称号が『勇者』なのは伊達では無いという訳か……
この話を入れて、後2話です。
リリーシュ王女の「ぶっちゃけ」の後、俺達はわざと専属侍女に見つかり帝城に一緒に行った。
最初は侍女も俺達を怪しんだが、「味方よ。」の一言で、侍女が「分かりました。」と言ったきり何も言わなかった。
帝城に到着しても、門番や文官達には、「私の客だ。」で押しきり見事にリリーシュ王女の自室にまで来てしまった。
……うん。
帝城で働く皆さん、お疲れ様です。
良く言えば活動的な王女に仕えるのは大変かと思いますが、今後も頑張ってください。
そして、これからの予定を話し合って1時間後に、実際にどんな様子かを見に行く事にした。
……ああ。そういやぁ、アイツが居たな。
聞いていたが、本当に、神埼翔琉が「勇者」で、真城鈴柰が「聖女」で、半間悠司が「拳聖」で、入谷美結が「大魔導士」で、北条恭司が「聖騎士」だったんだな。
そして、真城と入谷が完全に神埼の女になって「キャーキャー」言っているし、半間や北条も神埼の走狗になり下がっている。
そんな中、神埼はこの帝都の騎士達をいたぶっていた。
「どうしたぁ、この帝都を守る騎士の力はこんなものか?」
「……く。」
「おら、掛かって来いよ。」
「……お、おおー!」
「……はい、残念でした。」
「がはっ……」
「ほれ。挨拶はどうしたぁ?」
「……あ、ありがとう……ござい……ました。」
「そうそう。感謝の気持ちを忘れたらいけないよなぁ。この帝都を救ったのはボク達のお陰なんだからなぁ。」
見ていられないな。
後ろを振り向くと、ヒナは頷いてくれた。
それと、リリーシュ王女は既に「とある人達」を呼びにちょっと席を外している。
俺達は、外野から訓練場に向かった。
「素晴らしい戦い振りです。」
「誰だぁ、お前は?」
「只の冒険者でしてね。知り合いのちょっとしたコネで、見学をしていたのですが、是非、ご指南をお願いしたいと思ったのです。」
「……良いだろう。勇者である、このボクが、相手をしてあげよう。」
「ありがとうございます。」
そして、模擬戦用の剣を借り構える。
「準備はよろしいか? ……始め!」
「おらぁ!」
最初の内は顔込みで演技をしながら、何とか持ち堪えている状態を演じた。
そして、次第に笑みから薄ら笑いに変えていき、余裕のある動きに変えた。
「……く! ボクは勇者なんだ! それなのに~……」
「弱過ぎるな。これなら、まだ5才の女の子との騎士ごっこの方がマシだな。」
「……貴様、何者だ?」
俺は此処で、ゴミ掃除を終わらせる為に、敢えて前世の名を告げる事にした。
「俺は、四方院歴弥。」
「……馬鹿な! アイツは交通事故で死んだ筈だ!」
「転生したんだよ。」
「……そんな事が有る訳が無い!」
「勇者召喚が実在するのに、何故、『異世界転生』は、無いと言えるんだ?」
「……!?」
「後、今、日本に戻れても、お前が密かに狙っていた『西条日向』は居ないぞ。」
「……どういう事だ?」
「俺の横に居るからな。」
「はあい。久し振りね。」
「お前なんぞ、知らないぞ?」
「あら。中学のあの時に見た『蒙古斑』はもう消えた?」
実は、前世でのあの日の日向拉致事件の首謀者はこの神埼で、あの場からコッソリ逃げようとしたら、案の定捕まって、その時の弾みで、ズボンや下着までズリ落ちたのだ。
「お前、西条か!」
「そうよ。それにしても、私から見たら10数年振りの再会だけど、変わってないわね。正直、中学から『全く』変わっていないのね。呆れたわ。」
「四方院……西条……殺す!」
神埼がそう言うと、手に持っていた模擬戦用の剣を捨て、マジックポーチから剣を出して鞘から抜いた。
「苦痛を味あわせて殺してやる!」
俺は模擬戦用の剣に魔力を流し、応戦する。
「何!」
「どうした? そんな程度か?」
「くそぅ!」
数分後に、一旦距離が開いた事で、一言。
「弱過ぎるな。そこら辺の騎士ごっこをしている5才の女の子に土下座して、『剣を教えてください。』と言ったらどうだ?」
「……ぶち殺してやる!」
「翔琉ダメ!」
神埼が、マジックポーチから何かを取り出し、ソレを口に入れようとしたら、真城が制止した。
「五月蝿い! 黙れ!」
「あっ……」
……ゴクン。
「……この『力』で、貴様をぶち殺してやる。覚悟……が、がぁああああああああああ……」
神埼が「何か」を飲み込んで、神埼の魔力上昇を感じていると、神埼の外見も次第に化け物に変わっていった。
「シホウイン、コロシテヤル……」
化け物と化した神埼の攻撃は、予想を遥かに越えていた。
「……く! 四神召喚!」
「レキヤ!」
そして、ハクガは「西」に、セイルは「東」に、シュナは「南」に、クロードは「北」に就いた。
何故、四神は、東西南北に居るのか?
それは中心部の安定と、そして、「封印」の為だ!
「四方封印陣!」
「グウゥ……、ガアァアアアーーー!」
これで……
「ガアァアアア!」
「馬鹿な!」
四方封印陣で力を抑えた筈だ。
……いや、魔力が更に跳ね上がっている。
「称号が『勇者』なのは伊達では無いという訳か……」
「レキ!」
しかし、俺もこれ以上の力の解放すれば、帝城も只では済まされない。
どうすれば……
(仕方ないな。小物を倒す為に『力』を貸してやるよ。
最強と謡われた、我が『鬼神』の力を、な!)
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