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はっ! そうですわ!

この世界のSランクは、Aランクとして充分な実績を重ねた上で、「え? 出来たの?」と言われる様な事を2つ以上成功するとなれます。


「狩人キーハ様は風が吹き抜ける様に動き、華が舞う様に攻撃をし、どんなに隠蔽された罠をも発見する鋭い目は、強さを求める女性の憧れですわ。」


 酒に弱くて泣き上戸で、どんな罠でも見抜く事が出来るのに、前彼の浮気は見抜けず、もう少しで白金貨1枚の借金を背負わされそうになったらしいな。


「侍ヤクモ様は戦いの中の一瞬の煌めきで敵を倒す為、瞬きが出来ない。そんな所が素敵ですわ。」


 あんまり、動き過ぎると魔法でも治らない持病の腰痛が再発して格好が悪いからだ。


「回復術士のカリア様はどんな病も治し、どんな怪我も癒す。素晴らしく清純な(こころざし)をお持ちの方ですわ。」


 昔はかなりのじゃじゃ馬で、毎日の様に怪我をしたり、そんな時に風邪を引いてしんどい思いをしたから覚えたそうだ。

 ……まあ、夢を壊す事は無いな。


「フローラ嬢は詳しいな。」

「当然ですわ。後、冒険者の時は、呼び捨てで良いですわ。」

「分かった。それと、着いたみたいだぞ。」


 王都の冒険者ギルドに到着した俺達は、フローラの専属侍女とライロード公爵家の護衛1人ずつと一緒に入る。

 因みに、静かにしていた侍女だけど、暁の光の話の間は、僅かだけど、指や肩や眉毛が動いていた。

 我慢しているだけで、フローラと同じみたいだな。


「此処が王都の冒険者ギルドですのね。」

「……綺麗。」

「外装、内装にも気を付けていると聞いたぞ。」

「そうなんだ~。」

「フローラ、冒険者登録をするんだろう?」

「はっ! そうですわ!」

「ヒナは?」

「ランクは『F』だけど持っている。」

「レキは?」

「Dランクだ。」

「そうなんですの?」

「ああ。」

「……何故か悔しい気分ですわね。」

「俺の事は良いから冒険者登録。」

「そうですわ。」


 フローラ嬢が冒険者登録している間は暇だからフローラ嬢に酒場で待っていると伝えて、俺とリンが待っていると、5人組の冒険者が近付いて来て、声を掛けて来た。


「よう、坊主(・・)。可愛い子を連れているじゃねえか?」

「……」


 冒険者登録を済ましたフローラ嬢が俺達の所に駆けて来た。


「やりましたわ。これで私も冒険者ですわ。」

「良かったな、フローラ。」

「ええ、ありが……、レキウス。此方の方々は?」

「フローラ。顔は知らないのか?」

「え?」

「俺から言わせれば、噂や名声が独り歩きをしている個性的な冒険者パーティーだな。」

「レキ。『暁の光』の人達に失礼だよ。」

「え、あ、暁の光!?」

「ああ。」

「……! わ、私! 貴方達『暁の光』に憧れていましたの! お会い出来て光栄ですわ!」

「レキ、誰だ?」

「ライロード公爵家令嬢の……」

「フローラ=ネイス=ライロードですわ。」

「……と、いう方だ。」


 公爵家令嬢に相応しいカーテン・シーを決めたフローラだが、やっぱり酒場にはそぐわないな。


「それで、レキ。フローラが来たら話すと言ったんだから、暁の光の皆さんとどういう関係なの?」

「そうですわ。さあ、キリキリと吐きなさい。」

「簡単に言えば、命の恩人で、偶然知り合って、そのまま冒険者の先生になってくれたんだよ。」

「命の恩人って、何が有ったの?」

「あの日、森に居た俺はモンスターに襲われていた所を、ダラン達が助けてくれたんだよ。」


 と、答えるとダランが偉そうに答えた。


「ま、そういう事だな。」

「レキの命を助けてくれて、ありがとう。」

「どういたしまして。それじゃあ、そろそろ行こうか。」

「そうね。」

「なんだ! 何処か、行くのか?」

「ああ。これから仕事だ。此処に来たのは、ギルドに出発を伝えに来ただけだからな。」

「そうか。」

「レキ。また今度、ゆっくりお話ししましょう。」

「ああ、カリア。」


 他の3人も「またな。」とか言いながら冒険者ギルドを後にした。


「はあ~。緊張しましたわ。」

「そうだね。」

「そうか?」

「レキは、一緒に居たからだよ。」

「しかし、これで納得しましたわ。」

「何が、フローラ。」

「入学試験のレキウスの異常は私の耳に入ってますのよ。」

「……レキ、何をやったの?」

「直接戦闘では、試験官の暁の光のダラン様、キーハ様、ヤクモ様と剣を交わしたそうですわよ。そして、魔法戦闘では、試験会場の施設を破壊したそうですわ。」

「そんな事が有ったの?」

「有ったのですわ。」

「もう、俺の事は良いだろ。それでフローラ。」

「何ですの?」

「この後は?」

「私は無い……と、言いたい所ですが、早くランクを上げたいので、早速、今から始めますわ。」

「分かった。じゃあ、また学園でな。」

「またね、フローラ。」

「ええ。また学園で会いましょう。」


 こうして、俺とヒナはフローラと別れて、冒険者ギルドを後にした。


「ヒナは良かったのか? まだFランクなら王都で貢献値を稼げるだろ?」

「うん。そうだけど、折角、レキが居るから一緒に居たい。」

「……そうか。それじゃあ、王都を案内してくれよ。」

「うん。」


 俺達は、2人の時間を楽しんだ。


 しかし、邪魔が入る。

 ……4人か。


「よう、貴族様。楽しそうだな。」

「オレ達も交ざりたいんだけどな。」

「邪魔だから、消えろ。」

「そんな事、言われると悲しいなぁ。」

「そうだよなぁ。この痛みは慰謝料を請求出来るなぁ。」

「……レキ。」

「ちょっと待っててね。」

「大丈夫?」

「大丈夫だよ。」

「イチャイチャしてんじゃねえ!」


 バキッ!


「野郎!」


 ドカッ! ゴキッ! グシャ!


「ヒナ、終わったよ。」

「レキ、怪我とかしていない?」

「大丈夫。あ! ちょうど衛兵が居る。」


 俺は、通り掛かりの衛兵に処理を任せ、ヒナとの時間を再開した。


暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。


この世界の貴族でありながら、冒険者になった者は、「それはそれ、これはこれ。」という認識で、貴族としての責務を全うしていれば、ご自由にどうぞ。な世界です。

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