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専属侍女の嗜みです。

この世界のダンジョンは基本的には帰還用の転移の魔法陣はありません。

 あ~、お家騒動か~。

 こりゃあ、巻き込まれたか。


「そして、私としてはそれを阻止したいと思っているわ。ベランザお兄様では、領主の器じゃないわ。だから、私はダンジョンのあの『槍』を手に入れたい。」

「あの『槍』を手に入れる事に意味があるのか?」

「ええ。私自身の実力じゃなくても良いのよ。結果として、あの槍を手に入れた私が、ベラルドお兄様の下に付いた途端に大人しくなればベラルドお兄様の政治力が皆に広がるわ。

 そうすれば、ベランザお兄様が領主の地位を継ぐ事は名実共に不可能になるわ。」

「……なるほど。次期領主のベラルドは、1度、あの槍を手に入れる事に失敗している訳か。」

「はい。しかも、雇った冒険者の1人が怪我を負って断念したからよ。」

「自身の名誉よりも、他者の安全を優先した訳だな。」

「ええ。しかし、残念だけどベランザお兄様には、そんな配慮は持ち合わせていないわ。それに、都市での私とベランザお兄様の評判は、ベランザお兄様の雇ったチンピラに因るものだわ。」


 なるほどな。

 今の話が本当ならレフィーラ嬢は、ベランザの長兄ベラルドの地位簒奪(さんだつ)を阻止したい訳だ。


 ……まあ、この部屋に入った以上は手遅れか。

 ヒナを見ると無言で頷いた。

 こういう時は、幼馴染みは話が早い。

 リンは……同じく無言で頷いた。

 この場合は、俺の判断に従います、と言った所かな。


「協力しても良い。」

「本当ですか!」

「ああ。」

「ありがとうございます。」


 その後、レフィーラ嬢からの依頼を受けるという形を取り、依頼内容を話し合った。


「それではレキウス様、よろしくお願いいたします。」

「ああ。」


 俺はレフィーラ嬢と握手した後、解散した。



 3日後の朝

 俺達は、例のダンジョン出入口前に居る。

 俺としては、情報を入手したベランザ側が妨害して来ると思っていたが、何も無く当日が訪れた。

 因みに、情報が流れていなければ、俺が子爵位を持つ貴族である事も知られていないと思う。


「レフィーラよ。槍を手に入れるのは、このボクだ。」

「いいえ。私よ。」

「ふん。それで、本当にボクが先で良いんだな?」

「ええ。」


 そして、「これで、槍も領主の座もボクの物だ!」と言いながら雇った冒険者パーティーを引き連れてダンジョンに突入して行った。

 蛇足だが、雇った冒険者パーティーは、前回名前が挙がったパーティーは無く、Cランク冒険者パーティーだ。

 蛇足その2だが、長兄ベラルドが雇った冒険者パーティーは、昔から付き合いのあるAランク目前と言われている冒険者パーティーだ。

 この時点で、人脈と人徳に差が出ている。


「問題無いわ。冒険者の方は分からないけど、ベランザお兄様の方は、このダンジョンについて全く調べていないと、ベランザお兄様の専属侍女から聞いているわ。」

「その情報は確かか?」

「ええ。その専属侍女は、私が送った間者(かんじゃ)ですもの。」

「……そうか。」


 このレフィーラ嬢もやる事はやっているんだな。


 10分後


「さあ、行くわよ!」


 レフィーラ嬢から聞いた情報だと、目的の「槍」が有る20階層までは、Cランク冒険者パーティーでも行けるらしい。

 後、「槍」を手に入れた冒険者は、既にこの都市には居ないらしくて、その冒険者を知っている冒険者が、見た事も無い「槍」を持っていたから聞いたら、「ダンジョンのボスを倒したら宝箱から出た。」と言ったらしい。

 そこから、噂が噂を呼び、今の状況になったみたいだ。


 さて、ダンジョンに俺達も突入した訳だが、レフィーラ嬢も一応は鍛練していたのか、俺達に付いて来ている。

 驚いたのは、侍女のマルセが冒険者としてもそれなりだった事だ。


「専属侍女の嗜みです。」


 ……らしい。


 そして、レフィーラ嬢としても、ベランザを死なせたいとは思っていないみたいで、俺達に先回り出来る程に、頑張って欲しいとお願いされたので、普通に行った。

 いや、それで充分に普通のCランク冒険者パーティーの上を行っているから。

 異世界あるあるの「チート野郎」な俺に、女神様の加護で「凖チート」を持つヒナに、ハクガ達との毎日の鍛練で、幻の獣人族と言われる由縁を遺憾なく発揮しているリンのパーティーだ。

 そこら辺のパーティーに負ける理由が無い。


 そんな訳で、先に購入したダンジョンマップを使い、何回か遠回りしてダンジョン攻略が進み、それでも先回りに成功したみたいだ。

 20階層のボス部屋の前で順番待ちをしている冒険者パーティーが2組居たが、ベランザ一行は見ていないと言う。


 そして、俺達の番だ。

 ……先に行った2組については聞かないでくれ。


 さて、ボス戦だが、相手は想像力豊か過ぎる日本のラノベでも、滅多に見た事も聞いた事も無い、鎧と槍を装備した「ミノタウロス」だった。


「GaAAAーーー!」


 ボス戦だ!


「レフィーラ嬢は奥に! マルセさんは、レフィーラ嬢を守ってくれ!」

「分かったわ。」

「畏まりました。」

「俺達で、あのミノタウロスを倒すぞ!」

「レキ、行くわよ!」

「はい!」



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