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……てめぇ、何者だ?

この話で、行く理由が1つ増えます。

「お願いします!」


 ゴン!


 リセラは文字通り額をテーブルに叩き付けて頭を下げた。


「どうか、力を貸してください! 生まれ育った村を助けたいのです!」

「ヒナ、どうする?」

「そろそろオーク肉を補充する必要はあるわね。」

「そうだな。」

「……え。つまり……」

「ギルドには先行して俺達が行く事を伝えておいてくれ。そして、明日の夜明けと共に出発しよう。」

「……はい!」



 軽く話し合ってから解散して、翌日。

 夜明けと共に出発した俺達は、馬車を走らせる速度を異世界基準から前世基準にした。

 つまり……


「大分揺れていますが、急いで頂いてありがとうございます。」

「……まあ、ね。」


 リセラは馬車の中に居て気付いていない。

 景色を確認する事が出来る出入口に対して背中を向けているからだ。


「今、どの辺りかしら?」

「あっ!?」


 リセラは馬車の側面の窓を開けてしまった。

 そして、リセラの顔に突風が襲う。


 ビュー!


「ひでぶっ……」


 リセラは、少女が出したらダメな声を発した。

 フィリアは、単純にリセラの失敗を笑っていたが、ヒナの教育的指導が入った。

 そして、一旦引っ込めた顔を馬車から出ない様にしながら外を確認した。

 因みに、御者はハクガで、リセラに紹介済み。


「……え!? 何? この速さは?」

「……え~と……」

「私、知らないわ! 周りの景色が横に崩れるなんて!」


 リセラには馬車はダンジョン産だと誤魔化したら、ギリギリ納得したみたいだ。


 そして、到着。

 勿論、バカ正直に村の前まで行かないよ。

 ちょっと高台が近くにあるから村全体を見ると、確かにオークやオーガが居るな。

 それとリセラの話だと冒険者ギルドも緊急時という事で、夜明けと共には出発出来ないが、昼前には救援が駆け付ける様にすると言ってくれたらしい。

 実力がある冒険者なら、オークやオーガは美味しい討伐対象だから数も揃い易いだろうな。

 それなら、俺達としては、オーク4割、オーガ3割貰うとするかな。


 皆に俺の考えを伝えると了解を貰い、被害が大きい所を狙って突撃した。


 俺達は目標を達成した事で、村の外壁や、防衛ラインが破壊されない様に守りに入った。

 俺は、ヒナに後を任せて、元凶を探しに少し周り道をしてオークやオーガが来た方向に向かって進んだ。


 俺はどんどん森の奥に入っていった。


「不自然だよなぁ。」


 オークやオーガが、あんな風に人が居る所を襲うのは、珍しくないが、数が問題だ。

 ……多過ぎる。


 俺は更に森の奥に入っていくと、それなりに開けた場所に出た。

 そこには、通常のオーガではあり得ない色、青いオーガが3匹居た。


「ブルーオーガなんて初めて見たな。」


 とりあえず、様子見の雷撃弾(ライトニングバレット)をブルーオーガ3匹の心臓と眉間を狙って同時に放つ。


 流石に耐えられなかったのか、3匹共に倒れたが、即死までには至らなかったみたいだ。

 俺は、ブルーオーガ3匹の首を切り落とした後、異空間収納に仕舞い、周りを確認すると何も無かった為に戻ろうとすると、魔力探知に反応があった。

 俺は念の為に身を隠した。


「……あれ? ブルーオーガ3匹が居ないぞ?」

「可笑しいです。待機を命じた筈なのですが?」

「お前がきちんとしないからだろうが!」

「……そんな筈は……」

「そんな筈は、じゃなえよ、ボケが!」

「ぐはぁ……」


 見慣れない知っている紋章を刻んだ騎士3人と、ボロい魔術士風の服を着ている少女が現れたら、関係者としか思えない台詞を言いながら、魔術士風の少女の腹を蹴った。


「お前、処分決定な。」

「待ってください! 私はきちんと命じた筈なんです。」

「そんな事はどうでも良いんだよ。居ない以上はな。」

「そうだな。ブルーオーガが居ない以上は、役立たず以外の結論は無いからな。」

「それなら、処分される前に、最後ぐらいは、良い気分にさせてやる。」

「……え!?」

「そうだな。」

「それも良いな。」

「オレ達からの最後の慈悲だ、受け取れ。」

「あ、あ……、い、イヤ、嫌ぁああああーーー!」


 処分されるんだから、生きていれば何をしても良いだろ的に考えた人の姿をしたクズ3人が、鎧を外し、下のズボンに手を掛けた。


 俺は雷撃弾(ライトニングバレット)をクズの両肩、両腕、両足に放った。


「「「「「がっ!」」」」」

「……!?」


 俺は前に出て、姿を現した。


「……てめぇ、何者だ?」

「オレ達を、サリアベルク帝国の騎士と知った上での事なら、覚悟は出来ているのだろうな?」

「それを言うなら、その帝国の騎士がこのフォルビア王国に何故、居るんだ?」

「そ、それは……」

「本物だろうが、偽物だろうが、自身の事を『サリアベルク帝国の騎士』と名乗った以上は、そっちこそ覚悟するんだな。」

「……くっ……」


 さて。

 もうちょっとで、女性としての生き地獄を味わう所だった少女に話し掛けた。


「大丈夫か?」

「はい。ありがとうございます。」

「とりあえず、君の名は?」

「サンナ……です。」

「俺は冒険者のレキウス。何故、帝国の騎士達が他国に居るのか、事情説明をして貰って良いかな?」

「……」

「話さないと、少なくともあのクズと同じ扱いで最悪死刑だけど、話せば、死刑だけは無くなるかもしれないよ。

 そして、話した内容に因っては、『助かった』と言える可能性も出るけど、どうする?」

「……分かりました。」


 内容はまあ、ありふれた実験的なテロだった。

 帝国で、モンスターを操る方法を探していて、その過程でテイマーのサンナが冤罪で投獄され、助かりたかったら従えと言って来たらしい。

 サンナも死刑か牢屋に終身刑になるくらいならと、首を縦に振ってしまった。

 似た様な感じで集められた連中も、投薬とか、高ランクのモンスターを従わせようとして、次々に死んでいく中で、上手く成功したサンナが駆り出されて、ブルーオーガに従うオーガやオークを集め村を襲わせてみた、という事だ。



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