彼女を賭けて、ボクと決闘しろ!
勇者召喚、事実だけみれば、誘拐拉致してからの強制労働。
……はぁ、全く。
「何故、交渉の席に着いていないのに、もう解放した気でいるんだ? 彼女はかなり高い。用意出来るのか?」
「当然だ!」
「最低、白金貨500枚からだ。」
「良かった。金貨500枚なら……」
「……え!?」
「聞こえなかったのか?」
「いや、聞こえ……」
「白金貨500枚からだ。」
「バカにしているのか!」
「いいや。至って普通だ。そもそも、手放す気もないのに、売れと言われて、何故、其方の有利な値段を付けなければならないんだ?」
「んぐ。」
「彼女の女性としての外見の美しさに、元から有る付加価値を考えれば、白金貨1000枚でも安いと感じる奴も居るだろうな。奴隷として買った時の購入費に、今までの生活費に、彼女が身に付けている装備品の費用。つまり、維持費が掛かっている。
それに、彼女を手放すのなら、その損失を埋める為に、彼女と同等かそれ以上が必要になる。」
「……うぁ。」
「例えるなら、俺の磨き上げた鋼鉄の剣が欲しいから、この古い銅の剣を差し出す、とか言うつもりか?」
「……そんなつもりは……」
「お前が言っているのは、そういう事なんだよ。お前が、どう思おうが、言っている事は、『お前の財産が欲しいから寄越せ!』ってな。分かったか、強盗犯。」
「……ボクは、ボクは……」
「……そうだ! それなら、瑞樹……」
「そうか! それなら。」
「何だ?」
「彼女を賭けて、ボクと決闘しろ!」
「ミズキ!」
「もう遅い! 奴隷法に因る強盗罪が成立した。」
「……え。」
「セイル、衛兵を呼んでくれ。」
「分かった。」
「ど、どういう事だ!」
「俺はちゃんと言ったぞ。『犯罪を犯そうとしている。』とな。」
「ミズキ。奴隷を所持しているのは、何も冒険者だけじゃないんだ。商人や貴族も所持している。
そして、戦えない商人や貴族を守る為に、奴隷法に強盗罪があるんだ。」
「……そんな!」
「そういう事だ。奴隷を所持している商人や貴族に対して、『お前と戦って勝ったら、お前の奴隷を貰う。』と言われる理不尽を商人や貴族が認めると思うか?」
「君。」
「何だ?」
「この通りだ。許して欲しい。」
騎士ルベアが頭を下げた。
……意味無い事を。
「……ルベアさん。」
「分かった。」
「そうか。分かっ……」
「俺が帝国に行って、貴族の奴隷を奪っても罪に問われないのだな。」
「……え。」
「お前が言っているのは、そういう事だぞ。」
「あ、いや、何故、そこで帝国の貴族が?」
「言う必要が無かったから言わなかったが、俺はこの王国の国王陛下から子爵位を賜った貴族だ。」
「……終わった。」
「ルベアさん……」
「ミズキ、すまない。」
「私達、どうなっちゃうの?」
今まで静かだった神官のランサが前に出た。
「神殿で預かる事にします。」
「……ランサさん。」
「つまり、神殿は犯罪者を庇う、と。」
段々と政治色が強くなった所で、「待った!」が入った。
「……待ってください! 改めて申し込みます。ボクと戦ってください。そして、ボクが勝ったら、罪に問われるのはボクにだけにしてください!」
「瑞樹、ダメだ!」
「そうよ。瑞樹1人だけなんてダメよ!」
「……達哉。……理穂。……ごめん。」
俺の後ろで見ていたヒナが、俺に話し掛けた。
「レキ、それぐらいにしたら。初犯みたいだし。」
「ヒナ。」
「それに、ちょっと気になる事があるの。」
「気になる事?」
「ええ。貴女達、名前は?」
「え、瑞樹です。」
「達哉だ。」
「……理穂です。」
「それだけ?」
「あ、そうか。この世界だと、家名も有れば言うんだよな。
ボクの家名は、『鎌倉』です。」
「オレは、『植松』だ。」
「私は、『連妙院』よ。」
「……やっぱり。」
「ヒナ。」
「後で説明するわ。」
「分かった。」
「ねえ、レキ。反省したみたいだし、許してあげたら?」
「そうだなぁ……」
「レキヤ、衛兵を連れて来たぞ。」
「ご苦労様、セイル。」
「それで、奴隷法の強盗罪を犯した者が居ると聞いたのですが?」
「ああ、それなら貴族の慈悲として、この村で10日間の無料奉仕をして貰おうかと思います。」
「良いのですか?」
「ああ。」
「感謝するのだな。本来であれば、奴隷購入費の3倍の弁償金が発生するのだからな。」
「……はい。」
「最後に1つだけ良いかしら?」
「……はい。」
「召喚されたのは貴方達3人だけ?」
「いいえ。ボク達のクラスメート全員です。」
「1人も残さずに?」
「はい。」
「ありがとう。」
俺達はリセラを探しているのだが、見つからない。
周りに聞いてみると、村人を庇って大怪我を受けたらしい。
行ってみると、腹部に大怪我を負っていて包帯が赤く染まっている。
「……レキウスさん。ありがとうございます。お陰で村は救われました。」
「……リセラ。」
「あははは。ドジっちゃいました。でも、良いんです。
孤児で両親の居ない私を、この村は皆で育ててくれましたから。最後に恩返しが出来ました。」
「……リセラちゃん。」
「リセラお姉ちゃん、死なないで~。」
まあ、誓約魔法が有るから良いか。
「ちょっと良いか?」
「何だ?」
「僅かだが、助かる可能性がある。」
「本当か!」
「ええ。」
「頼む! リセラちゃんを助けてくれ!」
「……分かった。ただ、我が一族の秘伝だから……」
「分かった。皆、一旦外に出るんだ。」
「絶対にリセラお姉ちゃんを助けてくれよ!」
「ああ。」
そして、俺達とリセラを残して全員が外に出た。
「レキウスさん、気休めは良いんです。私も冒険者なんですから、この傷は致命傷だと分かります。」
「助かりたいのなら、誓約魔法を受けて欲しいんだ。
これからする事がバレたら大事になるから。」
「い、良いですよ。この状態からた、助かるのなら……」
「分かった。」
そして、俺はリセラに誓約魔法を掛けて、復元再生で完治させた。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
銀行強盗、という犯罪は、「何時」から犯罪として成立するのでしょうか?
銀行強盗という犯罪をする為の道具を持って銀行に入った時?
「銀行強盗だ!」と言った時?
正式な手段を使わず金銭を請求した時?
その場に居た、無関係な人(達)を拘束した時?
強盗に因って得た金銭に触れた時?
強盗に因って金銭を持って銀行から出た時?




