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向こう3日間でも良いのよ。

留守を預かる女の子はっょぃのよ。

「セシル、ただいま帰ったわよ。」

「お帰りなさい。お母さん何処ま……で行……!」


 俺は直ぐに回れ右をしたが、間に合わなかった。

 出て来たシーナさんの娘セシル13歳は、下着姿で現れた。


「……きゃあああああーーー!」


 13分後


「ごめんごめん。今日は月に1回の『お役目』の日だったわね。すっかり忘れていたわ。」

「お母さんのバカー!」

「ごめんってばー。」

「……今日のお酒無しで我慢してあげる。」

「酷い! 鬼! 冷血!」

「向こう3日間でも良いのよ。」

「……すみませんでした。」


 綺麗な土下座をするシーナさん。


「それで。」

「何、セシル。」

「この人達は誰?」

「この人達はね……」


 この後、お互いの自己紹介と、此処に来た経緯を話した。

 まあ、話せない部分とかも有るから誤魔化しも入っているけどな。


「分かったわ。私は歓迎するわ。」

「ありがとう。それで先程出た『お役目』って何?」

「えぇと『お役目』とは……」


 話によれば、お役目とは月に1回される祭事で、巫女の女性が舞を神に奉納して、今後の召喚士達に神の加護を願う日らしい。

 因みに、巫女に選ばれるには村最強の召喚士が条件で、セシルが巫女になったのは去年からだとか。


 村という小さい場所とはいえ、12歳で最強になるなんて凄いなと思ったよ。

 俺達は、その祭事が始まるまで、長の家で村に関する書物や召喚に関する書物を読んで時間を潰した。

 因みに、2つ向こうの部屋では未だにハクガ達と(おさ)の宴会が続いている。

 フィリアは、今、読み書き計算を一生懸命に頑張っているし、出来る様になったら、遊ぶ約束をしたからだ。


 そして、祭事が始まりセシルの舞はとても綺麗だった。

 無事に祭事が終わり俺達とシーナさんとセシルで夕食を食べる約束なのだが、何故か来ないセシル。

 すると、門番が俺達の所に真っ青な顔で来た。


「セシルちゃんが拐われた!」

「本当か?」

「本当だ!」

「誰に?」

「ハルーリ子爵の三男ダゼルの侍従と護衛だ!」

「なんですって!」

「シーナさん! 今から行けばまだ間に合う。あの馬鹿は何処に行ったと思う?」

「多分ハルーリ子爵が居るハルーリの町よ!」

「分かった! 行こう!」

「ええ。」


 俺は、ハクガ達に「行くぞ!」と言うと長く呑んでいたとは思えない程に直ぐに立ち上がった。

 ……やっぱり酔っていたフリか。

 長に状況を説明したら、自ら乗り込もうとするから落ち着かせて帰りを待つ様にお願いした。


 そして、俺達はハルーリの町に向かった。




 ダゼルside


 あの偽召喚士のガキが!

 絶対に何かインチキをしたに違いないんだ!

 くそ!

 回復魔法やポーションを使ったのにまだ痛みがある!

 怒りが収まらない。

 ……

 ………………

 ………………………………そうだ!

 ボクは直ぐに侍従に命令した。

 くくく。

 ああ、楽しみだ。

 あいつの涙と鼻水がグシャグシャの顔を踏みにじるのは。

 そして、動けないあいつの前で、あの女を……



 レキside


 思っていた以上に向こうは速く、こっちの初動が遅かったみたいでハルーリの町に到着した。

 くそ!

 追い付けなかった。

 仕方なく、俺達はこの町の領主館に向かい門番にハルーリ子爵の面会を申し込んだ。

 俺はセシルの安全を優先する為に、最初からレキウス=フォン=レイロード子爵として話を通した。

 只の冒険者よりかは、子爵の立場の方が話が通り易い筈だしな。


 俺の予想通りで、20分程度の待ち時間でハルーリ子爵から面会の許可が出た。

 そして、俺達は応接室で待っている。

 流石に全員は多いから応接室に居るのは、俺、シーナさん、セシルとシュナだ。

 残りは、隣の部屋で待機だ。

 序でにハクガとクロードには既に動いて貰っていて、セシルの居る場所も確認済みで、やっぱり、セシルはこの領主館に居た訳だ。


 ノックの音が響き、クラスの優等生がそのままオジサマになった様な男性と老齢な執事が入って来た。


「待たせてすまない。私がダリル=ハルダ=ハルーリ子爵だ。」

「礼儀を弁えない突然の訪問にも関わらず時間を作って頂きありがとうございます。レキウス=フォン=レイロード子爵です。」

「それで、どういったご用件で?」

「単刀直入に申し上げます。其方の三男ダゼル=ハルダ=ハルーリが、隣に居るシーナの娘セシルを誘拐して、この領主館に連れ込んでいます。」

「馬鹿な! あの子がそんな事をする筈が無い!」

「事実です。だからこそ、俺は貴族としての名を出して面会を求めたのです。そして、目撃者も居ます。」

「……信じられない。」


 俺は、そこで村でのダゼルの言動を伝えた。


「……なんて事だ……」

「……ダリル様。」

「ダゼルを呼べ。」

「はっ。」


 数分後


「パパ、話って何です……何故、お前が此処に居るんだ!」

「ご覧の通り。ダゼルは俺を知っている。そして、この反応が俺の言った事への証拠です。」


 腹芸が出来ない馬鹿は自ら地雷を踏んだ。


「……そうだな。信じたくないが事実の様だ。」

「……パパ! それより、こいつに酷い目に合ったんだ! パパ、やっつけてよ。」

「……ダゼル。」

「何、パパ。」

「こちらのシーナさんの娘セシルを誘拐して連れ込んだらしいが、本当か?」

「何故、知っ……」


 また馬鹿が地雷を踏んだ。


「……本当だったのだな。ダゼルにも期待していたのだが……」

「パパ?」

「さて。ハルーリ子爵(・・)、どうされますか?」




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