結論から言うわ。
「事実は小説より奇なり」をリアルで遭遇すれば、誰だって焦りますよね。
「……レキ君、最初は『鳥型』だと言ったわよね?」
「……はい。」
「……ん?」
「どうかしましたか、シーナさん。」
「何かを忘れている様な……」
「……シーナさん?」
「………………」
暫く放っておこう。
「フィリア。」
「はいであります。」
「自分の事が分かるか?」
「言っている意味が分からないでありますが、どちらかが滅しない限り、離れる事は無いであります。」
「そうか。」
しかし、属性が「混沌」で種族が「魔神」って……
……ん!?
頭の隅で何かが引っ掛かったぞ。
……
………………
………………………………まさか!?
もし、もしもだぞ。
コレがアレと同じなら、俺は世界そのものを敵に回した事になるぞ?
「レキ、大丈夫? 顔が真っ青よ。」
「……ヒナ。もしかしたら俺は世界そのものを敵に回したかもしれない。」
「どういう事?」
「俺も確信がある訳じゃないんだ。ただ、予想通りなら、俺は神々に消されるかもしれない。」
「……な、何を言っているのよ、レキ!」
「落ち着け、ヒナ! さっきも言ったけど、予想通りなら、だ!」
「それで、どうするの?」
「直接、聞いてみる。」
「……分かったわ。」
そうして内心では戦慄に襲われていると、シーナさんが再起動した。
「……分かったわ!」
「何がですか?」
「レキ君は、男の子じゃない!」
「そうだけど。」
「そうよ。つまりは、数百年振りの男性召喚士よ!」
「「……あっ!」」
「……と言っても、原因は分からないけどね。」
「それなら、その辺りは後回しにして行きたい所があるけど良いか?」
「良いわよ。……もう、姉さんを探す理由も無くなったし、村に残した娘が心配だしね。」
「それなら、早速行こう。」
この後、エルフの村に行って、巻きでルクール達に別れを告げて、先ずは最寄りの町に行った。
そして、最寄りの町「レシンダヤ」に到着して町に入ると教会に行き、万が一を考えて俺だけで教会に行きたかったが、結局はヒナ、リン、ヤエ、フィリアも一緒に行く事になった。
そして……
「待っていたわ、レキ。」
「……」
「結論から言うわ。」
「……ああ。」
「20柱くらいまでで、創造神の椅子を簒奪しないのなら、大丈夫よ。」
「……へ!?」
「流石に、あの作品みたいにはならないわよ。私達神々は、世界を支える『歯車』じゃないんだから。」
「……良かった~。」
「だから、ポコポコ生みまくって、世界そのものを相手に暴れたり、先程も言った通り、創造神の地位を奪おうとしない限り大丈夫よ。」
「本当だな。」
「本当よ。」
俺は、女神リアーシアの言葉を聞いて安心して戻る事にした。
女神リアーシアside
はあ~。
帰ったわね。
世界の揺らぎを抑えるのは流石にしんどいわ。
レキには、ああ言ったけど、幾つかの神々は結構警戒しているのよね。
まあ、根回しをしておいて良かったわ。
あの「力」は、言わば救済処置だったのよね。
この世界には、「魔王」は居ないけど、魔王と名乗れるだけの「実力者」なら居る。
その「実力者」が野心を抱き、他の種族を滅ばさない為の策が、召喚士に因る「魔神創造」が人族の最後の切り札。
しかし、平和な時に、人族の権力者がその「切り札」を悪用されてしまい、かなり世界が危ない時があった。
だから、創造神として「魔神創造」を封じた。
さて、レキにはしっかり釘を刺したし、もう1度神々の所を廻って神々にも釘を刺さないとな。
創造神が封じたのに使えたのは、先祖返り……、いえ、転生した日本最強陰陽師だったからでしょうね。
全く、愛する人と離れたくないからって、魂に呪いを掛ける、普通?
それを受け入れる彼女も彼女だけどね。
天才故の狂気と孤独よね、当時の彼のアレは。
レキside
「レキウスの母上の故郷でありますか。それは楽しみであります。」
教会から出た俺は、これからの目的みたいなのを皆に話した。
皆から、賛同を貰えて良かった。
因みに、フィリアは、あの作品みたいに途方もない怪力とかでは無いが、それなりの腕力だったし、ぴったり引っ付き続けるみたいな事は無かった。
しかも、フィリアは魔法使い系で、俺が考えた従魔としての「力」を充分に持っていた。
全属性の魔法が使える上に、鍛練を積めば上級以上を放てるだろうと思う。
そして俺達は、この町で消耗品や調味料や日用品を補充して、母さんの生まれ故郷を目指す事となった。
一応は、誓約魔法を掛けた上で、シーナさんには俺の全てを話した。
1人くらいは事情を知っている大人は欲しかったし、何時かは両親には話すつもりだったしな。
……生きていれば。
シーナさんも最初は疑っていたが、流石にハクガ達の「本来の姿」を見せると、最後は信じてくれた。
そして、1週間後に母さんの生まれ故郷である召喚士の村「クランベル」に到着した。
「お帰りなさい。そして、ようこそ。召喚士の村『クランベル』へ。」
確かに村の規模だが、立派な教会もあるから、何かの時に他の町とかに行く必要は無いな。
「お前が、偽召喚士か?」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




