じゃなくて……僕にとっては二人とも大切な人で、ゆーちゃんと麗奈には仲良くして欲しいだけなんだ」


東堂に先ほどまでの勢いはなく完全に日和ひよっていた。

発言内容だけ見れば2股がバレてはぐらかしている女の様相である。


「ぐすっ……そうだよね! 出会ったばかりの女があーちゃんの()になれるわけないもんね!」


南雲の笑顔は眩しかった。


「あーちゃんがそう言うなら西宮さんとも仲良くするね! じゃあ、ワタシも自己紹介しなきゃ」



「南雲優、あーちゃんの1番目の女(だいしんゆう)です! あーちゃんへの愛なら誰にも負けないよ! よろしくね!」


「……よ、よろしく」


何故か注文した時よりも甘ったるい紅茶を飲みながらなんとか返事をする西宮。

一体何に対してよろしくされているのかは怖くて聞けなかった。


「あー、ちょっとひとつ聞きたい事があるんだけど……、いいか?」


「なになにー? なんでも聞いてー!」


「南雲と東堂の馴れ初めってどんな感じだったんだ……?」


「えー! 茉希ちゃん聞きたいー!? 西宮さんも気になってるよね!?」


「………………ぇぇ」


「声小っさ!」


「んふふー 話すと長くなるんだけどねー??」


「ごめん、短めで頼むわ」




***


――北条は確認しておきたかった。


どのようにしてこの悲しき怪物バケモノが誕生してしまったのかを。




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