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これで、契約成立だな。

召喚されたスズカは、レキ達が迎えに来るまで、怠惰な日常を過ごしていました。

朝食を食べて、少しのんびりして、都市を散策しながら屋台で肉串や果物を食べながら過ごして夕食を宿屋で済まして、部屋のベッドで寝る。

これを、レキ達が迎えに来るまでルーチンしていました。

「リンは速さでかき回しながら、腰から下の急所を狙ってくれ。」

「はい!」

「ヒナは、槍を持っている側面に廻って攻めながら回避盾を頼む。」

「分かったわ!」

「俺は正面に立つ!」

「GaAAAーーー!」


 カン! キン! ガッ! バキッ! ドゴッ!


 リンは、その速さでミノタウロスの意識を向けさせ、隙が出来ればアキレス腱の部分とか膝裏部分を攻撃し、ヒナはミノタウロスが攻撃してくる時は華麗に躱して、ミノタウロスの意識がヒナから離れるとすかさず攻撃をしていた。

 俺は2人に合わせながら、ミノタウロスの鎧で守られていない部分に雷撃弾(ライトニングバレット)を撃ち込み、ダメージを与える。

 そして……


「今だ!」


 ザン!


 俺はヒナとリンが作った大きな隙を突き、飛び込みながらの雷属性付与の居合で、ミノタウロスの首を斬った。


 ……ミノタウロスは鎧や槍ごと消えて、消えた跡から宝箱が出現した。

 かなり大きな宝箱だ。

 因みに、レフィーラ嬢とマルセさんには、俺から声を掛けるまでは来ない様に言ってある。


 警戒しながら宝箱を開けると、先ずは豪華な「槍」が目に付いた。


「レフィーラ嬢!」


 呼ぶと、レフィーラ嬢とマルセさんが駆け寄り、レフィーラ嬢は綺麗なカーテンシーを決める。


「先ずは、貴方達に称賛を贈らせてください。素晴らしい戦い振りでした。」

「ありがとう。この槍が欲しかったのだろ?」

「ええ、そうよ。」


 俺は、槍をレフィーラ嬢に渡した。


「これで、契約成立だな。」

「ええ。」

「じゃあ、残りの宝箱の中身は全て俺達が貰うな。」

「はい。私に二言はありませんわ。」


 宝箱の中身は、金貨48枚に銀貨69枚と銅貨108枚に、治癒ポーション10本に解毒ポーション4本と麻痺消しポーションが4本に、斬撃アップの付与がされた業物(わざもの)な短剣2本が入っていた。

 この短剣はリンに渡した。


「レキウス様、良いのですか?」

「ああ。」

「リンが使うべきよ。」

「……ありがとうございます。」


 因みに、例の「槍」には、突きの威力アップと回避力アップの付与が付いていた。


 そして、宝箱の中身を全て回収すると、先に進む為の扉と来た道を戻る為の入って来た扉が同時に開いた。

 俺達は迷う事もなく、来た道を戻る為に入って来た扉を選んだ。


 ……この世界もテンプレが好きだなぁと思うよ。


 扉を通ると、そこには、ベランザ一行が居た。


「レフィーラが何故、先に居る!」

「当然、進行速度が速い方が先に着くのは当たり前の事よ、ベランザお兄様。」

「……! 槍を手に入れたのか。」

「ええ。」

「ちょうど良い。レフィーラ、その槍を寄越せ。」

「……何故?」

「妹が兄に逆らうな!」

「そんな要求は呑めませんわね。」

「それなら仕方ない。……やれ。」

「悪く思わないでくれよ。これも仕事なんでな。」


 ベランザの後ろに控えていた冒険者パーティーが前に出てそう言った。

 それじゃあ、俺達も仕事をしようか。


「それなら、俺達も仕事なんでな。悪く思わないでくれよ、先輩。」

「オレ達が、お前らガキに負ける訳ないだろ?」

「そう言うのなら、あの槍はどうやって手に入れたんだろうなぁ。冒険者ギルドで、Aランク冒険者パーティーの名前が挙がる様な事を、なぁ?」

「ま、まさか!?」

「一応は手加減してやるよ。」

「がっ!」

「ぐふぅ!」

「ぎぃ!」

「げふっ!」


 腹パンで眠って頂きます。


「はい、終わり。それではレフィーラ嬢とマルセさん、行きましょうか?」

「ええ。」

「はい。」


 何か、後ろで叫んでいるが無視した。


 この後、特に何も無くダンジョンから脱出した俺達は、都市に戻り、例の槍をレフィーラ嬢が周りに見せびらかしながら領主館に向かい到着すると、中から甘いマスクのイケメンが現れ、レフィーラ嬢と挨拶を交わした。


「レフィーラ=イルナ=ガダルガ。只今、戻りましたわ、ベラルドお兄様。」

「お帰り、レフィー。……それが例の槍かい?」

「はい。そして、この槍を次期領主のベラルド=イルナ=ガダルガに献上させて頂きます。」

「うむ。」


 そして、ベラルドは受け取った槍を掲げた。

 周りの拍手喝采が起きた。


 ……うん。

 今までのやり取りを、領主館の中ではなく、門の外側、つまり、領主館前の公共の道路でやったんだよ。

 この都市の住民に見せる為に。


 勿論、俺達は「では、お役御免でさようなら。」にならず、今回の立役者だからと言われて、そのまま領主館への1泊が決まった。

 招待を受けた夕食には、ベランザの姿は無かった。

 勿論、あの後にダンジョンに喰われた訳ではなく、普通に同席を拒否されただけだ。

 今頃、涙で枕を濡らしているのだろう。

 そして、現当主から「是非、娘を!」と言われたが、丁重にお断りした。



 翌朝


 夜中の襲撃も警戒したが、何も無く、普通に朝食をベランザが欠席の中で終わり、別れの挨拶になった。


「ベランザは、レフィーに負けて拗ねているだけで、2、3日で元に戻りますよ。」

「レキウス様、ヒナセーレ様、リン様。私に協力してくださりありがとうございます。」

「いえ。依頼を受けただけですから。」

「レキ。」

「それでは、これで失礼します。」


 こうして、俺達は領主館を後にして、宿屋に帰った。


「スズカ、留守番お疲れ様。」

「はい、レキヤ様。此方は特に問題ありませんでした。」

「それじゃあ、行こうか。」

「はい、レキヤ様。」


 俺達は宿屋も後にして、馬車での旅を再開したのだった。




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