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四角い修羅場を丸くする!  作者: 伊ノ部ひびき
1年生 -1学期編-
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第31話 お互いのイメージ


西宮がせっせと東堂の口にポテトを流している頃、駅で合流した南雲と北条はアミューズメント施設に向かっていた。

北条と東堂はデートプランを共有し、お互いがばったり会う事が無いような計画をしている。



「やっぱりこういう時は体を動かすのが一番だろ」


「わーい! なんか破壊するやつやりたい!」


「いきなり物騒だな」



着いたのはここ、スポーツ施設やカラオケ、ゲームセンターが複合したラウンドテンである。

とりあえず二人は王道であるボーリングからやってみる事にした。



「南雲はボーリング得意?」


「ううん。ルールは知ってるけど、あんまり上手じゃないよー」


「意外だな。体力測定では結果良かったから得意かと思ってたわ」


「体力には自信あるけど、運動神経は良くないみたい」


「……パワータイプって感じだもんな」



とりあえず2ゲームのコースで開始して、1ゲーム目はお互い練習に充てた。

2ゲーム目はスコア勝負する予定となっている。


1ゲーム目の先攻は南雲で、球を持ってレーンに入る。


「お? 南雲って左利きだったんだな」


「そだよー。ソースバーだっけ?」


「サウスポーな」


中間テスト英語8点の風格を漂わせていた。

南雲は真剣な表情でレーンの中央に立ち、それっぽい構えから球を振り投げる。



――ズドンッ!!



対空時間長めで綺麗にガーターに吸い込まれた。


それも()()()()()()



急いで二人は隣のレーンに謝りに行くと、『凄い飛距離でしたね』と笑って許してくれた。

当然、隣のレーンから球が出てくるので二人は待ち時間の間、非常に居たたまれない気持であった。

球を回収して自分のレーンに戻った二人は会議を始める。


「……集合!!」


「……反省してまーす」


「南雲の球ちょっと貸して貰っていいか?」


「……? いいよー」


北条は球を受け取り、手で大体の重さを量る。


「かっる! これ一番軽いやつじゃね? 多分もうちょっと重い球にして速度抑えたほうがいいぞ」


「なるほど! じゃあ一番重いやつ持ってくるね!」


「極端だな、おい」



一番重たい球を軽々持ってきた南雲は再び投球フォームに入る。

まるで重さを感じさせない()()()()()()()()で球を投げる。



――バゴンッ!!



「おー! すごーい、茉希ちゃん! ちゃんと真っ直ぐ飛んだよ!」


「いや、飛ばすもんじゃないんだわ。ガーターの溝壊れるかと思ったわ」


南雲が投げた砲丸は真っ直ぐにガーターに着弾していた。

先攻のスコアに0が刻まれ、北条が球を持ってレーンに入る。


「別に俺も上手い訳じゃないけど、一応参考にしてくれ」


「先生! よろしくお願いします!」



その後、見た目以外は平均的な一般女性な北条は本当に平均的なスコアを出した。

1ゲーム目の合計スコアが0だった南雲とは勝負にならなかった為、2ゲーム目も北条のアドバイスの下、練習という事になった。


南雲が1ピン倒した時、北条先生が涙を流したのは言うまでもない。



***


「なんかわりーな。南雲がスポーツ苦手って知らなくて」


「ううん! 上手じゃないだけで好きだから気にしないで!」



ボーリングのエリアから離れた二人はゲームコーナーに来ていた。



「ゲームとかも苦手だよな? パワータイプだし」


「ふっふっふ……任せて茉希ちゃん! ゲームは得意だよ!」


「大丈夫か? 頑丈そうな太鼓のやつとかにするか?」


ボタンがついていないゲーム機を探す北条に対して、南雲はボタンがたくさんある音楽ゲームにコインを投入する。

手慣れた操作で最高難易度で楽曲を選び、判定パーフェクトのフルコンボを披露した。


「どんなもんでーい!」


「う、嘘だろ?」


譜面の落下スピードと密度が高すぎて北条にはよく分からなかったが、よっぽど凄いのか後ろの順番待ちの人も目を丸くしていた。


「これでも腕をウリにしてるからね!」


「ウリ? ゲームでなんかやってるのか?」


「あ、あー!! たまにスコアとかをSNSとかに上げてたり?」


「いや、マジですげーわ。今日は意外な南雲がよく見れるな」



他にも、ガンシューティングや格闘ゲームで無双した南雲はテンションが上がっていた。

そんなウキウキの南雲を見て北条はどこかホッとした気持ちになる。



「茉希ちゃん、アレ撮ろうよ! ギャルと言えばコレでしょ!」


南雲が見つけたのは写真シール機だった。


「あー、俺が得意なもののイメージはこれか」


見た目はギャルだがシャイな北条は写真を撮られるのが苦手である。

今日の二人はお互いに得意なもののイメージを外し続けていた。


とりあえず撮影機の中に入った二人は設定画面を弄る。


「んー、設定よく分からないから茉希ちゃんのおススメでよろしく!」


「妹と来たことくらいしかねぇよ……」


北条は思い出を頼りに簡単な設定をしていく。


「へー、妹いるんだー! どんな写真撮ったの?」


「アイツはシスコンだからな……頬っぺたにキスしてきたぞ」


「ふむふむ、仲良いんだねー!」



設定が完了して撮影準備に入る。

モジモジとする北条に対し、グイグイと肩を寄せる南雲。



「ポーズどうするー? 二人でハート作ろっか!」


「マジかお前。距離感どうなってんだ」


おずおずと片手でハートを作る北条にがっちりとハートを完成させる南雲。


「と、撮るぞ」



カウントダウンが始まり、撮影の直前――



「ほっぺに、ちゅー♡」


「!?!?」



――トゥルリン♪



出来上がったプリントシールを北条は震える手で取り出す。


「……お前的にはこれ大丈夫なのか?」


「なんでー? 妹さんとおんなじじゃないのー?」


「いや、お前が良いなら良いけど……」



バグった距離感に戸惑いを隠せない北条。

ゲームセンターはまさに南雲の独壇場であった。




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