黙りなさい!
この話で、テンプレが1つ入っています。
俺がそう言うと、森から男性のエルフが3人に、女性のエルフが2人現れた。
「何時から気付いていた?」
「俺達が自己紹介を始めた辺りか。」
「馬鹿な!?」
「私達は、気配を消していた筈よ。」
「やはり、人族は危険だ!」
「待って! 精霊が警戒をしていないわ!」
「え!?」
「……本当だわ。」
「リヒト、待って。精霊が警戒していないのなら、問題無い筈よ。だから、私を救ってくれた彼らに礼を返すべきだわ。」
「……そうだな。」
「そうよ。例え、人族であっても命の恩人に礼を返さないなんて、リクナール族の誇りに傷が付くわ。」
「……分かった。我らリクナール族は、ルクールの命の恩人である貴方達を我らの地で歓迎しよう。」
「是非、お願いします。」
ヒナ達を見ると、無言のまま「行きたい!」と顔に書いていたよ。
「……お邪魔させて貰うよ。」
「良かった。」
「私達も名を名乗ろう。私はリクナール族のリヒトだ。」
「オレは、ガインだ。」
「ボクは、クーリャです。」
「私は、シナサよ。」
「お姉さんは、エリン。よろしくね。」
そして、森の中を移動するのだが、移動速度が「案内する。」と言われた速さじゃなかった。
……多分、試されているな。
まあ、楽勝だけどな、俺は勿論、ヒナやリンも大丈夫で、スズカは元々が生き物じゃないから余裕で付いて来ている。
……30分ぐらい移動していると、到着したみたいで止まったから俺達も止まった。
「正直、置いてきぼりのつもりで移動していたのだが……」
「リヒト!?」
「合格か?」
「ああ。それでは、此処で暫く待ってて欲しい。皆に説明してくる。」
「分かった。」
そう言うと、前方に歩き出すと、テレポートしたみたいに消えた。
そして、ルクール達と待つ事10分。
消えた時と同じ様に突然現れた。
「待たせた。案内しよう。」
ルクールに、リヒトと呼ばれた男性エルフが帰って来てそう言った。
俺達は案内されて、遂にエルフ族の集落に到着した。
イメージそのまんまなエルフ族の集落がそこにあった!
地上に普通のログハウスみたいのや、目線を上に向ければ、大樹の途中にログハウスがあったりと、如何にもな感じだ。
……うん。
集落と言うのは、失礼だな。
立派な村だ。
そして、案内役は、ルクールとリヒトだけになって、一際立派な家に到着した。
「長の家か?」
「そうだ。」
そして、俺達は長の家に入ると意外過ぎる人物が居た。
「長よ、この者達がルクールの命の恩人だ。」
「初めまして。人族で冒険者をやっているレキウスだ。」
「初めまして。同じく冒険者のヒナセーレよ。」
「初めまして。同じく冒険者のリンです。」
「初めまして。スズカです。」
「それで、この白蛇がヤエだ。」
「この地のエルフを束ねる長の『ラゼルス』だ。」
この後は、雑談になり、3日程滞在する事になった。
すると、リヒトが思い出したのか、長のラゼルスに訪ねた。
「長よ。そういえば、客人はどうした?」
「客人なら、そろそろ帰って来る頃だろう。」
「リヒト、客人とは?」
「ああ。レキウス達と同じ人族なのだが、違う地に住むエルフ族と一緒に来て、共に来たエルフ族は帰ったのだが、その人族は、そのまま居座っている変わり者だ。」
「狩りや薬草や山菜採取を手伝って貰っている。」
そう言い終わると、誰かが入って来た。
「今日も大漁よ。」
「おかえり。」
俺は長の家に入って来た女性を見て固まった。
「……嘘!?」
ヒナも同じみたいだ。
……その女性は、俺とヒナがとても良く知っている人に、そっくりだった。
「あら、長、お客様?」
「ああ。ルクールがオーガに襲われそうになった所を助けてくれた冒険者の方々だ。」
「そうですか。……あら。どうされました?」
「……母さん。」
「おばさん……」
「え!?」
「母さんは死んだんじゃないのか!」
「おばさん、生きていたんですね!」
「待って! 私を『母さん』と呼ぶって事は、貴方レキ君?」
「母さん、何を言ってんだ! 息子の俺を忘れたのか!」
「……ちょっと待って!」
「母さん!」
「黙りなさい!」
「……はい。」
「改めて自己紹介するわ。私の名前は『シーナ』よ。
貴方が私の知る『レキ』君なら、貴方の『母さん』は『キーナ』よね?」
「……ああ。」
「それなら、私と『キーナ』の関係は双子の『姉妹』よ。キーナが『姉』で私が『妹』よ。」
シーナと名乗った母さんとそっくりな女性は説明した。
母さんことキーナとシーナは双子の姉妹で、とある村に住んでいたが、キーナが村から飛び出して居なくなったらしい。
そして、いつからか、手紙が届く様になり、内容は近況報告で、とある貴族のメイドになったとか、その貴族の息子の専属侍女になったとか、その息子と駆け落ちしたとか、その貴族の息子の両親に許して貰えたけど、家に帰れなくなって領地の村で生きていく事になったとか、生まれた俺の事を書いていたらしい。
……だから、俺も「あの日」の事を話した。
「……そう。キーナ姉さんは死んだのね。」
「……ああ。」
「それなら、キーナ姉さんから『あの事』を聞いた?」
「……あの事?」
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